フミスケ外伝③タカ過去編
【タカ過去編】
♢♢♢森♢♢♢
ここがタカの森と呼ばれるのはもう少し先、今は名もない森…
この森の大きな木の下に、傷だらけのヒグマがいました。
そのヒグマは森の丘から、ずっと空を見ていました。
ヒグマ「…いい風だ」
そこに大きなタカが空から降りてきました。
タカ「おまえが最近この辺でボーと空見ているヒグマか」
ヒグマ「なんだおまえ?」
タカ「勝負しようぜ」
ヒグマ「は?」
タカがいきなり飛びかかりました。
ヒグマは片手で受け流しました。
ヒグマ「急になんだ?お前」
タカ「おれはいろんな所を旅して、強いやつと戦ってるんだ」
ヒグマ「…何の為に?」
タカ「強くなるためだよっ!」
タカは飛びかかり、しばらく戦いは続きました。
ヒグマ「…おまえなんで爪つかわないんだ?」
ヒグマはタカを避けながら言いました。
タカ「はっ爪使ったら勝っちまうだろうがっ」
タカは何十回も頭突きで突撃していました。
ヒグマ「ダメだっこいつはバカだっ」
タカ「黙って戦えっ!」
タカは距離を取り加速してヒグマに突っ込んでいきます。
ヒグマは大きく両手を広げました。
一気に振りかぶり両手でタカを地面に叩きつけました。
そのままタカは気絶してしまいました。
➖20分後➖
「…」
「…!」
タカが目を覚ますと、ヒグマはリンゴを食べながらボーと空を見ていました。
ヒグマ「シャリっシャリっ」
タカ「いてて…おうっ強いな、おまえ」
ヒグマ「…おまえはバカだな」
タカ「それが取り柄だからな」
ヒグマ「おまえは…空飛べるのか」
タカ「?…タカだからな、飛べるぞ」
ヒグマ「そうか…タカに勝負挑まれたのは初めてだ、なかなか強いな気に入ったぜ」
タカ「フンっタカだからなっ」
ヒグマ「そうか…じゃ兄弟にならねえか?」
タカ「!…兄弟?」
ヒグマ「ああっ兄弟だ!」
タカ「兄弟かぁ…いいねぇ、じゃおまえが兄貴だ」
ヒグマ「なんで?」
タカ「弟は兄貴を超えられるだろ、いつか超えてみせる」
ヒグマ「…おまえはバカだなぁ、まぁいいか、じゃ、おれが兄貴だ」
タカ「俺が弟だ!」
ヒグマ「今から俺達は兄弟だっ!よろしくな」
タカ「ああっよろしく!ちなみに兄貴はこの辺の奴じゃないだろ」
ヒグマ「おおっ!遠くから来た。この辺はリンゴ多くてな、探してたらこのでかい木が気に入ってなぁ、寝床にしてる。おまえはここ住んでるのか?」
タカ「強いやつ探して旅してる」
ヒグマ「なんかそんなこと言ってたな…プっバカだな、リンゴ食うか」
タカ「リンゴってなんだ?」
♢♢♢
大きな木の下で2匹の共同生活が始まりました。
丸太や枝で家を作り、食べ物を集め、岩を持ち上げ体を鍛え、兄弟喧嘩をしながら2人の生活が続いていきます。
♢♢♢森の丘♢♢♢
➖ある日➖
ヒグマ「風はいいなぁ、天気いい日に空飛ぶの気持ちいいだろうな」
タカ「またリンゴ食いながら空見てるの?まぁたしかに、飛んでる時の風は最高だぜ」
ヒグマは風に吹かれながら空を見ています。
ヒグマ「なぁ兄弟、おれは一度だけ空を飛んだ事があるんだ。
タカ「…!まじっ?」
ヒグマ「おおっ!大嵐の日に上向いて口開けて歩いてたら足滑らせてなぁ、転がってそのまま崖に落ちたのよ。夜だったから真っ暗でなぁ、両手両足広げたらフワッと体が軽くなって、風にのったんだ」
タカ「それで!それで!」
ヒグマ「それでそのまま森に落ちた、痛かったなぁ、次の日に落ちた所に行ったら崖からかなり距離があってなぁ…飛んだんだおれっ…あんときゃ初めて風を感じたぜ」
ヒグマは拳を握り力を込めました。
タカ「その時の怪我がこの体のやつ?」
ヒグマ「違う違うっあの時は無傷だった。落ちた時、痛かったけどケガはしてないぞ」
タカ「無傷っ!まじっ!じゃあケンカか?」
ヒグマ「違うよ、おれの体の傷はまた空を飛びたくて崖から飛んだんだ」
タカ「は?崖?」
ヒグマ「あの時は…すこし風を感じたぜ」
タカ「…いや死ぬって」
ヒグマ「ちゃんと下は川だし、岩に当たる瞬間に殴れば大丈夫」
タカ「うん!…兄貴はアホだな」
ヒグマ「バカに言われたくないわっ…でもなあの時の感覚が忘れられなくてなぁ…おまえはいつでも風を感じる事ができるからいいよなー」
タカ「また飛ばないとな、崖以外で」
ヒグマ「この辺は嵐こないからなぁ」
タカ「ププププ崖以外だぞっ」
ヒグマ「わかってるよ」
♢♢♢
➖4年後➖
あっという間に年月は流れていきましたが、
いつも通りヒグマはリンゴを食べながら空をボーと見ていました。
ヒグマ「……」
ヒグマがリンゴを落としました。
そのままリンゴが転がっていきます。
ヒグマはゆっくり歩きながら森の奥に向かいました。
♢♢♢洞窟♢♢♢
ヒグマはオオカミがいる洞窟に来ました。
ヒグマ「どうだ?」
オオカミ「…うん」
ヒグマ「…」
オオカミ「…ダンナっ…出会ってブン殴られてから、長い付き合いだから…言うぞっ…長くねぇ…もう命長くねぇよ…」
ヒグマ「…そうか世話になったな」
オオカミ「…どうするんでぇ」
ヒグマ「やらないといけない事があってなぁ」
♢♢♢森♢♢♢
ヒグマは家に戻りました。
タカ「おうっ兄貴おかえり!また空見てたんか?」
ヒグマ「ああ」
タカ「?」
ヒグマ「…おれは帰らないといけない」
タカ「なんで?どこに?」
ヒグマ「…弟よ…笑っていこうや」
ヒグマはタカの目をまっすぐ見て微笑みました。
タカ「!…兄貴…」
ヒグマ「いいか、俺は兄貴だからな、お前に教えてやる!!」
タカ「…なんだ?」
ヒグマ「おまえは誰よりも自由に生きろっ!空は自由だっ!邪魔する奴は頭突きでぶっ飛ばせ」
タカ「…ああ」
ヒグマ「あと、もうひとつ…おまえは家族をつくれ、血が繋がっていなくていい、弱い奴を助けろ、そしてこの山で…この木の下でタカ一家をつくれ」
タカ「なんでこの木の下?」
ヒグマ「いつか戻る時にわかりやすいだろう」
タカ「…たしかに…たしかにな、わかった」
ヒグマ「今日からタカ一家だっ」
タカ「…風の中で待ってるよ」
ヒグマ「おまえに託すぜ」
♢♢♢ 遠く遠くの山の中 ♢♢♢
ヒグマ妻「いきなり山に戻ってきて、おれ死ぬから結婚してくれってね、まぁ幼馴染で嫌いじゃなかったし、…結局あのバカ…死ぬまでタカの弟の話しばっかりでね。その話を息子にしたら会いに行ったよ…まったく誰に似たんだか!」
♢♢♢タカの森♢♢♢
ある日の大きな木の下…
クマ「あんたがこの辺り仕切ってるタカか」
タカ「なんだおまえ」
クマ「勝負しようぜ」
タカ「は?」
クマはタカに飛びかかりました
タカは身をかわすと、助走無しで頭突きしました。
クマ「…!ぐっ」
クマは地面に転がり膝をつきました。
タカ「終わりか?」
クマ「……チカチカする」
クマは立ち上がりタカに突進しました。
何度も何度もクマは転がされました。
タカ「おいっおまえ!なんで爪使わないんだ」
クマ「はっ爪使ったら勝っちまうだろうっ」
タカ「…フフっバカなやつだ」
クマ「行くぞーこのやろー」
クマは全身全霊で突進してきました。
タカは大きく両翼を広げます…
そしてタカも加速して突進し、空中で円を描き、さらに加速してクマに頭突きをしました。
クマはふっ飛ばされ、草むらに突っ込みそのまま気絶しました。
タカ「フゥー」
鳥「…これどーします?」
鳥が空から飛んで来ました。
タカ「…こいつは託されたんだ」
鳥「誰に?…まぁいいけど、飯の支度しときますねー」
タカ「リンゴあるか?」
鳥「あるよ…」
タカ「あいつと俺と、もうひとつ準備しといてくれるか…少しだけ散歩してくる」
鳥「…とびきりのリンゴ準備しとくよ」
タカは空に飛び去り、風の中に消えていきました。
タカ「兄貴…今日もいい風吹いてるぜ」
ヒグマの兄貴↓↓
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