公爵令嬢探偵 それも様になっている
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『スゥどうしたんだ急に』
『父上、皆様方お話がございます』
宮廷魔術師のシャルロッテ、国王、ミナ姫、ユエル王妃、オルトリンデ公爵一家、レオン将軍、ラウル医師、オリガ・ストランド、バルサ伯爵が会場に集められた
その全員の前でスゥ嬢が話し出した
『皆さんも知っての通り、国王陛下に
毒が盛られました。現場はこの会食の場で
ここはその時のままになっています
並んでいる料理は冷めてしまってますが…ね』
スゥ嬢がバルサ伯爵と医者を睨んでいた。超能力の類いというべきだろうか───あの話し合いの席にいなかったというのに、勘の延長線とでもいうべき代物を発揮していた
『この中に犯人がいます』
スゥ嬢は大きく間を空けて、言った
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雰囲気がひりつきを持ったものに変化した。特にオリガさんの顔色が優れない様子だ。彼女の耳が逆立ち警戒を露わにしている
それもその筈、スゥ嬢が話し出し様に並べるよういったのは『ミスミド王国』より取り寄せた『ワイン』だった
『まず、このワインですが───』
しかし、それには手をつけず、リンゼさんから受け取ったワインをスゥ嬢は躊躇うことなく近くにあったワイングラスへと注ぎ始めた
『───これらはミスミドより贈られた友好の証
ワインセラーにて保管されていたもの
違いないかの?』
『確かに私達が贈ったものだが、我々が毒など…』
スゥ嬢とオリガさんが話しているとバルサ伯爵が怒りを露わにした様子で前に出てきた
『黙れ!この獣人風情が!まだシラを切るとは
恥知らずにもほどが…ッ』
『バルサ伯爵、お静かに』
レオン将軍がそれを阻止する形でバルサ伯爵の前に立った。俺はバルサ伯爵の気がそれたのを見計らって、彼が使っていたワイングラスを含む、近場のワイングラスをふたつ残して回収して周った
『聞く所によれば、このワインは
振る舞われる直前まで保存庫にて保存
その間、何人も入らなかったと聞きます』
『そ、そんな』
『ほら見たことか、やはり
この獣人が毒を盛ったに違いない』
『では、この場で毒味をして貰いましょう』
注がれたワインをシャンデリアにかざして、その煌めきを踊らせていたスゥ嬢はみんなの方に歩いていき、それをそのままオリガさんに手渡した
『飲むのじゃ』
オリガさんはそれを受け取り、一気に飲み干し、グラスを空けた
『どうじゃ?』
『なんとも、ありません』
スゥ嬢は続き、国王が座っていた席に置かれていたグラスを手に取り、ワインを注ぎ始めると、伯爵の元まで向かい、そのワイングラスを差し出した
『伯爵、こちらを』
『いやっ、私にはグラスがって?あれ??』
『ほれ、飲まぬか』
スゥ嬢の圧が増していく、後ずさる伯爵が唾を飲み込み、何かを探して視線を泳がせているが、探し物が見つかるわけもなく、受け取らざるを得なくなった
『ささ、ぐっと一気に飲むと良い
先も流し込むが如く飲んでおったではないか』
満面の笑みのスゥ嬢。伯爵は脂汗を流しながら、目の前のそれを震えながら見ていた
『どうした、伯爵。飲まんのか?』
『はっ、いや、その…』
国王の言葉に、伯爵は手が細かく震えだし、やがてグラスを落とすのではないかという勢いで震え出した。この状況やらかしかねないな───あの伯爵の顔は無敵の人のそれだ
『う、うぁ』
『ほれ、どうした』
俺は急ぎスゥ嬢と伯爵の間に入る。次の瞬間、俺の溝落ち辺りにワインとグラスが投げつけられた
『ショウタ!?』
「(今度は間に合った)」
『っ!!こんなもの飲めるか
ぐ、グラスに毒が残ってるかもしれないのに!
飲めるわけがないだろう!』
余程自信があったことが伺える。ワイングラスに仕込んだ毒のトリック。単純ながら引っ掛かる自信しかない───現に俺は毒の所在を見誤った
『クソ!』
「エルゼさん、九重さん」
扉へめがけて一目散に駆け出した伯爵だったが警備にあたっていた2人によって先回りされ、抵抗虚しく捕まった
◆
『では、これで…』
国王がそう言った。直後
『国王陛下、いえ伯父上』
スゥ嬢が続けた
『かの者は実行犯でございます
あとは事件の黒幕、真犯人を
どう追い詰めるかでしょう』
その場の全員が凍りついた。どう見たって犯人は伯爵で間違いないこの状況。あまりに露骨な詰将棋。裸一貫、一手にて詰む状況。あからさまに私が犯人ですと言っているこの状況
ここまであっさり罪を告白するこいつが果たして『この作戦』を思いつくだろうか
よしんば思いついたとて、いずれ気付かれれば糾弾されるトリックを実行に移すだろうか。大凡そこから導き出されるのは『実行に移せるだけの存在』の確信があったからだ。スゥ嬢はあいつを睨みつけ言った
『のぉ、ラウル殿?』
初めからおかしかったのだ。何故身近な人間ではなく、会って間もない俺や九重さん、初対面の筈のリンゼさんやエルゼさんを味方として招き入れたのか
『遂にやらかし腐りおったな!』
単純明快、周囲の人間に対する信頼が著しく欠けていたからだ




