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75 攻略手順


「トンネルの中を埋めちゃったのは不味かった?」


「いえ、あの中を通って要塞に行くには危険すぎますから、敵の出口を一つを潰したという事が大事です」


 ヨルド要塞の地下トンネルの出口を見つけ、そこで不思議な魔道具を発見した。

 大きさは電子レンジ程で、起動するとその魔道具を中心に岩が周りに映し出され、その時その岩の中にいる者は外部からの目視で確認出来なくなる、更に『探知』魔法にすら反応しなくなった。

 その上、最初からその場所には岩があったのだが、認識出来なかった。

 タクティアに「この石に腰かけた」と、そこにあった石を見て初めて隣に岩があるのに気が付いた、間違いなく『幻惑』の認識阻害が付与してあると考えてもいいと思う。


 そして、その不思議な魔道具を持ってキャンプ地にに到着した。


「ではハヤト隊長、報告してきます」


「よろしく」


「ハヤト隊長は魔法の完成をお願いします」


「わかった」


 タクティアはラブル中佐に報告と、魔道具の解析をお願いに行った。


 さて、俺の方はっと


「悪いけど誰か手伝ってもらえないか?」

 やる事は地下トンネル用の『探知』魔法の完成、完成と言っても劣化バージョンになる、魔力消費がそこそこあるのでその軽減と、空洞に反応し尚且つ生命にも反応する『探知』魔法


 地表からトンネルまでの詳しい距離や、鮮明に生命に反応しない、ただ人が通ると点ではなく靄のように映り数までは分からない。

 トンネルも人もただ大雑把に反応する、そう改造することで消費魔力を抑える


「私が手伝うわ」

 ソルセリーが手を上げてくれた、非常に助かる、目の前に人の入れる穴を掘り、そこに段差を付け下に降りれるようにする


「じゃあソルセリー、悪いけどこの穴の中に入ってくれるかな?」


「嫌よ」


「え! ええ!?」

 ビックリした


「何で私が穴の中に入らなきゃいけないの?」


「いや‥‥だって今‥‥」


「ベルフ、貴方が入りなさいよ」


「え? 別にいいが‥‥何で俺に‥‥」

 何か釈然としない表情で穴の中に入って行った。


 俺も釈然としない、こんな凄い手のひら返しを見たのは初めてだ

 協力してもらうベルフには、ありがとうの意味を込めて、オヤスの喫茶店で作ったチョコレートを上げることにする、『収納』から魔法で出来た氷の塊を取り出し、その氷を魔力に戻すと中にはチョコレートが入った小さな箱が出てくる


「ベルフにはお礼にコレあげるよ」


「お! 何だ? 何を貰えるんだ?」

 箱を開けてみると‥‥

「何だこれ、黒いんだが‥‥しかも硬いし」


「甘い食べ物だよ、オヤスの店で作ってもらったんだ、まだ商品として売り出してないからね、今度出る予定の新作だよ」


「あの店の‥‥」

 見た目の黒さと硬さに戸惑うが、意を決してそれを口に入れた。


「‥‥美味いんだが」


「そお? ならもう一個あげるよ」

 こっちに来る時に10個位オヤスに包んでもらった。

 本当のチョコレートとは程遠い味なので特に食べたいとは思わない、なので欲しいならあげちゃう


「いいのか!?」

 ベルフはかなり嬉しそうに2個目のチョコレートを頬張る、それを見ていたソルセリーは少し気になったのかチョコレートを食べるベルフをじっと見ていた。


 穴に入ってもらったベルフを実験台にして、劣化版地中『探知』魔法を完成させるため、実験を開始した。



 ・・・・・

 

 ・・・・・



「ライカ! ライカじゃないか! 来てたのかい」


「ん? ポージュ!」


 ライカは久しぶりに、前の隊で一緒だったポージュと会うことになる


「久しいねぇライカ、元気だったかい?」

 ライカは軽くポンポンと頭を叩かれる、それで少し照れ臭そうにする


「怪我も無くいつもどおり、ポージュの方は?」


「あたしの方もいつもと一緒だよ、それでライカ、色々とゆっくり話がしたいんだけどねぇ‥‥さっきから周りが騒がしいんだよねぇ、何か知ってるかい? アルフレッドもさっき隊長に連れていかれたし」


 ポージュが言う通り、周りは今まで静まり返っていたのがウソのように騒がしく、そして皆急いでいる様子だった。


「ヨルド要塞のトンネルが見つかったんだ」


「え! 本当にあったのかい?」


「うん、アルフレッドが連れていかれたのも、ハヤト隊長が改造した『探知』魔法が関係していると思うよ」


「まさかとは思うけど‥‥あんた達が見つけたのかい?」


「ああ、自分達が見つけてきた」


「そうかい! よくやったよ! あんたとは同じ隊に所属してたからねぇ、あたしも嬉しいよ」


 ポージュは依然と変わらずと言った所だった。

 ライカはそれでホッとするのと同時に、離れてしまった事に少し寂しさを感じていたる反面、ポージュはフレックス隊の中で一番面倒見がよく、皆の母親的存在だったので、そのポージュに自分がこの隊でも上手くやっていけている事を示す事が出来、嬉しくもあった。



 ・・・・

 

 ・・・・


「この回収した魔道具ですが‥‥」


 俺が作った指令塔の下層にある会議室(仮)で、連隊に属する隊長達、そして『探知』持ちの兵士が集まっている、俺達ハヤト隊は少数なので本来であればこういった場所には呼ばれず、後で報告を受けるのだけれど、トンネルを発見した部隊というのと、6人しかいなくても破壊の一族の部隊になるため、いま会議室内にいる、それと、俺が改造した魔法についても用事が有る。


「まず『幻惑』の認識阻害が付与してあります、外観は4種類用意されていて、岩や巨木など自由に設定できるようになっていました。

 外から見ると本物の岩などに見えます、更に中にいる人間は『探知』に反応しません、もちろん『潜伏・隠蔽』解除を使用しても変わりません」


 タクティアが集まっている者に対し説明をする


「なるほど‥‥その用意されている外観を全て覚えても、認識阻害があるから見つけにくいという事か」

「見つけにくい上に、この広い場所をそれだけを狙って探すのも至難の業だぞ」


 その場にいた隊長クラスの人達から不安・不満、様々な声が出される、確かに範囲は限られているが、その範囲がかなり広い、その中からこの小さな魔道具を見つけるのは困難だ。

 しかもその魔道具からは認識阻害の魔法が発生されている


「確かに、トンネルの出口を守るこの魔道具を見つけるのは困難でしょう、なので」

 タクティアから目配せを受け、俺が前に出ると‥‥


 ん? 何やら手を振っている人がいるけど‥‥あれ? アルフレッド?

 アルフレッドもこっちに居たのか、てことは、ポージュもこっちにいるのかな?



「ハヤト隊隊長のウエタケ・ハヤトです、今回トンネルの出口を見つけたのは、出口を見つける前にトンネル本体を発見したからです」


 トンネル本体?‥‥と、ざわざわとつぶやく様に騒ぐ出席者たち


「まずはここに集まっている『探知』魔法を持っている方に、この資料を回します」


 『探知』持ちの兵に、俺が作った魔法陣が記された資料が回される


「ほう‥‥地中の中の生命を探知するための魔法陣か‥‥」

「へーぇ、変わった魔法陣だな」

「無駄が多い気がするぞこの魔法陣、こんなのが‥‥」

「確かにこれだと‥‥色々ごちゃごちゃしてるし」


 渡された資料を見る『探知』持ちの兵士たちからは、あまりいい声が聞こえてこない


「今渡した資料に書かれた魔法陣は、地中にある空洞を探す為の物です」


「「「空洞!?」」」

 

 軽く頷き

「元々は大陸深部にいるワームを発見するための物でした」


 『大陸深部』この言葉を聞いた瞬間、さっきまで眉間にしわを寄せていた『探知』持ちの兵や、その他隊長達は、俺の方を注目する、中には姿勢を正す者もいる


「今回、その『探知』魔法の練習を兼ね使用していた所、偶然空洞‥‥つまりトンネルを発見することが出来ました。

 一見意味のない物がその魔法陣には記されていると思いますが、その偶然の組み合わせで空洞にも反応するようになったと思います、これはその『探知』魔法の簡略版になります。

 まずは魔法の範囲、地下35メートルまでの『探知』が可能です、その時何かしらの空洞があった場合、その箇所だけ魔力が抜けるのが分かるようになっています。

 そして生命の『探知』にも対応しており、反応する大きさは約1メートル以上の大きさから、その場合魔力の消費を抑えるために、本来、「点」で見える生命の反応が、靄のようにしか見ることが出来なくなっています。

 消費する魔力量ですが、通常の『探知』とほぼ同等の物に抑えてあります、発動条件ですが、地面に足が着いていれば足を通じて発動可能です、この魔法陣については以上です」


 俺が言い終わると、その渡された資料に対しざわざわと小さな声で話し合う声が聞こえてくる


 タクティアに目配せすると軽く頭を頷かせる、出番の終えた俺は椅子に座り後の説明はタクティアに任せる


「渡された資料に乗っている魔法陣については以上です、そしてこの『探知』を使用してですが‥‥

 まず、トンネル本体を発見し、それを伝ってトンネル出口付近に移動、それからは目視での調査になります、大体の場所が分かれば発見もたやすくなるでしょう、ただし、その『探知』に生命の反応があった場合、即撤退をしてください」


 その場にいた全員が頷く、この魔法に関する否定的な意見は無いようだ。


 タクティアは続けて話を続ける


「今回、この魔法を用いて、敵軍が使用する魔道具を回収し、ヨルド要塞地下トンネル出口を発見・封鎖、そして安全を確立した後、要塞本体に侵攻する事を、ハルツール軍参謀タクティア・ラティウスが提案します」



 タクティアの案はラブル中佐により承認され、実行される事になる、次々に敵要塞トンネルの出口を封鎖し、魔道具を回収して行った。

 

 ヨルド要塞の東側から南側、西側のトンネル出口ほぼ全てであろう箇所を封鎖する為には約一月の時間が必要になった。


 そして、いよいよ要塞攻略の段階になった時、軍本部からの通達があった。

 その内容は


『ヨルド要塞攻略にあたり、破壊の一族、サコナ・ソルセリーの「消滅」魔法を使い、要塞を完全に破壊せよ』



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