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夜空に見えるのは青い地球  作者: 妃 大和


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練Side1

「面白いやつ。」

 それが俺が彼女に感じた印象だ。

 再会は四年ぶり。小学校卒業以来だ。

 話しやすかった記憶はある。女子として嫌いではなかった。

 でも、もう会うことはないと思っていた。お互いに引っ越ししていたし。


 それがまさかシュアがこっちに連れてくるとは…


 自分では人間と思っている。獣人の耳やしっぽなんて出し方はわからない。

 中学に上がるまで殆ど日本に住んでいた。日本の教育を受けていた。姉のような存在のシュリが獣人なのは知っていた。自分の父に獣人の血が流れているのも知っていた。ごくたまに母親と裏月に行って獣人の姿を見ることもあった。

 でも、獣人なんて周りの誰も知らない。まして裏月なんて場所、家族以外誰も知らない。それが当たり前の世界に囲まれていた。


 だんだん裏月で過ごす日が増えて、秘密を抱える量が増えていった。

 秘密を抱えているせいか、元々そうだったのか、周りの人たちにはあたりさわりなく接するようになった。カッコいいと言われる顔で爽やかに笑っていれば物事はたいていスムーズに進んだ。

 日本の中学生が求められる学力を身に着け、裏月の王族として求められる能力を磨き上げた。自分の居場所を得るために。


 王族の血が濃いほど獣人化はしない。人型のままだ。

 直系は精霊と精神感応ができる場合が多い。

 そして精霊の加護によって裏月は生かされていると言ってもいい。

 自分の血が裏月で必要とされているのを感じる。


 でも幼い子供の時に襲われる危険があるとか、下手したら食われるとかいうことで裏月に住んでいたのはホンのわずかだ。

 いくら王様の寵愛を受けている人間の母親の子供でも、親身に守ってくれる味方があまりにも少なかった。

 そんな物騒な世界に愛着はない。安全な日本が自分にとって当たり前の世界だ。

 裏月にずっと住むことは精神的にできない。かといって裏月を知っているものとして地球だけに住むことも出来ない。


 言葉に感情を乗せての会話の中で、自分への王族としての期待感、人間とのハーフという好奇心など色々な獣人から向けられる感情にさらされてきた。

 思春期真っ盛りに大いに悩んで、自分の身を守る術を身に付け、俺は裏月と地球の間を取り持つ存在になろうと決めたんだ。

 両方を知るものとして。人間と獣人王族のハーフとして。

 周りにいて俺を支えてくれる人達にその決意を話すと皆頷いてくれた。

 この人達のためにも努力しようと思う。


 他の人とは違う生き方を中学生にしてすでに決めた自分に不満はなかった。

 ただ自分でも少々堅苦しい生活している自覚はあった。

 秘密の多い生活で何でも話せる友人が作れないことだけ残念だった。そりゃ中学高校って親友とか彼女とか出来る時期だろ?

 シュリやシュアは家族のような従者だし。


 ここへ現れたのが彼女だ。

 一週間しかいないし、ちょっと思い出話してサヨナラと思っていた。

 面白いやつと思っているうちに、裏月の世界にどんどん関わってくる。

 お前それでいいのか?

 裏月のことに深く関わりすぎると抜け出せなくなるぞ。

 心の中でそう思いつつ口には出さない俺はずるい奴だ。自分だけが秘密を抱えて行き来していることがイヤになったのかも知れない。自ら巻き込まれていく奴ならそのままにしておくか。

それに俺を見てちょっと恥ずかしそうにする姿は俺のプライドをくすぐる。嬉しいかもしれない。


 獣人の誰がレースに勝ってもフィアンセとして受け入れる気はある。

 それでも、獣人より人間が良いんだけどなあと思うようになったのは彼女のせいか。

 もしも彼女が優勝したならフィアンセとして横に立とう。あり得ない訳ではないと思うんだよな。




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