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「雪村と古代エジプトの神々」(セーラー服と雪女 第25巻)  作者: サナダムシオ


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⑫ メジェド

「ああ、ソレは多分……メジェドですね。」

 伯爵が静かに呟いた。

「……やっぱり知っているのね?」

 香子が納得した顔で言う。


「ソレは、貴女の……つまりオシリスの家で出現するのが、決まり事になっている存在なのですよ。」

 伯爵が、当たり前のような顔をして、そう言った。


「今この三次元の時空で、我々に憑依している五次元の存在は、そうしなければ、ここに居られないから、仕方無く、我々の中に入っているのです。」


「……ソレは理解しているわ。」

「でも、メジェドは違う。白いシーツ一枚あれば、この世界に定着できる。彼は、三次元の肉体を必要としない者なのです。」


「やっぱり、型破りな存在なんですよね?」 

 鷹志がそう言った。

 彼も、古代エジプトの神々については、かなりの知識を持っているのだ。


「眼からビームを出したり、口から火の玉を吐いたりするって、本当なんですか?」

「鷹志君、よく勉強してるね。私も見た事はないが、伝説ではそう言われているよ。」


「そして、基本的には、オシリスを護る存在なんですよね?」

「そうだね。何しろオシリスの家が、発生元だからね。」


「私、あんなモノが湧くような、何かしらの変な事でもしたのかしら?ソレと知らずに、秘密の呪文を言ったりとか?」

 オシリスの宿主の香子は、にわかに心配になる。


「大丈夫です、安心して下さい。先程も申し上げた通り、コレは、決まり事なのですから。」

 伯爵が彼女をなだめる。


「でも、あいつ、慌てて逃げて行ったわ。」

「ひょっとして、香子さんが先に、彼に何かしたんじゃないですか?」


「あっ。」思い当たるフシ、アリアリである。

「……やっぱり。」伯爵が言う。


「いや、だって、アレはどう見ても、ただの不審者でしょう?当然私は、捕まえようとするわよ。」

「……まさか、殴ったり蹴ったりは、してませんよね?」


「私はただ、鉢植えのツタやツルを使って、拘束しようとしただけ。でも逃げられちゃったわ。」

「う〜ん、ギリギリセーフかなあ……。」

 伯爵は困り顔だ。


「……でも、ほら、眼からビームとか出されなくて、良かったじゃない?」

 由理子がお気楽な感じで、そう言った。


「まあね。それで、ラッキーだった事にするわ。」

「……彼が貴女に、敵意を抱いてない事を祈りましょう。」

 伯爵がそう言った。


「……あと、心臓を食べられなくて、良かったよね。彼の大好物らしいから。」

 鷹志が、余計な事を付け加えた。


「ええっ!?そんなにヤバイやつだったの?」

「……鷹志君、それ、私は敢えて、言わないようにしていたのに。」 

 伯爵がヤレヤレという顔で、そう言ったのだった。

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