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「雪村と古代エジプトの神々」(セーラー服と雪女 第25巻)  作者: サナダムシオ


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⑪ 午後の怪異

 真田香子が、豊橋の自宅アパートの玄関に辿り着いたのは、もう15時を回った頃だった。

 途中で軽い昼食がてら、立ち食い蕎麦などを食べたりして、少しだけ道草を食っていたからだった。


 彼女が鍵を回してドアを開け、廊下の電灯のスイッチを入れた時だった。

 目の前に、予想外のモノが、立ち塞がっているのを見たのだ。


 ソレは、頭から白いシーツをスッポリと被り、視界を確保するために、眼にあたる部分だけに穴を開けた、下から裸足の脚が見える人物だった。


 パッと見た感じ、割りと小柄で、男か女か、若いのか年寄りなかも分からない。

 ただ単に、怪しいヤツだった。


 香子はとっさに、そいつを泥棒だと判断し、こんな事も有ろうかと、玄関に置いておいた鉢植えから、長いツルやツタを伸ばして、先制攻撃をした。


 しかしそいつは、絡み着くツルとツタの攻撃を、スルリとすり抜け、香子の横を素早く通り越し、玄関から走り出て行ってしまった。


 慌てて彼女も玄関を出てみたが、もう既にソイツは表の住宅街の道を走り抜け、向こうの角を曲がるところだった。それは、とてもニンゲン技とは思えないような、猛スピードだった。


「なんて逃げ足の早いヤツ……。」

 呟きながら、香子は部屋に戻り、持ち物を点検する。何も取られたモノは無いようだ。


「……コレは、みんなに報告するべき案件かもね。」

 彼女はまた、一人で呟いたのだった。


 4月10日の土曜日。

 時刻は14時ごろ、香子は再び、名護屋テレビ塔の、亜空間レストランにやって来た。


「おや、香子さん。会合でもないのに、珍しいですね。」

 サン・ジェルマンが、声を掛ける。

 今日は週末だから、彼女の妹の由理子と、杉浦鷹志も居た。


「どうしたの?お姉ちゃん。何だか、顔色悪いわよ。」

 由理子もそんな風に言って来る。

 今日も赤いウィッグを着けて、お気に入りのメイド服を着ている。


「ちょっと伯爵に、相談したい事が有って……。」

 香子は、そこまで言った後、黙ってしまう。


「何か、お困りのようですね。どうぞ遠慮無く、おっしゃって下さい。」

 伯爵が穏やかな声で語り掛ける。


「……実は前回の会合の後、家に帰ったら、室内に変なヤツが居たのよ。」

「へえ〜、どんな?」由理子が興味津々だ。


「頭の上から、白いシーツをスッポリと被ったヤツ。しかもあれ、私のベッドのシーツだった……。」

「えっ?」鷹志が反応した。


「……まさか、そのシーツに、眼だけ見える穴が開いていて、下から裸足の脚だけが見える……。」

「そうよ。その通り。何で分かったの?その上、私の植物攻撃は効かないし、やたらと逃げ足が速いのよ。」


挿絵(By みてみん)

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