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夜空に見えるのは青い地球  作者: 妃 大和


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23. バイクラン

 とりあえず5メートルくらいの高さの空中をバイクで走る。

 5メートルあれば下に誰かが走っていても追い越せるもんね。それに只でさえスピード出すと風をきって寒いのに、上に行けばさらに寒くなるからこの位の高さで行こうかと。

 100キロ、オッケー!

 白いコートがなびくよ。私、格好いい。でも、中はジャージ。風が通り抜ける。現実は切ない。


 遠くに見えるうっそうとした森を目指す。あの森を抜けて行くそうだ。

 周りに建物は少なくて、石畳の道も最初ほど整備されていない。寂れた風景だ。生えている植物も少なく、住んでいる(獣人)も少ないんだろう。地球でいうステップ気候ってこんなとこかなって思う。


 シュア君の聞いてきた話だと私達の前にいる獣人お嬢様は8組。おいおい、バイクを見た数からいくと私達バイク組のビリの方じゃないの。

 森に入る前にちょっと順位を上げたいと思う。


「シュア君、少し飛ばすよ。」

「了解。」


 思念貴石に手からエネルギーが伝わっていくのを想像する。そのエネルギーが噴出するのをイメージして…Go!!


 わお、新記録120キロでましたけど。

 ちょっと寒いけど、まだ耐えられる。ヘルメットで覆われている顔とグローブはめている手、プロテクターでガードしている部分だけが少し暖かい。

 空中で周りに何にも無いから120キロだせるんだよねえ。視線は森。空中なら道も自由。

 おおー、地面走っているお嬢達、3組抜いたぞ。

 あれ、あんまり空中って走る人少ないの?


「やっぱり本能的に空中って不安定な所って、訓練受けていないと長時間コンスタントに走れないもんなんだよ。」


 とシュア君のお返事がきた。

 ん? 長時間は分からないけど、私走れてるよ。たった数日しか練習していないのに。むしろ地面より走りやすい。


「霧島さんは規格外。思念パワーの量だけなら超一級だね。波があるし、コントロールはまだまだだけど。」


 褒められているんだか、けなされているんだか…シュア君素直すぎてキツいです。

 はあ、とちょっと気を抜いたとたんにガクッとバイクの高度が下がる。危ない危ない。こういうことか。


「霧島さん、思念貴石との相性良いよね。」

「いくら相性良くても、バイクで空中飛ばすのは怖いよ。」

「さすが愛だねえ。」

「愛は関係ないと思うよ。」


 今ひとつ会話がかみ合わない、私とシュア君です。良い子なんだけどね。さりげに貴方も120キロ平気な顔で出してるじゃん。皇子の従者はチートなんだね。

 シュア君はなんと赤いヘルメットに黒い革のつなぎです。うわっ、身体のラインくっきりだあ。風は避けられるけど、太ったりなんてできないよ。

 革のつなぎなんて私は着れない。着たくない。恥ずかしすぎる。

 今日のシュア君は獣耳としっぽ無しです。私も獣耳カチューシャ無しだから、私ばかりが目立たないようにってことと、ヘルメットと革服の中に獣耳としっぽを入れておくのは窮屈なのに違いない。どう見てもヘルメットもつなぎの地球製だもんね。


 気持ちよくまさにビュンとかっとんで、森の入り口に到着。

 次のチェックポイントは森を抜けてからあるそうで。

 森に入る前にちょっと休憩です。


 今、目の前に見える森、ううん、森っていうよりジャングルだね。なんかウジャウジャしてる。

 結構木が高くて、見上げる首が痛い。奥は道みたいなのがあるけど先がよく見えない。

 バイクで進めるの? 獣とか虫とかでる?

 私の顔はかなり不安げだったことだろう。私がキョロキョロしているうちに、シュア君は火を焚いてお茶の準備をする。手際がいいね。


「こんなにゆっくりお茶していて時間大丈夫?」

「まだまだ先は長いし、思念貴石使っているから、ちゃんとリラックスする休憩とらないと。疲れがたまる前に解消させるのが優秀なサポート役なんだよ。」


 話をしながらもシュア君は手を休めない。手近な石を集めて積み、火の風よけをつくる。持ってきた荷物から水筒をだし、小さい鍋に水を入れて沸かしだした。いやあ、ホントに優秀ですね。

 レモンバームのような爽やかな柑橘系のハーブティーと共にお菓子はチョコレートです。わあ、このチョコ美味しい。高級な味がする。思わず喉が鳴ってしまった。


「練さまからの差し入れのチョコだよ。地球製。練さまの秘蔵品。」


 思わず手の中の小さな茶色い貝の形を見てしまう。

 気が利くんだよね。きっと周りの皆にさりげなくこういうことしているんだろうな。

 秘蔵品ってことは宇佐見君て結構甘いもの好きなのかな?

 私の口元に笑いが浮かぶ。


「霧島さん、食べているときは無防備だね。かわいい、かわいい。そうだ、良いこと教えてあげる。男ってさ、ガード堅いと近寄りたくても近寄れないんだよ。」


「ちょっと、シュア君の方が年下なのに、私を子供扱いしていない? それにガードって…シュア君は十分近いよ。」


 しっかり者で通ってきた私なのに。なんかシュア君がお兄さん的になっているし。ちょっとヤな感じとジト目で見る。

 また、ぷぷっとシュア君に笑われた。


「真面目なのが魅力の一つでもあるんだけどね。」


 さて、そろそろ出発しようかと二人で片付けをして、再びバイクに乗る。

 森には私が見たこと無い動植物がいるそうだ。基本、襲ってきたら「あっちに行け」と怒鳴ればいいって言われたんだけど。拒絶の思念をぶつければ相手はダメージを受けるとか。それでもダメならシュア君が剣で切りつけるって。

 剣で切りつけるのは見たくないなあ。動物なら血がでるよね。血自体は大丈夫だけど、切りつけるっていう行為が受け入れられないかも。

 それより襲ってくるって? そっちのが気になる。


「はあ。」


 あ、溜息でた。頑張れ私。

 そしてとうとう薄暗いジャングルのような森の中に足を踏み入れてしまいました。






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