ちびっこ勇者助けられる
さて…どうしたものかしらねぇ…町を歩くと周りからは逃げられたり陰で何か言われたりでもう嫌になっちゃうわ…。
「ハァ…気が滅入りそうになるわ……」
人の噂も七十五日…とはよく言うけれど…半年後…この町に戻ってこれた時にこの噂…きれいさっぱりなくなってるといいなぁ……まぁそんな上手い話があるとは思えないけど。
そう思いながら町の外へ向かっていると一人の人物がこっちへと向かってきていた。
「ようマルア嬢ちゃんに勇者のボウズ」
「お…オヤジさん……」
非常に気まずい……赤の他人から陰口的なことを言われるのはまだ何とかなるけど顔見知りに正面から罵倒浴びせられるのはキツイ…!
「なぁ確認させてくれ……勇者のボウズが人を殺しちまったってのは本当なのか?」
「……本当です…僕が…この剣で…人を………」
「そうか……ボウズ、今回の事はお前の責任じゃねえ、この剣のせいだぜ」
「えっ…オヤジさんどういうこと?何か知ってるの?」
オヤジさんは髪の薄くなった頭を掻き申し訳なさそうな口調で語りだした。
「あぁ…その勇者の剣にはな所有者を守るための防衛機能って言うのがあるんだ。その剣の所有者…つまりボウズが危機的な状況に陥った場合に剣の魔力がボウズの体を一時的に支配して障害を排除しちまうってわけだ。この殺人は勇者の剣の防衛機能のせいで起こってしまったってところかね…」
「お、オヤジさん…何でそんなこと知ってるわけなの……?」私は目を丸くして聞いた
「あー…実はだな……俺は勇者の剣を作った一族の末裔…57代目ジョエール・マクシアン本人なんだよ。」
「………ハイ?」
イヤイヤイヤイヤ…え?今までただの鍛冶屋のオヤジと思ってたのにまさかの勇者の剣を作った一族の末裔?!
「いやー…今まで黙っててスマンな」
「おじさんすごい人だったんだ…お姉ちゃん知らなかったの?」
「初めて知ったわ…只の鍛冶屋じゃなかったのねー…」
「ハハハ…っとそうだ忘れるところだったぜ…ほらボウズアンタの鎧完成したから届けに来たぜ」
オヤジさん改めジョエールがそう言うと背中に背負っていた大きな袋から鎧を取り出した。
「こいつはライトアーマーつってだな、見た目はそこらへんの鉄の鎧みたいだが重くならんように軽量化魔法を施してる。つまりボウズでも楽に装備することができるはずだぜ」
「わぁ!ありがとうございます!すっごくカッコいい!」
そう言うとユキミヤ君はものすごい勢いで鎧に近づき目を輝かせながらジーっと鎧を見つめていた
「あっ・・・そういえばお金・・・70ゴールドだっけ?」
「いーやお代はいらんよ」
「えっでも…」
「ウチの先代が作った剣のせいでボウズが被害受けてんだ、迷惑料ってことでタダでやるぜ」
「オヤジさん…」
「っとそうだ嬢ちゃんにも渡すもんがあった…ほらよ」
そう言うとジョエールは袋から斧を取り出し私に渡してきた。
「オヤジさん…これは……?」
「嬢ちゃんが前修理に出してきた斧あっただろ?あれを加工してバトルアックスに改造したんだよ。もちろんこれもタダで渡してやるよ」
「ありがとうオヤジさん…いやジョエールさん」
「よしてくれ照れくさい。今まで通りオヤジさんで良いんだよ。」
ジョエールは照れ臭そうに鼻の頭をかくがすぐにまじめな顔に戻りこう言った
「さて…二人とも、これからどうするんだ?魔王を封印しに行くんだろうが魔王城の場所の目星はついてるのか?」
「あー…そういえば全く考えてなかったわね…」
「え?魔王上の場所ってもう分かってるものじゃないんですか?何度も封印されてるんでしょ?」
ユキミヤ君の言うとおり確かに何度も封印されているのだから場所くらいわかるでしょと言うのが普通の人の考えなのだが……そううまくいかないのが現実なわけで…
「それがねー…魔王城の場所って言うのが毎回ランダムなのよ。封印されて復活するたびに場所を変えてるのよ・・・・・・ホント厄介よねぇ…」
「ある時は森の中だったり、またある時は海底だったり、またある時は天空にあったりとかしたな…」
「えぇ…そんなのどうやって探せばいいんですか?」
「地道に探していくしかないわね…魔王城の近くには魔物がたくさん出てるって聞くしそういうところを当たっていけば見つかるでしょ!」
「えぇ…」
「まぁそんな事だろうと思ってたぜ…そんな二人にいい情報を教えてやるよ。この町から南北にむかってくとデッカイ山…アリヴェスタ山があるんだがその山にもしかしたら魔王城があるんじゃないかって言う噂があるんだ。当てがないなら行ってみるといいんじゃないか?」
「おぉ!ナイスだよオヤジさん!良しじゃぁ早速行ってみようユキミヤ君!!」
「う…うん!」
私たち二人は町の外へと駆け出していくと後ろからジョエールの大きな声が聞こえてきた
「嬢ちゃん!ボウズ!やられんじゃねえぞ!絶対に無事で戻ってこい!!」
ジョエールの声援を聞きながら二人はアリヴェスタ山へと向かって行った




