↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下積みなんてやってられない!いきなり最強の主人公になる。  作者: らいと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/12

調査隊の疑惑

俺とアーシェは、旧領主シュナイダーの屋敷に戻ってきた。


ここへ向かう途中、アーシェに聞いたところ、調査隊のメンバーは三名で、隊長はアルクという男らしい。


父親と弟は自宅に帰ったそうだ。なぜ一緒に帰らなかったのか尋ねると、「私の勝手でしょ」とそっぽを向かれてしまった。


屋敷に入ると、調査隊の隊長であるアルクが出迎えてくれた。


「翔太です。砦の調査に同行させてもらいます」


「カールと聞いていたが、翔太が正しいのか?」


「ええ、翔太です。どこかで間違って伝わったようですね」


アーシェがじっとこちらに視線を向けているのが、見なくても分かる。


「まあいい。アルクだ。あなたの活躍は聞いている。ウォール街を救ってくれてありがとう」


差し出された手を握り返すと、アルクが一瞬、怪訝な表情を浮かべた。だが、すぐに元の表情に戻った。


そのとき、アルクにスポットライトが当たり、目の前に名前が表示された。


【サイフィス】


調査隊の隊長。

剣と魔法を使いこなす凄腕。


(……ん? 名前が違う?)


確かにアルクと名乗ったはずだが、表示されているのはサイフィスという名前だ。


今まで、こんなことはなかったはずだ。シュナイダーのときは、赤字で見えない箇所もあった。


(この違和感……)


いきなり「サイフィスではないですか?」と聞くわけにもいかないな。


それとなく探りを入れてみるか。


「それで、屋敷の方はどうですか? 何か見つかりました?」


「いや、昨日から屋敷の中を調べているが、今のところ手がかりになるような物は見つかっていない」


「逆に、君は何か思い当たることはないか?」


「いや、俺は戦っただけです。兵士長は何か話したんですか?」


「兵士長は砦で隔離されていたはずだった。だが、亡くなったという報告が来ている。それも含めて砦に向かう予定だ」


「亡くなった?」


「国家転覆は重罪だ。兵士長なら、そのことは知っていたはずだ。それを苦にしたのかもしれない」


「……」


最後は善意からなのか、保身のためなのか分からないが、兵士長は俺を助けてくれた。


……割り切るしかない。


今はアルクと名乗った男の方が気になる。


(とりあえず、しばらく様子を見ておくか)


さて、午後から砦に向かうまで、どうするか。


そういえば、新たな領主がこの屋敷に派遣されると、アーシェが言っていたな。


ベッドの上で聞いた日記の内容を思い出した。


悪魔に取り入られた、シュナイダーの祖父マルクス。


この屋敷が領主に与えられるものなら、シュナイダーが育った家は別にあるはずだ。


俺は何気ない様子を装い、アーシェに話しかけた。


「アーシェ、まだお前の部屋は残っているのか?」


「次の領主様が来るまでは使っていいみたいだから、使わせてもらっているの」


「よし、午後までそこで待つとするか。いいだろ、アーシェ」


*


部屋に入り、扉を閉めた。


「アーシェ、シュナイダーの祖父、マルクスはここに住んでいたか?」


「お祖父さんと思われるような人は、見たこともなかったはずよ」


そうなると、やっぱり別に住処があったと考えられるな。


アルクに伝えるべきか。調査隊なら、すでに目星をつけている可能性も高いはずだ。


だが、名前の違いがはっきりするまでは、こちらの情報をあまり出さない方がよさそうだ。


万が一のことも考えておくか。


俺はアーシェを見つめた。


「アーシェ、大事な話がある。ちゃんと聞いてくれ」


なぜか、アーシェは俺を見て頬を赤らめた。


「アーシェ、お前はここに残ってくれ。そして、万一俺だけが戻らなかったら、アルフォートに連絡してくれ」


アーシェは少し残念そうな顔をした。


「なんで、あんただけ戻らないことなんかあるの?」


俺はアーシェの両肩に手を置いた。


「勘だよ、勘。アルフォートには、調査隊のアルクに何かあると伝えてくれ。これは、アーシェ、お前にしか頼めないことだ」


アーシェは目を背けた。


「仕方ないわね。この私がちゃんと待ってるから、翔太は必ず帰るの。分かったわね」


「ああ、分かった。必ず帰ってくるさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。