村への思いと王都到着
能力 剣聖
剣聖を持つものは剣を持つだけで相手の倒し方が分かるようになる。また、剣聖専用魔法として剣の長所を最大限引き出すエペセントを使うことが出来る。
この能力は最高級能力であり、授かった者は剣士養成学校等に行き、剣士過程を修了する必要がある。
というわけで私、サーラは剣聖の能力を授かってしまったのです。
現在、サーラは馬車に揺られながら王都に向かっている。村を出る時、村人たちは、大いに祝ってくれて、家族は泣きながらも笑顔で送り出してくれた。
ーーはぁ、楽しい誕生日になるはずだったのにな…みんなの泣き顔なんて見るとは思ってなかった
そう思いながら、どんどん薄くなる村を馬車の中から見つめていた。その手には餞別でもらった誕生日プレゼントやお金、花束などの一部が抱えられていた。
(はぁ、私この先どうなるんだろ)
サーラはすでに、窓の景色はとても懐かしいものにすら思えていた。
サーラにとって昨日まで日常だった光景は、これからは非日常になってしまう。そして、剣士養成学校での暮らしが日常になるのだろう。
日常は非日常に、非日常が日常に。
その変化に戸惑いを隠せない、困惑を隠せないのは想像に容易くないだろう。
転生から15年、この世界に馴染みすぎた彼女の心は15歳の少女のものだった。
サーラは自分以外客のいない馬車の中でうずくまり、気づけば涙が頬を伝っていた。
ガタン
いつの間にか寝ていたサーラを起こしたのは停車したバスの揺れだった。
「お客さん、王都、カンタインに着きましたよ」
馬車の運転手がそう声をかけると、彼女はむくりと起き、寝起きの顔で外の景色を窓から覗いた。
「おお、これが王都…」
ーー中世ヨーロッパの街並みだとは思ってたけど、まさかこんなに圧巻だとは…
転生元でも見ることのなかった、ヨーロッパの街並みがずらっと並んでいる光景は圧巻の言葉以外に言い表すものがないほどだった。それは、動揺していた彼女の心を少しほぐしてしまうほどだった。
「あ、すいません。ありがとうございました」
しばらく見惚れていたサーラはそう言いながら、馬車を降りて、ぺこりと頭を下げた。
「どうも、嬢ちゃんも立派な剣士に向けて頑張れよ」
「ありがとうございます」
馬車が戻っていくのを見送ってから、サーラは街への一歩を踏み出して行った。
その一歩は、期待を感じさせるには程遠く、村への心を思わせる小さい一歩だった。
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