↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/260

74 地下


「ふんふん、ふふーん♪」


 やけに明るく楽しい声が後ろから聞こえる、声の正体はタクティア・ラティウス、ウチの参謀だ。


「タクティアは花屋でもするつもりなのかしら?」


 楽しそうに花や植物などを採取し、せっせと『収納』に入れていくタクティアを見て、ソルセリーは笑いながら話しかける。


「ふふふ、そんなつもりはありませんよ、でもそれも良いかもしれませんね」


「その魔法があれば農家にもなれるな、魔力が続く限り収穫が出来るしな」


「タクティア殿がそんなに楽しそうにしていると、私もその魔法が欲しくなってしまうよ、実際駄目だったがな」


「そんな事言ったら、魔法自体習得不可能な自分なんかどうすれば」


 楽しそうに話をしている中で、一人だけ話に加われない人物がいる、それは俺


 極端な二等辺三角形の隊列で、俺が先頭、そして他の隊員は少し離れた後方に密集しているため、どうしても会話が出来ない、それに今俺は『探知』に集中しなければならない、通常の『探知』だったら話ながらでも出来るけれど、大陸深部でのワームのトラウマから開発した地中への『探知』魔法、これがなかなか慣れず、今現在、練習も兼ねて使っているが、次から次へと情報が頭に入ってくるため若干混乱気味だ。


 人が一生懸命に仕事をしている時に、後ろでワイワイキャッキャされていると気が散る


 ちょっと注意してやろうか? と思ったが、その時、カナル隊に居た時の事を思い出した。

 

 隊列の真ん中で、ニーアとワイワイキャッキャしていたな‥‥


 ミラはもちろんの事、ブライもちょくちょく話をしに寄って来ていた。

 後ろで見ていたカナル隊長はその時どう思っていたか? 多分今ならわかる、せっかく入った召喚者を引き留めておくため、多少の事は大目に見てくれていたんだろう。

 前を先行していたオリバーは? 真面目に『探知』をしていたタウロンは‥‥。


 その事を考えると、後ろの隊員達の事を注意出来なくなった



 でも、今は元気なタクティアだけど、しばらくしたら大人しくなるだろう

 体力的な意味で‥‥‥





 



 現在は任務中であり、ヨルド要塞の偵察、そして調査のため隊列を組んで移動している。

 隊列の周りには召喚獣のノームを正三角形の陣形で配置、もしもの奇襲などに備えている、この場合ノームは言ってしまうと使い捨てになる、ノームを犠牲にし、奇襲に対しワンクッション置くことで完全に不利になるのを防ぐため

 

 昨日は新しい魔法陣を発見し、その周囲を少し調査したところで野営をした。

 そして今日、タクティアの案により本格的にヨルド要塞に接近することになる、とは言ってもコチラには破壊の一族のソルセリーがいるためあまり深入りすることは出来ない、彼女の命の方が大事だからだ。


「一応コチラが安全が確認された箇所です」

 

 キャンプを出る前にタクティアから一枚の地図を見せられた、ラブル中佐から預かった地図だ。要するに今している偵察は本当の形だけの偵察になる、実際俺達、とくにソルセリーに何かあった場合この責任はラブル中佐に掛かってくる、中佐からしてみたら俺達は士気向上の為にいてくれさえすればいいのだろう、第一俺だって危険な真似はしたくはない。

 今回は大人しく、見回りに徹する事にしよう


 後ろがまだ騒がしい中、意識を前方に戻す、数メートル先を召喚獣のノーム1号が歩いて‥‥走っている、歩幅が極端に小さいので俺達に合わせようとするとどうしても走る恰好になる、後ろから見ると子供が一生懸命走っているようで何だかほっこりする。


 ただな~あの顔がちょっとな~、自分で作っておきながらなんだけど‥‥もっとどうにかなりませんかね? あの顔にするならせめてもうちょっと身長を伸ばすとか、いや‥‥でも身長を伸ばしても顔がそのまんまじゃ逆に気持ち悪さが増すか?

 

 ‥‥おい! こらこら! こっち見るな、呼んでないから前を見てなさい。


 特に見たくはない顔を見せられつつ、調査は進んで行った。

 要塞に近づけば近づくほど、ソルセリーの顔から笑顔が消えて行くのが気になった。


途中


「ハヤト隊長、ここから先は危険ですそろそろ進路を西に取りましょう」

 タクティアの指示により、ここから先には要塞には近づかず、大きく危険地帯とされている場所を迂回するように進む、そのタクティアの額からは汗が流れてきており限界が近い事が分かる、さっきから大人しくなってきたのがその証拠


 タクティアの息遣いがここまで聞こえるようになった時、地中の『探知』に違和感を覚えた


「ん?」


 俺がその場で止まると、後ろから「カチャリ」と武器を構える音がする、これだけでやはり皆、かなりの経験を積んでいるのが分かる、ただ一人だけ‥‥


「あれ? ハヤト隊長そろそろ休憩ですか?」

 と嬉しそうに、てくてくとコチラに向かって歩いてくるタクティアを除いては‥‥


 タクティアを無視し地中の探知だけを続けてみる、何となく魔力が「スッ」と抜ける場所がある、こういうのは初めての感覚で戸惑うが、その抜ける場所に移動しその真上に立ってみる、魔力が抜けるのは俺の今立っている場所を起点にし右側と左側両方に真っすぐ伸びている


「タクティア」


「何でしょう?」


「俺の右手の方には何がある?」


「ヨルド要塞ですね」


 これは‥‥もしかしてトンネルでは?  


 『収納』から魔法を改良し記録しておくためのノートを取り出し、地中探知の為に書いた魔法陣のページを開く


 そうだよ、トンネルがあるなら魔物じゃなくてトンネル内にいる敵兵を探さなくちゃいけないんだ


 今、地中を探知する為に使っている魔法は、主に魔物に対する探知だった。

 単に練習を兼ねての物だったが、もし本当に敵兵がトンネルを掘り、そこを通って背後に回っていたら‥‥

 魔物の探知から、生命全てに反応する『探知』魔法に切り替えるため、ノートに記された魔法陣のどこを弄れば出来るか考える


「うわ!」

 横からのぞき込んでいたタクティアが驚いている、その様子からタクティアは無駄の無いすっきりした物が好きなんだろう


 魔法を契約出来た者誰もがする事

 それは魔法の改造、自分好みの形にするため、誰もが一度はやっているはず、俺のノートに書いていた魔法陣は二重三重にも魔法陣が重なり、魔法陣内にも細かく書き足されている、消費する魔力から範囲、発動時間から消失までの時間など、びっしりとその魔法陣の情報がノートに書かれている

 

 中には「そんなのは無駄だ」と言う人もいるだろうけど、多分今回その無駄がトンネルらしき空洞を発見できたと思う、自分でも何故トンネルらしき空洞を発見できたか分からない、色々な物を付けたし、その偶然の組み合わせが今の結果だと思う。


 どこを削除し、どこを付け足すか? じっくりとノートに書き込みたいがそれは後にしよう、頭の中で「魔物」の部分を「生命」に変える、頭の中にに浮かんだ魔法陣を音符のように読み解く


「地を這いずりし生ける者の姿を示せ、『探知』」

 地中探知用の杖を地面に突き刺すと、頭の中に多くの数の命の反応が返ってきた、足元には数多くの命がうごめいており、地面の上に立っているのが気持ち悪くなる。


 大きさを絞る‥‥30センチ以下の物は切り捨てる


 大きさを指定したことで命の反応がゼロになった。

 俺の右手の方角から足元を通り、左手の方角にかけて魔力がすぐに抜ける状態も続いている


「タクティアちょっと足を借りるよ」


「はい?」


 「コン」と、タクティアの靴の金属板がついている場所を、杖の先端に当てる、すると生命の反応が確かに出た。


 よし、成功だな

「皆、トンネルらしき空洞が見つかった」


「ホントか!?」

「やりましたね! 大手柄ですよ」


「俺の真下を要塞の方角からあっちに掛けて空洞らしいものがある、空洞の大きさまでは分からないけど、これから出口があるだろう場所を捜索する、周囲の『探知』はするけれど警戒は怠らないでくれ」


「「「 はい! 」」」


 周囲を警戒しつつ出口があるだろう場所に向け、進んだのだったが‥‥

「ハヤト隊長が発見した物が‥‥もしこれが本当にトンネルだったら、ここも危険地帯になるんじゃないですかね」


 タクティアがそんなフラグめいた事を言い出した

 

 おい、やめろよ

「タクティア一応ここも安全が確認されているんだよな?」


「ええ、間違いありませんよ、ただ‥‥」


 言うなよ、言うんじゃないぞ


「たまたま別の偵察隊が調査の時に、敵兵が駆け付けるのが間に合わなかったり、新しく拡張してたりしたら‥‥」


 頭の中にパッっと反応が確認された、場所は後方要塞の方角、距離は40メートル、かなりの数だった


 ほれ見た事か!!


 後ろを振り向くと目視できる範囲では誰もいない、『潜伏・隠蔽』魔法解除にも引っかからない、だったら足元のトンネルか‥‥、いやしかし‥‥本当にマシェルモビアの‥‥


「タクティア」


「はい、何でしょう?」


「ここら一帯に、俺達以外のハルツール軍の隊がいるという報告はあったか?」


「いえ、ありません我々だけです」


「ここに民間人がいるという報告も無いな?」


「絶対にありません」


「もし、ここにはいないはずのハルツール軍の人間を殺した場合、俺は罪になるか?」


「報告が無い物はいないのと一緒、いない者を殺しても罪にはならないでしょう」

 

「では本来いないはずの民間人を殺した場合は?」


「揉み消します」

 ハッキリとタクティアは言い切った、なら‥‥やるまで!


「奇襲に備えろ! 北側要塞方面を警戒!」

 

「ベルフ、ライカは前に! エクレールはその後ろに付きなさい! ソルセリーは私と」

 タクティアが続けて指示を出す


 同時に召喚獣ノーム3体も移動させる、横からの攻撃に備え2体を隊の左右に、1体を俺の側に配置


 まず奇襲をかけるなら後方から掛けるだろう、という事はトンネルを通りその背後から奇襲、更に奇襲が成功したのち、前方から、つまり要塞側からの部隊が来るはず‥‥なら!


 先に真下を通り、後方から仕掛けるであろう部隊を潰す!


 まさか人間相手に使うとは思っていなかった。

 大陸深部を通過した際幾度となく恐怖を味わったワーム、その対ワーム用に開発した魔法。

 

 杖を地に深く刺し詠唱する

「『火よ』『土よ』互いに交わり、連なり、全てを飲み込め!」


 足元の温度が急激に上昇する


 地中に溶岩を作り出し、その真下の土を侵食して行く、土を吸収しそして、更に火力を増幅させることによって、より大きく巨大な溶岩流となってトンネルらしき箇所へと迫る、あまりの熱量に地表から水蒸気が噴き出し、場所によっては小さな炎がユラユラと揺れている


「あちちち」

 地表から出て来た炎にタクティアが当てられたらしい、「熱い」と言いながら足首を抑えている



 そして


 ズン!‥‥

 足元から爆発のする音が聞こえた。

 

 俺の足元には無数の生命の反応がいくつもあった。

 それは隊列を組み俺の真下を通り過ぎようとしたが、丁度その隊列の中心に溶岩が到達し、その内のいくつかが消えた。


 


 以前天使ネクターと食事をしていた時、自然現象の話になった事がある、地震や雷、火山の噴火から吹雪など、地球の事を話したら


「凄い過酷な場所なんだね‥‥」


 と言われた、前にも誰かに言われたことがある、ネクター曰く、この星は女神サーナと女神マシェルによって天候から何から全て管理され、そういった自然現象などは皆無だと言う


「僕が作られる前にこの星はそうなったからね、僕自身そんなのは見たことが無いんだよ」

 と言っていた。


 ネクターすら見たことが無い物を、この星の人々が知っているはずがない、よって、いきなり降り注いだ溶岩を見て、このトンネルらしき空洞の中を進んでいた者達はどう思っただろうか? 頭から溶岩を浴びてしまった仲間を見てどうするだろうか?


 火が出た? 水を掛ける?


 敵兵の『火』魔法攻撃? ならこちらも『火』魔法で相殺しよう?


 残念ながらどちらも不正解になる


 この魔法の名前は「置き土産」と言う、ワーム用に開発した2つの魔法の内の一つ、適当に付けた名前だけど、本来地中を進んできたワームの進路上に発動させ、その場所を通ったワームが「ジュっ!」と焼かれるように魔法を調整した。

 

 そのためにはただの『火』魔法では火力不足、火力を増す為に用いたのが『土』の魔法、その二つを組み合わせることで溶岩を作り出すことに成功した。

 土の量を変え、温度を上げれば溶岩の粘度も変えられる


 魔法を魔法で相殺、つまり消す場合同じ属性同士の魔法を当てなければならない、この溶岩は『水』は論外として、『火』だけでも相殺することは出来ない、『土』の属性もあるため‥‥


 ズン!‥‥


 両方の魔法を同時に使用しないと爆発する


 二度目の爆発音


 トンネル内は今どうなっているだろうか? 狭いであろうトンネル内での爆発、今ので多くの反応が消えた。

 それに構わず更に溶岩を流し込む、パチパチとはじける音が聞こえ、周りの木々がくすぶり始め不快な臭いが立ち込める、そして徐々に煙が辺りを包み‥‥‥


 燃え出した。


 肌に感じる熱が大きくなるが気にせず更に流し込む、既に地中での生命の反応は無い、逃げたのかそれとも全滅したのか‥‥


「ふぅ‥‥」

 ここで魔力を止め溶岩の流れを止める、気づくと周りの木々がかなりの勢いで燃えていた。

 他の隊員達の周りには氷の壁や土の壁が出来ており熱を遮っている、俺の周りにも氷で出来た薄い壁が出来ている、多分エクレールがしてくれたんだろう


 周りの木々がかなりの勢いで燃えているにも関わらず、誰一人として慌てている者はいない、それもそのはず、空には急速に雲が形成されており、そして‥‥


 ポツン  ポツン    サー


 雨が降り出した。

 女神が天候まで管理する世界で災害はあり得ない、災害と特定された周りの炎は雨によって静かに鎮火していった。



 ・・・

 

 ・・・




「本隊の方も帰ってくれたみたいだ」


 ポッポに認識阻害の付与してある布を着させ、要塞方面に向けて飛ばした。

 場所は俺達から4キロ程離れた場所で『潜伏・隠蔽』を使用していたが、ポッポを触媒にしてそれを解除し発見した。

 マシェルモビアの兵士は『潜伏・隠蔽』を解除され驚いていたが、すぐさまポッポに持たせておいた人工魔石を投下、魔石にはナパームに似た魔法を付与しており、地に落ちた瞬間燃え広がった。

 発見されたと認識したマシェルモビアの兵士は、そこで反転、撤退をして行った。


「良かったですね、撤退してくれて、正直戦力的にこちらの方が不利でしょうからね」


「ああ、敵の数もかなりいたしね‥‥よし! このままトンネルの出口付近へと向かう、一応トンネル内の反応は全て無くなったけど警戒はしておいてくれ、俺が対応する前に通り抜けた兵もいるかもしれない」


「「「了解」」」


 一通り指示をした所でベルフが

「ハヤト、さっきの魔法だが‥‥ワーム用に改良した魔法の一つなんだよな? あんなに大がかりだったのか? あれがワーム用なのか?」


「ワーム用だよ、本当はもっと小さくても済むんだけど、今回はトンネルだったから多めに注ぎ込んだんだよ」


「結局そのワーム用の魔法って、どんなもんなんだ?」


 どんなもんと言われても困る、溶岩を見たことが無いのにどうやって説明を‥‥おっ!

「鍛冶なんかで金属を溶かすでしょ?」


「ああ」


「そのドロドロしたような熱い物をトンネル内に流し込んだんだよ」


「‥‥結構温度があるはずだよな」


「そうだね」


「その‥‥トンネルの中はどうなったんだ」


「さあ? 多分骨も溶けてるかもね」


「「「「うわぁ‥‥」」」」


 ドン引きしている隊員達だが、一つだけ気になった事があった。

 召喚獣のポッポを飛ばした時に、いつもなら緩い弧を描いて目的地に飛び立つのに、今回は一直線に目的地に飛び立っていった。

 どうも様子がおかしい、本当にどうしたのか?




 1時間後


「うむ‥‥見つからないな」

「ハヤト本当にここらへんなのか?」


「間違いない、多分ここ周辺だと思うんだ」


 トンネル内の出口を探す為場所を移動したが、途中で空洞の反応が『探知』できなくなってしまった。

 溶岩が固まって塞いでしまったのか? とも考えたが、トンネル自体を埋めてしまうほどの量は流してないと思う、なぜ突然反応が消えてしまったのかが分からない


「早く見つけないとまずいわね、要塞から敵部隊が出てくる可能性もあるわ」


 そう、地中を通っていた部隊からの連絡が途切れてしまったら、普通不審に思い部隊を派遣してくるだろう、地中の部隊は多分連絡も出来ずに溶岩に飲まれたと思う、だから要塞からの本体があの時撤退していなかった。そして俺の魔法に捕まったんだろう


「はぁ‥‥辛い‥‥」

 タクティアのため息とボヤキが聞こえる、やっぱり任務が終わったら無理やり早朝ランニングに連れて行こう、タクティアにも体力づくりしてもらわないと


「タクティア殿!!」

 ライカがいきなり叫んだ

 俺は念のために周囲を『探知』していたが、タクティアの居たであろう場所から反応が一つ消えた、その場所を見るとタクティアの姿は無かった、一瞬で全身の血の気が引いた


 しまった!

「タクティア!」


「はい、何ですか?」


「う゛、ん゛ん゛ん゛━━━!???」

 姿が消えたタクティアが、急に視界に現れた


「タクティア! 貴方どうしたの!?」


「はい?」

 何ですか? と言いたげでキョトンとしている


「今お前がどこに行ってたかって事だよ!」


「タクティア殿、何があったんだ!?」


 皆にエライ剣幕で迫られたタクティアはしどろもどろになり

「え‥‥いえ‥‥その、本当に足が辛かったんで、ここの石にちょっと腰かけたんですが‥‥あの‥‥すみません」


 タクティアの指差した場所には小さな石があり、その横には大きな岩があった、高さ2メートル幅が3メートル程、そしてその横の小さな石、そこに腰かけたと言う


あれ? こんなところに岩なんかあったか?


「石だって?」

 ベルフがタクティアの言った石に触れると、今度はベルフの姿とベルフの反応が消えた


「ベルフ!」

 ライカが慌ててベルフがいた場所に近づくと、今度はライカの姿と反応が消えた


 ‥‥俺も消えた場所に近づいてみる事にする

「隊長待ちなさい! 貴方まで居なくなってしまったら!」

 ソルセリーが止めようと叫ぶが、構わず石に近づく

「隊長!」


 俺の後ろでは叫ぶソルセリーと、目の前にはさっき消えたはずのベルフとライカがいた。

 ベルフはじっと俺の顔を見ていた


「隊長はどう思われますか?」

 ライカが聞いてくる


「うーん、ソルセリー達には見えていないし、声も聞こえてないみたいだね、特殊な結界でも貼ってあるのかな?」


「結界ですか‥‥」


「俺の持ってる最新版の魔法大全集にも、こんなのは無いと思うよ」


「あっ、隊長も持っているんですね、自分も毎年新しいのを買ってるんですよ」


「でもライカは魔法使えないでしょ?」


「それは‥‥自分の夢ですから、いつか何かの拍子で使えるかも‥‥とか考えたりするんです」

 ちょっとだけ照れながらライカは言った


「そっか‥‥それにしてもタクティアのヘタレ具合に感謝だね、今回の手柄はタクティアだな」


「そうですね、それじゃあここから出ましょうか?」


「だな」


 すぐ横でこちら側に入ってこようとするタクティアを、必死に止めようとするソルセリーを安心させるためにその場所から出た。


 


 この場所には地下に潜るための階段が設置されており、変わった魔道具が置かれていた。

 その場所は本来、岩があるはずの場所だが、近づくと岩の中? に入る事が出来、外からの目視はもちろん、『探知』魔法も通用しなかった。


 俺達はその魔道具を回収しキャンプ地に戻る事になる、そして、マシェルモビアは地下に作ったトンネルを通り背後から奇襲をかけるのではないか? という説を実証することになった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。