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新生活 アリアトピア

アリアトピアは見た感じかなり栄えた街だ。

通路も補整されているし、街灯らしきものもある。そして何より目を引くのが、至る所に張り巡らされている水路。


「ここアリアトピアは、水の都って言われるくらい水路がたくさん張り巡らされてるの」


確かに、水路には小さな商舟やゴンドラなどが通っているほか、水遊びする子供もいる。


「ここに住む人はその水路を交通の便にしてるのよ。だから道もかなり入り組んでるけど、逸れないでね。」

「は、はいっ!」


道路を進むのはほとんどが馬車と自転車、しかし時々自動車のようなものも走っている。

街全体は活気にあふれており、様々は商店や飲食店が目立つ。


「ここよ」


役所へ着いた。転移者は稀にしか確認されないため、すぐに呼ばれた。しかし…


「名前と年齢を確認しました。ではあちらの窓口に…」

「戸籍はない?ではあちらの窓口に…」

「身分証明書がない?ではあちらの窓口に…」


どこの世界も、役所はあんな感じなのか…

何度もたらい回しにされた後、やっと戸籍と住民票を手に入れた。


「おめでとう、これで君もアリアトピアの仲間よ」

「何から何までありがとうございます…さて、明日からどこで働けば…」


「そうね…アキラさんの状況なら、冒険者かな?」

「…え?」


「船で話した通り、冒険者は講習を受けるだけで誰でもなれる。一番手っ取り早い稼ぎ場所よ。それと、じつはギルドは冒険者だけで稼ぐことを条件に、衣食住を提供してくれるの。これが意外と空きが多くてね…」


なぜ空きが多いかは聞かないことにした。


「ま、まぁまぁ、僕は大人しくキノコとか摘み取って貯金でもします…あ、あとエレナさん…その、僕も魔法とか使えるようになりますか?」

「大丈夫、文献によると《魔法がない世界から来た転移者は3日くらいで基礎的な魔力を得る》そうよ」


ギルドが運営する宿屋の前で、エレナと別れた。

彼女はまた別の調査があるらしい。


「また…会えますよね?」

「さぁ、でも連絡先くらいなら交換するよ。お互い頑張りましょ」


彼女がいないと少し不安になるが、クヨクヨしてちゃダメだ。


翌日、僕は講習会を受けた。

1週間だ。その間、魔物や生態系、遺跡についての基礎知識、そして3日目からは魔法の使い方について叩き込まれた。


ケビンという友達もできた。人より魔力の平均値が高く、特に炎魔法に秀でていた。時々その戦闘力を自慢するところが偶に鼻につくが、それでも彼はエレナと同じくらい僕に親切だった。


「いいか?たくさんの魔力を持つには沢山食わなければならない!いっぱい食って強くなるぜ!」


不思議なことに、彼の言う通り魔力と食事量は若干だが確かに比例していた。食べて、鍛えて、学ぶ日々。高校時代を思い出す。


いつのまにか僕にも得意な魔法が出来始めた。

どうやら光魔法系が向いてるみたい。

特に楽しいのは念写魔法といって、レンズに光魔法を通し、写真のように景色を映すものだ。今は屈折の操作がうまくいかないから若干ぼやけてるけど、綺麗に撮れるよう頑張っている。


いつのまにか、簡単な任務はこなせるようになった。

薬草やキノコを摘み取り、時々魚を釣る。そしてそのお金で2人で飲み明かす。


「で、そのエレナってひと…どれくらい?」

「どれくらいって?」

「大きさや大きさ!何の大きさとは言わせんなよ?」

「ぐへっへぇ〜耳貸して」

「お、その反応は、デカいんやな〜」


ゴニョゴニョ


「いや小さいんかーい!」

「でも結構高身長だよ」

「え?大きさよりも高さの方が優先順位高い系?」

「正直ぃ?高身長好きなんだよね〜え、ケビンはどうなの?どんな女がタイプなん?」

「強いていうなら…あんな感じの人?」

「あ、わかる〜!タレ目好きなん?」

「そ!そ!あのトロンとした感じが…」

「声かけちゃう?」

「あかんよ、まだ俺ら初級だよ?…なぁアキラ。そろそろ…魔物狩ってみたいんだが」


急に酔いが覚めた。


「いやいやダメだよ、危険すぎる。」

「大丈夫だって。冒険者でも討伐事例のある魔物相手だから!やっぱりワイバーン倒してこそスタート地点だよ。な?俺らには冒険者しかないの」

「うーん…わかりましたよ。でも、やばくなったらすぐ帰るからね。」

「っしゃぁっ!」


翌日

僕達はワイバーンの討伐依頼を受けた。

討伐するのは湿地帯を生息域にする、ヒスイリュウという種類だ。

図鑑によると、翼の形が他のワイバーンと比べて鰭のような形になっており、水中を泳ぐことも上手いらしい。


「いい?絶対に水中戦と空中戦を挑んじゃダメだからね、確実に負けるから」

「大丈夫、それくらい理解してるって」


なるべく池や水の中に入らないようにする。

特にケビンは炎魔法使い、水との相性は悪い。


しばらくすると、ヒスイリュウが池のそばで寝そべってるのを見た。サメのような顔、鰭のような翼や尻尾、まさに水のワイバーンだ。


僕達は周囲の泥を身体中に塗りたくった。

普段はこんなことはしないけど、この手の捕食者は大体優れた嗅覚を持つ。だから普段嗅ぎ慣れた臭いで誤魔化す作戦で行こうと思う。


「じゃあ、アキラ。アレをお願い」

「わかった…《擬態照明》」


念写魔法の応用として、レンズを通して反対側の景色を被写体であるケビンに写すことで、彼を周囲の景色に溶け込ませる。


これで見た目も臭いも誤魔化せる…はず。


「そういえば、ヒスイリュウは雷魔法にめっぽう弱いって書いてたな…」

「それでも俺の炎魔法の方が威力が高い。一撃で仕留める」

「頼んだぞ」


ゆっくりと近づくケビン。

それを僕は遠くから擬態照明を照らす。


ヒスイリュウの首筋まで後少し。

ケビンは、手に持った杖を構える。


いいぞ…もしかしたら…いけるかも…

幾ら捕食者でも、寝込みを襲えば…


「えっ」


瞬間、ヒスイリュウのサメのような頭が素早く起き上がり…


「う、うわぁぁぁぁ…!ぁぁぁぁぁ…!!」


ケビンの左腕を食いちぎった

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