↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/260

42 ポージュ同伴

「あそこで待っていれば良かったはずなんだけどねぇ」


「そう言いつつ、来てくれたじゃないですか、召喚者のポージュと『探知』持ちがどうしても必要だったんですよ」


「脅しておいてよく言うよ」


「何の事でしょうか?」


 このグースの隊長とやらが、あたしとアルフレッドに向かっていきなりついて来い、て言うからついて行ってるものの、一体何をさせられるのかねぇ‥‥『照明』の魔法で前方を照らしながら目の前を走る‥‥あー、ハヤトって言ったか? 変わった名前だよ


 ハヤトはさっき塔から出て行く時乗っていた、羽の生えた召喚獣に乗ってあたし達を先導している、さて? 羽はどこに行ったのかねぇ? 角なんか生えていたっけ?


 あたしは自分の召喚獣の『カーネロ』に乗り、アルフレッドを後ろに乗せ追走している、『探知』魔法が使える人とのご指名だ。

 『探知』が使えるのはうちではアルフレッドのみ、気の毒に‥‥、あたしの腰に手を回して捕まっているが、その手が震えているのが分かる、やっぱり怖いんだろう、あたしだって怖い、ただそっちの方に思考がそれてくれると助かるよ、最近というか‥‥結構前から腰辺りに余計な肉が付き始めたからね、年は取りたくないよ‥‥。


 夜に緩衝地帯を進むのは自殺行為だって言われている、そりゃあそうさ、魔物も夜は寝るとはいえ、音で起きるかもしれないし、夜でも活動する魔物だっているだろう、致し方なく進むときは慎重に慎重を重ねて進まなきゃいけない、だけど、目の前を先導するハヤトはそんなのお構いなしに速度を出している、こんなに早く移動したら『探知』魔法も意味ないだろうに、でも‥‥広域探知が出来るみたいだから何かしらの仕掛けは持ってあるのかねぇ。


 ・・・・・・・・


 ・・・・・


 暫く走った所で、ハヤトは速度を落とし


「ここいら辺にしましょう、丁度風下になるし」


「なんだい? ここにその洞窟があるのかい?」


「いえ、洞窟はもう少し先です、ここから召喚獣を洞窟の中に入れて調査します」


「寝てるだろうとはいえ、バレるんじゃないのかい?」


「その備えもしますよ」


 間違いなく『幻惑』魔法だね、認識阻害を掛けるつもりか‥‥、それを掛けた召喚獣を洞窟に入れるんだね? そして、多分その召喚獣の目で見た物を自分の目に写す、このハヤトはそれが出来るんだろうね‥‥あたしも挑戦したことはあったけど、結局は駄目だった。

 向き不向きがあるからねぇ


「それで? あたし達は一体何をすればいいんだい?」

 何となくは分かっているが一応聞いておく

「それと、ここら辺は魔物が多いんじゃないのかい? 集落出身以外の魔物もいるかもしれないし」


「召喚獣の目と耳を通して洞窟内を調査するので、その間、俺の周りで起きている事が分からないんです、なのでアルフレッドは俺の周囲の『探知』を、ポージュは何かあった時、召喚獣にアルフレッドを乗せて逃げる役目をお願いしたいんです、それとここ周辺には魔物はいませんでしたよ、戻る前に一帯を確認しましたから」


「り、了解した」

「わかったよ」

 

「取りあえずは小屋を作って‥‥っと、じゃあこの中に入りましょう」


 ‥‥何だいこりゃ? いつからあった?


 あたし達の左手には小屋どころか、いつの間にか平屋が一軒建っていた


「‥‥なぁ、アルフレッド」

「俺に聞かれても分からないぞ」


 そうかい。


 ・・・・・


 小屋の中は、真夜中とは思えないほど広く明るく、ソファーやテーブル、戸棚、椅子はもちろん何故かベッドまであった。

 全て土で出来ていたが‥‥


「なぁハヤト何してんだい?」


 ハヤトは戸棚に何やらしまっている


「トロン茶とクオルシを入れておきましたから、好きに飲んでください」


 いや‥‥要らないよ、何でその二つを飲ませたがるのかね


「やかんはこれを使ってお湯を沸かすときはここに置いて下さい、この下にここにある魔石を入れると熱が出て沸騰しますから、コップはここです」


 水はこれを使ってと言い『収納』から出してくる、それだけ言うとハヤトは鳥型の召喚獣を呼び出し、その召喚獣にあらかじめ調整をしていたのだろう、その鳥にピッタリの布を着させて扉から外に放した。


 間違いなく今の布に『幻惑』が掛けてあるね、だとしても、そんなにうまくいくのか?


 ハヤトは一人掛けの椅子に座った、召喚獣が到着したら調査に入るのだろう


「あっ、ちょっと待ってくれ」

 アルフレッドはハヤトに近づくと、ハヤトの右手に回復魔法を掛けてやる


 ありゃ? 指が無いねぇ、怪我をしてるってのはこの事だったのかい、ハヤトの威圧に気を取られて気づかなかったよ、アルフレッドはよく見てるねぇ


「 ? ?‥‥‥‥あ! そうか、ありがとうございます、長いこと無かったもので忘れてましたよ、あの村には『癒し』を使える人がいなかったし」


「忘れるってのも普通は無いと思うが、明日もまた掛けてやるからな」


 ・・・・・・・・

 

 ・・・・・・


「では、あとはお願いします」

 そう言った後、あたし達の間に簡単な間仕切りを土で盛り、自分の姿が見えないように配慮していた。


「洞窟内に入ったか‥‥、ところでアルフレッド、最初に渡されたこの人工魔石は何だい?」

 コンセの村から出る時に魔石を渡されたが、何の意味があるのかがわからなかった


「それは『洗浄』魔法の消臭が掛けられてるな、ライカン対策だろ?」


 なるほどね、匂いをだどられないようにか、ん、アルフレッド?


「あんた何をしてるんだい?」

 アルフレッドは戸棚を開けクオルシを取り出している


「いや、一杯飲もうと思って」


「正気かい? あんなの人の飲む物じゃないだろ」


「これ眠気覚ましにもなるらしいからな」

 お湯を沸騰させ、そしてクオルシを入れアルフレッドは飲んだ、アルフレッドの顔の中心に向かって、いろいろなシワが刻まれていた


 馬鹿だねぇ~


 ・・・・・・


 ハヤトが調査を始めて1時間程経った時‥‥‥‥


「撤退します、急いで!」

 急に意識を戻し、続けて自分で作った小屋を魔力に戻し消した、一瞬にして消えたせいで、棚に入れてあったクオルシとトロンが地面に落ちる。

 

 あたしはアルフレッドを召喚獣に乗せ、すぐさま村へと急ぎ帰る、ハヤトは鳥の召喚獣を魔法陣に戻してからくるだろう、あいつは空を飛べるから魔物に捕まることもない。


 急ぎ村に戻る途中、頭の上を何かが飛んで行った音がした。

 ハヤトの召喚獣だろう、物凄い速さだ、あたし達が付くころにはアイツはもう寝てるんじゃないかね。


 村まであと半分の距離に来た時、頭上を何かが通り過ぎる音がした


「何だい今のは?」


「ハヤトの鳥型の召喚獣だな、『探知』に向かったんだろう」


 出て行ったり戻ってきたり、せわしない奴だねぇ‥‥


 ・・・・・・・


「お疲れ様~、何だか大変だったね~」

 失神状態だったフレックスは、やっと回復したのか、魔物を誘い込む罠の壁の上でお茶を飲んでいた


「そんな所で何してんだい?」


「今日は明るいうちから沢山寝たからね、だから夜番してるんだよ」

 

 アレを寝たってことにしたいのかい‥‥


「監視塔の上で待機してたらいいじゃないか」


「さっきまではそうしてたんだけど‥‥、勘がね、ここにいた方がいいって、それに誰か一人はここに居なければならないみたいだからね、村の人と変わってもらったんだよ」


 アルフレッドが小声で、「ポージュあまり踏み込まないでやれ」なんて言ってくる、じゃあそうしようか


 しっかり夜番するんだよと言い残し、ハヤトがもう居るであろう監視塔の上に行く


 ・・・・・・


「で? さっきはどうなったか詳しく聞こうじゃないか」


 探知中のハヤトは、既にあたし達を待っていた。


「人と同じように魔物も年を取るらしいんですよね」


 そんなの当たり前だろ?


「年を取るってことは、魔物の集落の中には、老いた魔物もいたんですよ」


「だからどうしたって言うんだい?」


「年寄りって、夜中にトイレに行きますよね? 寝ぼけた状態でフラフラと歩いていたその魔物に、俺の召喚獣が蹴飛ばされたんですよね」


「ぷっ!」

 アルフレッドが吹き出し口元を抑える、あたしも最近夜中に起きることがあるから、少しだけ心に刺さる物がある

 

「で、逃げたって訳か」


「いやぁー焦りましたよ、あまり遅すぎると駄目ですね、明日はもう少し早い段階で潜ることにしましょう、なので明日もお願いします、」


 ・・・・・・・・・


 ・・・・・・


 日が変わり辺りは既に真っ暗な状態、あの仮面を外され、直接威圧効果を受けたくないから、素直について行く


「頑張ってね~」


 フレックスの間の抜けた声の見送りで、あたし達は再びあの場所に向かった


 到着するとハヤトはまたあの平屋を土魔法で建てる、今度は見逃さなかったが、早すぎてわからない。


「アルフレッド分かったかい?」


「早すぎて分からないが‥‥ハヤトの中ではもう形が決まっているんだろう、よっぽど繰り返し作っている証拠だな、あとは召喚者特有の魔力の高さもあるからな‥‥でも、やはりコツとかあるんだろうな」


 普通はここまでの物を作る時、休み休みやるもんだ、魔物がいるこの場所で、魔力の残りは大丈夫か? ってね、

 だがハヤトはそんなことを気にもしてない、ずっと一人で任務をこなしていたようだから、かなりの場数を踏んでいるんだろう、同じ任務でも、隊で行動するのと一人で行動するのでは全く質が違うからねぇ、ここまでなら大丈夫って線引きが明確にあるんだろう


「まだ調査が出来る時間までは少し早いから、中で休みましょう、一応トロン茶とクオルシも沢山持ってますから」


 だから、何でその二つを飲ませようとするのかねぇ


 調査までの時間を待っている途中で、アルフレッドが口を開いた

「なぁハヤト」


「なんでしょう?」


「お前が昨日使った『雷』があるよな? もしよかったらそれを教えてくれないか」


 アルフレッドは一体何を考えているんだ!? 「教えてくれ」と言っても普通は教えたりはしない。 

 アルフレッドもそれは分かっているだろうに、よほど信頼のおける者じゃないと教えたりはしないよ、自分が苦心して作り出したんだから


「いいですよ」

 え! いいのかい?


 ハヤトは『収納』からノートを取り出し、その1ページをビリりと破きアルフレッドに渡した


「「 えっ! 」」


 あたしは驚いたね! 苦心して改良した魔法の事を書き込んだノートを簡単に破いたんだから、普通はノート自体人には見せることはない、あたしだって自分の魔法を改良したノートは人の目に晒したことが無い。


「えっ、ちょっと!」

 オロオロするアルフレッドに、


「気にしないで、常に魔法は改良しているんで、別の新しいノートが既にありますから、このページに書かれたもの自体は頭の中に入ってますし」


「そ、そうか、すまない」


 ノートに書かれていた魔法陣、あたしは『雷』魔法は使えないから見てもちんぷんかんぷんだが、アルフレッドは違う、見た瞬間に目を少し見開いていた


 ・・・・・・・・


 ・・・・・


「後はよろしくお願いします」

 時間になったハヤトは洞窟の調査に入った


 暫くして


「アルフレッド‥‥、あんた何をしているんだい?」


「クオルシでも飲もうと思って」

 ガサゴソと戸棚を漁るアルフレッド


 懲りないやつだねぇ


「おっ! 小説があるぞ」

 7冊の小説を机の上に並べる


「そんな物まであるのかい、暇だしちょっと読んでみようかね」

 7冊の内の1冊を手に取って、タイトルを見てみる


『契約解除後の私は2度目の夢を見る』


 これでいいか、パラパラと読もうかね


 ・・・・・・・・・・


 ・・・・・・・


 ・・・・・


「はぁぁぁぁぁ~、いいねぇ~」


 思わずため息が出た、この小説は素晴らしすぎる!

 内容は、事故で旦那に先立たれた100歳の女性が、生きる希望を失ってしまい、女神様にそれを不憫に思われ、20代に若返えりをさせてもらう。

 そこで初恋の人そっくりの男性が現れ恋に落ちる、しかしその男性は初恋の人の玄孫だった。

 そこに主人公に思いを寄せるもう一人の男性が現れる、その男性は自分の玄孫だった、自分を取り合って二人の男性が争う様を描かれていた。


「どうしたポージュ、そんなに良かったのか?顔がにやけているが」


「最高だったよ、これの続巻があるらしいけど、ハヤトは持ってないかねぇ」


「持ってるかは知らないよ、それよりハヤトがもうすぐ終わる頃じゃないか?」


「もうそんな時間かい? 早いねぇ」

  面白かったせいか、いつの間にかそんな時間になっていたみたいだ


「それで? そっちはどうだったんだい、使い方とか分かったかい?」

 アルフレッドが先ほど貰ったノートの1ページ、それに書かれていることを出来るかどうか


「これに書かれているやり方はかなり特殊だった、あの『雷』は一つじゃなくて複数の『雷』を使っていた。それを体内の魔力だけで作り出し、更に大気中にある霧散している魔力で、それを束ね凝縮して落としていたようだ」


「ん~訳わからないねぇ」


「そうだな、ポージュの髪の毛の一本一本を自分の魔力と考えて、その髪の毛をゴムでまとめる」


「‥‥‥‥あー、なるほど、意味は分かったよ」


「大気中の魔力でまとめる事で、魔法自体を凝縮させる事が出来る、でもってあの威力って事だ。‥‥そしてどうやら俺の魔力量でも使えるようだ」


「ホントかい! 凄いじゃないか、アレが使えたらあの変種の魔物だって━━」


「しかし」


「ん? しかしってことは問題があるのかい」


「使ったあとは全く動けなくなる」


「それでも凄いじゃないか、使えるのと使えないのでは全く違うよ」


「破壊の一族みたいに、あとは守ってもらうしかないんだぞ」


「それでもさ、手札が一つ増えた事はいいことだろ?」


「しかしなぁ‥‥」

 困ったような表情を顔に出す、が完全にはその困った表情を隠せていない


「でも、実際の所今すぐにでも放ってみたいんじゃないかい?」


「まぁな!」

 アルフレッドは ニカッ! と笑う


 打つ打たないはさておき、どんな場面で、どんな使用をするかでアルフレッドと盛り上がっている時


「調査は全て終わりました」


 ハヤトが召喚獣を使った調査を終わらせた


「で? どうだった、軍に応援を頼んで、あんたが言ってた小隊クラスでも要請するかい? 来るかどうかは別として」


「ふふふ、小隊で大丈夫だと思ったんですがね、被害無しでいくには、中隊から大隊クラスじゃないと駄目でした」


 ははは、と笑うハヤト


 ‥‥‥‥冗談じゃないよ、コンセの村に何か来るんじゃなかった



「フレックスの勘も当てにならない時があるんだねぇ」


 なんやかんやで、フレックスの勘を信用していた自分に、心底うんざりした

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。