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気がつけばスマホを開き続けているが

『フジノミヤのスマホ』───剥き出し。電力表示はなく、そもそもポートがない。電波マークもない。アプリは殆どのものが開けるものの動作しないものもある

◆◇◆◇◆


「(これ充電、どうなってんだ?)」


 リフレットの宿屋での安らかなる最後のひと時、諸事情により出発を見送り、眠気が来るまでスマホで天気予報を見ていてふと気になった。これ何をどうに動いてるんだと。そう思った途端、手の中のスマホが何か得体の知れない物に感じたが俺が寝ている間に誰かがすげ替えてる可能性に行き着いた


「(あの神とかに聞いたところで

 はぐらかされそうだ、気にはなるんだけどな)」


 今日何度か目の呆れと眠気に欠伸が漏れた。スマホの電源ボタンを押し、就寝となった



 すべての準備が整い、王都とやらに向けての出発ができたのは1日跨いでからだった。馬車の契約との往復でやたらと時間を取られたのは反省点だ


「(しくじったな)」


 どうにも必要経費といえども消費が嵩むと心が荒む、1番高くついたのは意外にも携帯食料だった。数も必要になることで割と高くついた何か対策ができればと思ったが抜本的解決は先のまた先だ


 そして2番目の大型出費は馬車だった


 共同馬車というものに乗り合わせての出発だったのだが、幌のついた荷台に人を詰めこみ途中の町を経由して進む長距離バスの手法を取る馬車だ


 何分、個人で借りるには中々手続きが面倒な上、価格が馬鹿みたいに高い。それに合わせて御者を雇うならザナックさんから貰った資金が速攻でなくなり、赤字で身銭を切る羽目になる


 元々借りるつもりはなかったからいいものの、行く行くは購入を検討しなければ、って何年計画だよ。勘弁してくれ


 仕事を何日もほったらかしてたら減給、最悪クビだ


「(クソ金持ちの道楽かよ!

 アフターケアちゃんとしてんだろうな!?)」


 落ち着け、俺。こんな大型企画だ。何かしらの成功報酬はあるだろう。あってくれ


 なら目下の問題に目を向けるべきだ。次の町で依頼を受けて、資金難に陥ることを何としてでも避けなければ


「(1日2食の飯だけは抜きたくない)」


 俺の心の雨霰とは裏腹に馬車は順調に街道を北へ北へと向かっていた。時折りすれ違う他の馬車を目にしながら一面のクソ緑に内心を落ち着かせた



 リフレットの町を出発してしばらくした頃、鼻をついた潮の匂いに幌の隙間から外の景色を見れば日が天辺まで登る空模様と海の揺れる水面が光を乱反射する様が見て取れた


 ノーランの町に到着した


『馬を休ませます。その後

 集まり次第、アマネスクの町に向かいます』

「分かりました」


『ノーランは水が綺麗です

 そこら辺の水も水筒に入れられますよ』

「ありがとうございます」


 そう言えば気にしてなかった。海外の水道水は直飲み厳禁な所もあると聞く、日本にいた時同様に、水道水を飲まずに済んで良かった



 リフレットの町と比べノーランは水が豊富にあり、海水を飲料可能にして、上下水道を完備しているのがここ港町ノーランの特徴らしい


 幸い水も口に合い、水筒の中身を補充できた。見飽きたと言えればいいものの晴れ時のそれも昼に見る海の美しさはいつも満足のいくものだ


「(静かだな)」


 この仕事がひと段落して、帰る頃に釣りに来てみるのも良さそうだと思いながら俺は携帯食を噛み砕いた



「(なんかめちゃくちゃ汚い討伐依頼がある)」


 腹ごしらえを終え依頼を受けるべく協会に行くとやたらと下地の色を霞ませる汚さの『北廃墟でのメガスライム討伐』が目に入った


 紫色のため受けることができないものの銀8枚と破格の報酬だ。しかし、恐らく厄ネタだろう


「(他が銀貨3とか、2なのに

 アレだけやたらと高いんだよな)」


 金貨に迫る報酬は紫のひとつ上、緑でもあるかどうか怪しいラインだ。協会発行の色より金銭で難度を測る方が良さそうだ


「(てかスライムってなんだよ)」


 え?何?あの洗濯糊で作れるアレを倒すの?それともアメーバとかのやつならそれこそ業者呼べよ。その手の薬剤とかぶち込んでおいた方がいいんじゃないか


「…取り敢えず黒のやつを受けよ」


 気にするだけ今は野暮って物かなと思い、身の丈にあった依頼を受付さんに渡しに向かった

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