友と眷属
大変遅くなりました。申し訳ない
誤字があったらごめんなさい。
――商人ギルドの登録と終え、教会へとやって来た俺だが、そこで他のとは違い登録……教会では入信と言うらしい。その入信をして支援を受けるには、儀式が必要だと教えられる。
方法を聞き、言われた通りに儀式を終えて、無事入信を完了する。
そこで、入信の為に必要な儀式を行ってくれた教会の美人シスターの「リリー・ジスタ」と仲良くなり、友託の印を結ぶ。
この世界の住人……正式名称、¨ソル¨。
そのソルと初めてフレンドと成った事で、称号を獲得する。
しかし、獲得した称号が序盤で貰うには色々とおかしく、自身のキャパを越えた情報量を前に気絶してしまった。
―それから一時間後。
気絶から目覚めた俺は謝罪を述べた後、リリーと称号がもたらした重大そうな情報について話し合う。
「……まず聞きたいんだが、俺で良いのか?君たちは、プレイヤーと一人しか友託の印を結べないが……」
「ええ。それについては私も初めて知りました。……しかし、私が友託の印を結びたいと思った相手は貴方です。たった二時間と言え度、言葉を交わし続けた。楽しく、安らぎを感じる事は有れど、疲労や嫌悪を感じつ事は無かった。―だから、貴方が良いのならば……私の友好を、受けって欲しいのです。」
そう言ったリリーの顔には、誰もが見惚れるであろう綺麗な笑顔を浮かべていた。……答えは、考えるまでもない。
「ああ。リリー、これからもよろしくな。」
「はい!よろしくお願いします!」
「……はは」
「……フフ」
お互いに笑顔を浮かべ、笑いあう。ここにきて、何回よろしくと言い合っただらうか。少し頬を赤らめて笑うリリーを見つめてそう思う。
このまま笑いあって情報を無視していたい……が、考えない様にするには少し重要すぎる。少し憂鬱に思いながら話し合いを再開する。
「この称号を見るに、主神って結構自分勝手な感じか?……何か知っている事はあるか?」
「いいえ。確かに、教会は主神で在る【ファンタジスタ】様を信仰はしているけれど、祈りを捧げているのはこの女神像に描かれている、旅神【エルトラベル】ですから……。旅神様の事は分かるけど、主神様についてはこの幻想世界を治めているって事ぐらいしか分からないのです。」
となると、主神についてはゲームが進行しないと詳細を知る事は出来ないと考えるべきか。
この考えが在っているなら、今、色々と思考を巡らせていても意味が無い。
「じゃあ¨世界¨に意思がある事については?」
「……ごめんなさい。そちらに関しては何一つ分からないし心当たりもない。……長年この世界で過ごしているけれど、知ったのもさっきのが初めてですね。」
「そりゃそうか。」
……『認めてくれてありがとう』、か。只の感謝。只の言葉ならいい。
だが、もし何か意味があるのなら……それは、このゲームの幹部に関わる事だろう。だって社長がコメントしてくるぐらいだし。
今冷静に考えても、社長がコメントするっておかしくない?
「―……結局、今考えたところで何かが始まるわけでも無い、か。」
何せ、サービス開始から一日も立っていないんだ。
ここで重要なイベントが進んだら、プレイヤー達からは非難が飛び交うだろう。……この情報たちは、然るべき時に公開するのが無難だろう。それまでは封印だな。
「ライコウ。私、試したいことがあるのですが、よろしいですか?」
「ん?試したい事……?」
情報の扱い方を決めるていると、リリーがワクワクした表情で見つめてくる。
「この、<フレンド通信>ってものなんですけど、良いですか?」
「<フレンド通信>?別に構わないけど……」
フレンド通信。フレンドになった人と遠く離れていても話す事が出来るシステム。簡単に言えば、脳内に直通の通話。
通話のチャット版の<フレンドチャット>って言うのもある。
他にも<パーティー通信>が存在し、これはフレンドの部分がパーティーメンバーに変わっただけのモノ。
この世界ではどんな感じか確認したかったのもあり、承諾すると少し離れた所に移動し、リリーに合図を出す。
<―「……聞こえますか?」>
<―「ああ、聞こえているよ。」>
<―「頭の中に直接声が聞こえるのって、少し不思議な感じがしますね。」>
<―「けど、これのお陰でいつでも君と話せる。」>
<―「……(直接言われると、言葉にされるより恥ずかしいですね……)。」>
<―「リリー……?」>
<―「何でもありません。ありがとうございます。もう良いですよ」>
通信を切り、元々いた場所に戻る。……?慣れていないからだろうか、心なしかリリーの頬が少し赤くなっている様に見える。
「念話に近い感じでした。何も消費しない分、こちらの方が個人的には好きですけど」
「……念話?」
「レアスキルの≪念力≫を習得することで使えるようになる技の一つです。私は使えないのですが、念話は受け取る側も体力を消費するので、滅多に使われる事は有りません。」
「そんなスキルもあるのか。」
―それから、<フレンド通信>の他にも、こちらが気になったものにも付き合ってもらった。
<フレンドチャット>や<アイテムトレード>など、フレンド機能以外のものも確認していった。
その中でも、リリーは<フレンドチャット>を大変気に入っていた。文字の太さを変えてみたり、キラキラ文字などのフォント機能を直ぐに使い熟していた。……流石は女性と言うべきか。
その他にも、現実から可愛い小動物と景色の写真データをチャットに贈ると面白い程喰いついて来て、これからも定期的に写真を送る事を約束させられた。
これにはつい苦笑いがこぼれてしまった。
メニューシステムの<フォトショット>機能を使わないのかと聞くと、このメニューシステム……ソルの間では¨理神の書¨と呼ばれているらしい。
この理神の書は半年前に突然使える様になったらしく、まだまだ理解できない機能が多いらしい。ソルの間で使われているのは、主に<アイテムボックス>と<ステータス>機能ぐらいだとか。
とりあえず、確認に付き合わせた礼としてメニューシステムの使う事が多い機能から教えて行った。
だいたい教え切ると、リリーは「他のシスターに自慢しますね!」っと笑顔を浮かべる。
その姿が、新しいおもちゃを自慢しようとする親戚の子供にとても似ていて、ついつい大きな声で笑ってしまった。そのせいで頬をふくらませて拗ねられた。
機嫌を直してもらう為に平謝りしたのはご愛嬌。
そうしている内に、そろそろゲームを進めるかと思い、話の区切りが良いところで教会を出る事を伝える。
「では、またいらして下さい。あっ、寂しくなったらいつでもチャットしてきていいですからね?」
「ははっ、自分がしたいからだろ?……じゃあ、またな。」
「ええ。また今度」
リリーと別れ、長居していた教会を出る。
時刻は18時。外では、夕日が沈んでいき。少し暗くなっていた。
「流石に長居しすぎたな……。楽しかったからいいけど。」
急ぎ足で、最後の目的地である職業ギルドへと向かう。この時間になると、プレイヤーの数も減っていく……訳では無く。逆に道行くプレイヤーが増えている。
明日が日曜日なのもあるだろうが、どちらかと言うと[アナザーゲート]の効果を実際に試したいのだろう。
トイレや空腹でログアウトしなくてよく、ここで睡眠をとる事で現実の脳を完全に休める事が出来るのだ。
この世界で食事をとり、酒を飲み、ギリギリまで遊び尽くし、死んだ様に眠りにつく。プレイヤーの大半は、このような感じで過ごす予定なのだろう。
実際、俺はその予定だ。……だからこそ、無族を選んだのだ。
時間をかけてでも、色々やりたい事をやり続ける。正しく、俺にもってこいの種族。
しかし、何から手を就けようか。
ちょくちょく見ていた掲示板によると、このゲームは全てのアイテムをプレイヤーが作る事が可能で、スキルでさえも作る事が出来る様だ。この情報は、公式からのタレコミで判明したらしい。既に何十と経過していた為、遡るのが面倒で俺は見てないが。
とりあえず、戦闘以外で最初に始めようと考えているのは、鍛―――
「――動くな」
―かちりと、ハンマーを引くリボルバー特有の音がなり、固い物が頭部に押し付けられる。
「……おいおい、随分とぶ「―喋って良いとは言ってないぞ。」」
全く、随分と物騒だな。
……このハンマー音には覚えがある。押し付けられているのは多分、俺と同じ[ファーストリボルバー]。
しかし、どうするかね。直ぐにしゃがめばイケるか?……いや、その前に穴が開く――
「なッ!と。」
「―ちっ」
頭を左に傾けながら上半身を左前に倒し、右手で相手のリボルバーを振り払う。
そのまま体を回転させ、親指で鍔を押し、何時でも抜刀できる様にしながら体制を整える。
「この距離なら、俺の攻撃の方が早い。」
フードを鼻の所まで深く被って顔を見せない相手は、振り払われた状態から微動だにしない。
「……それで、おふざけは満足したか?」
「―アハ!」
心の中でため息を吐きながら、いたずらを仕掛けてきた¨友¨に問う。
目の前のプレイヤーは、大声で笑いながらフードを脱ぎ捨てる。
「アハハハハ!腕は鈍っていないね、ライコウ!」
「お前も、いたずら癖は相変わらずだな。「ドウジ」」
「なんたって童子だからね!」
紅い短髪に、おでこから伸びる一本の角。幼く、可愛らしい顔つきに小さく細い体。
甲高いが、聞いていて苦にならない声。
プレイヤー名「ドウジ」。本名は「安倍朱気」。
古くからの友人……所謂、幼馴染ってやつだ。
アバターは俺と同じく、髪色と瞳の色だけ変えているらしい。他は現実の容姿そのままだ。
趣味はいたずらと化粧。
こう見ると、女性の様に思えるが、残念ながらこいつは男だ。昔、俺も間違えてからかわれた。因みに、俺より四歳年上の二十四歳。
性別と容姿と声のギャップが受け、現在は大人気声優。
「……で、何でいるんだ」
「逆にこんな楽しそうな事に関わらないとでも思った?」
「思ってない。俺が聞いてるのは仕事のほうだよ。今忙しいんだろ?……確か、超大作のオファーが来たんじゃなかったか?」
「あぁそれ?相手側のトラブルでしばらく延期。」
「マジか。……まぁサボってる訳じゃないならいいか。じゃ、俺行くから。」
こいつがこうやっていきなり顔を見せる時は面倒な事を頼む時だ。
長年の経験で培った対ドウジ危険察知が反応したので、面倒ごとに巻き込まれない様にドウジから素早く離れる様に移動する。
―ダンっ!
「よっ」
頭に対して躊躇なく発砲してが、予想していたので頷くように勢いよく頭を下げて回避する。
ドウジの左手には先程振り落としたリボルバーが握られており、銃口の先から煙が出ている。
「引き留めるのにしても撃つのは違くない?」
「まぁまぁ待ちなさいな。ほら、渡すものがあるんじゃないの?」
「無視ですか。……渡すもの?」
一様苦言を伝えるもガン無視で自分の要件を言ってくる。笑顔で手を差し出させるが、渡すものと言われても思い当たるモノは無い。
とりあえず、そこら辺に落ちていた石を出されている手に置く。
「そうそうこれが欲しかったんだ!って、なわけ無いだろっ!」
「あいた!?」
渡された石を握り頷いた後、ツッコミと共に顔に投げつけられる。
初めて攻撃を受けたが、痛いというよりは感じた痛み分衝撃が奔る感じだな。じわじわと額部分に何とも言えない感覚が広がる。
「フレンドコードだよ!フ・レ・ン・ド・!」
「……ああ」
「ほら、それかって納得してないで申請してくれ。」
ドウジはやれやれと言った感じで肩を竦める。
いや手を出されただけで普通わからんだろ。フレンド交換ならば最初からそう言えばいいのに。
<プレイヤー名:[朱雀童子]とフレンドになりました。>
「…ん?……あれ、名前変えたんだな。てっきり、いつものドウジの儘かと」
「ああそれ、僕の配信用の芸名だから。」
「配信用?……ドウジって配信してたっけ?」
「ん~にゃ、今回から。このゲームをするって言ったら、それを聞いた事務所の社長が「ゲーム配信してくれない?」って。内の事務所、声優の他にも俳優とか幅広くやってるんだけど、それぞれの部署からこのゲームをする人を集めて、『ファンタジー・ゲーム部』って名前で配信することになったんだ。何でも、制作会社からこっちの世界でアニメやドラマを作ってみないかって誘われたらしい。ゲーム配信は、その撮影までにこっちで過ごす事に慣れる為なのもあるんだって。あと、単純に配信界隈への進出と事務所の宣伝。」
「……ほーん。大変なんだな。」
ドウジはドウジで大変そうだ。……こっちで撮影か。確かに、現実ではあり得ないモノばっかだからな。凄い迫力になりそう。
「てなわけで、ライコウには僕と同期二人をエスコートをして貰うから。」
「―はい?」
よし、少し待とうか。ドウジのエスコートは百歩譲って良いとして、同期のエスコート?
ドウジの同期と言ったら、「私の青春は間違っている」のヒロイン役を務めた優しいお姉さまボイスが魅力的な「雪嵐しのぎ」さんと「来世にバイバイ」の主人公役を務めた元気な運動系女子ボイスが魅力的な「春風リン」さん!?…受けるか(即決)。
……いや待て待て。先ずは理由を聞かない事には始まらない。
「何で俺?別にドウジだけでも良さそうだが……」
「実は社長に、ゲームが得意で良い感じの人を雑用スタッフとして見繕ってくれって頼まれてね。ライコウなら人柄も性格も僕が良く知ってるし、芸能人と会っても変な事にならないでしょ。あと僕の知り合いの中で一番ゲームが上手い。」
「……成る程。」
ドウジからしたら、俺の事はよく知っているしな。そして、俺自身は最前線を奔りたい訳ではない。色々な事をしたいエンジョイ勢だ。なら、これも一つの楽しみだろう。
「分かった。その依頼を受けよう。」
「ありがとー!助かるよ。……あっ、勿論自分の事優先でいいからね。じゃあ、エスコートしてもらう時に連絡するから。……じゃあね~!」
「ああ。分かった……って、もうログアウトしたのか。」
承諾の返事を伝えると、早口気味に言葉を吐いた後、ログアウトしていった。
やはり、色々忙しいのだろうか。
「……行くか。」
確か、職業ギルドは20時までだったか。現在の時刻は19時。
思わぬ再開に時間は取られたものの、まだ間に合うなと、小走り気味に職業ギルドに向かう。
▼ ▼ ▼ ▼
「ありがとうございましたー」
登録を終え、ギルドを出る。
職業ギルドは冒険者ギルドと同じ様な感じだった。
職業ギルドの登録支援は、職業の熟練度が一定を越えるたびにその職業と相性が良いスキルについての情報を教えてくれると言ったものだった。
そこで教えて貰ったんだが、俺の職業みたいに色々なモノを覚える事が出来る職の事を¨万能職¨と呼ぶらしい。そして、レベル5以下の万能職は他の職業で最初に覚えるスキルを一つだけ直ぐに覚える事が出来るそうだ。
「≪召喚術≫か……」
最初に覚える中からと言われても、その数か多く。
全て見ていたら一日が過ぎてしまうと、悩んだ末にランダムでスキルを習得した。
そうして習得したスキルが≪召喚術≫。
≪召喚術≫
職業[召喚士]が覚える最初のスキル。
召喚術は、召喚した眷属を使役するモノ。
眷属は、あるアイテムを使用する事で手に入れることが出来る。
そのアイテムは召喚士ギルドで買う事が出来る様だ。
眷属の所持数はスキル熟練度が上がる事で増やす事が出来る
「……よし。次の目的地は召喚士ギルドだな」
折角手に入れたスキルだ。どうせならちゃんと使おう。今日フィールドに出る事を諦め、眷属を手に入れる事に決めた。
マップに従い、召喚ギルドまで向かう。
「すみません、眷属召喚のアイテムが欲しいんですけど」
「はーい、こちらがそのアイテム一覧になります」
召喚ギルドに着き、早速中に入り目的のアイテムの購入のために、アイテム一覧を見る。
[ウルフ]、[ラビット]、[バード]……。眷属の種類が多く、どれにしようかかなり悩む。
それぞれの特徴を見るに、どれも良さそうなのだ。
しかし、コルとスキルの都合上、買えるのは二つまでだ。
「こいつらにするか……これ下さい」
「毎度ありでーす」
悩んだ末、俺は[フェアリー]と[スケルトン]の召喚結晶を購入。
理由としては、両方とも汎用性が良く、色々な事をする予定の俺にピッタリだった。
ステータスは最弱に近いが、サポートスキルを豊富に覚えれるらしく、生産にしても戦闘にしても役に立つ思う。
良い時間だし、早く眷属召喚をしたかったので、そこら辺にある宿屋で部屋を借り、早速召喚を開始する。
「確か、アイテムを持って唱えればいいんだっけ?」
購入した召喚結晶を手に持ち、眷属召喚に必要な詠唱を唱える。
「『汝らの魂、力、願いの全ては我がモノに。その全てを以って我が身に貢献せよ――我が声に応え、姿を現せ。―眷属召喚』!」
詠唱が終わると、手に持っている結晶が光輝き、輝きが形を創る。
『フェアリー、主の元に』
「……(カラカラ)」
『「スケルトン、御身の元に」と言ってます』
「おお……」
光の造形が変わり輝きが収まると、眷属の姿があらわになる。
手のひらサイズの美女。ピンク色の長髪に、きりっとした知的美人。背には羽ばたくたびに光を振りまく羽があり、その姿は正しく妖精。
成人男性の骨人。灰色のその造形は、暗闇で出会ったら驚きと恐怖で腰を抜かすかもしれない。
フェアリーは胸に手を当て、スケルトンは膝を付き頭を垂れている。
「ていうか、喋れるんだな」
『はい。私達、眷属と成った魔物は魔族として生まれ変わり、主と意思疎通が出来る様になります。
スケルトンみたいに物理的に喋る事が出来ないモノは、身振り手振りでコミュニケーションを図ります。』
「成る程なぁ。」
そう言うシステムなのか。掲示板では従魔は喋れないとか書いてあったが、そこが眷属との差別化という事か?そう考えると、眷属の方がよさそうなものだが、従魔には従魔の良さがあるのだろう。
因みに、フェアリーの声はとても可愛らしい少女みたいな感じだ。
折角喋る事が出来るんだ。ここは眷属との親睦を深める事にしよう。
「フェアリー、君は――」
そうして、眷属と寝落ちするまで喋りあかした。
―ゲーム開始、一日目。
俺はソルと友託の印を結び、眷属を二人手に入れた。……称号は見なかった事にした。
補足
眷属と従魔の違いは、魔物か魔族か。
眷属は汎用性が高いモノが多く、従魔は特化型が多い。




