王国事情 それも偽善的な
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『とんだご無礼を働きました』
大勢に見送られ、大広間まで戻る最中にレイムさんが頭を下げてきた。何故レイムさんが謝る必要があるのか
「とんでもない、寧ろレイムさんは
自分の役目を全うしたのですから
誇ってください」
王様の命にナイフを突き立てた。無免許の俺が出過ぎたことをした。この世界における医療の基準を信用しなかった俺の責任だ。非が何処にあるのか
「レイムさんの咄嗟の判断、尊敬します」
しかも九重さんとエルゼさんの拘束を抜けてきた点を見れば相当な覚悟だ。尊敬しかない
リンゼさん、俺、王様で何故か大広間に向かうことになり、その最中に王様はこの国について話をしてくれた
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ベルファスト王国は三つの国に囲まれている
西にはリーフリース皇国
東にはメリシア山脈を挟んでレグルス帝国
南にガウの大河を挟んでミスミド王国
このうち、西のリーフリース皇国とは
友好関係を結んでいるとのこと
『帝国とは二十年前の戦争以来
一応の不可侵条約を結んではいるが
正直友好的とは言い難い
いつまたこの国へ攻め込んで来ても
おかしくないんだ。そして
南のミスミド王国、ここが問題だった』
「問題ですか」
大方、兵士が言っていた『混ざり物』『血』───混血。差別が前面に出ている点だろう
『ミスミドは帝国との戦争の最中に
新たに建国された興国でな、同盟を結び
帝国への牽制、新たな交易をと思ったのだが』
「一部貴族からの反発ですか」
『いかにも』
気に食わないから国益になることでも邪魔するって最早国賊だな。そんな奴らが権力を持ってるなんて実に寒気のする話だ
言いたいことはわかるが共感はしかねるな
『かつて、亜人は獣と人の混血
穢れたものと呼ばれていた。だが
調べる程に亜人は全く別の祖を持つ者と分かり
父の代になると、その認識を改める法を制定し
だんだんとそういう風習は廃れていった』
強制力を持ってしか根本が変えられないのはどの国でも同じだな
『しかし、古き貴族は今もその思想が強く
攻め滅ぼして、自分たちの属国にすべきと
主張する貴族たちにとって、私は邪魔以外の
何者でもないのだよ』
「大変ですね…」
自らの思想が正しく、他は間違いとする人種は多い、その中でも世襲2代目(積み上げを持たず、学ぶこともない者)は特に危うく目に余る愚かさを持つ、これに権力、発言権があるのだからなおのことタチが悪い
◆
「(王位は一人娘である王女に移る
貴族は姫に息子か一族のものを
婿として迎えるようにと迫る気、か)」
んな、都合よくことが運ぶと思っているのか。国王の娘、王女にたかが"いち貴族"が婿入り、頭の中にさぞ大きな空間を持っていることだろう
その場限りの優位に目が眩む、典型的な愚者のやり方だな。処刑どころか所属する国ごと霧散しかねないというのによくもまぁ実行したこと
◆
『かつて!亜人は…』
「…国王陛下」
大広間に入るや否や大声で演説紛いの行為をする男が目に入り、思わず国王に回答を貰わんとするために振り返った。しかし、大きなため息が何よりの答えだった
『みなまで言うな、私も頭が痛い』
「…あの方がバルサ伯爵ですね」
『…いかにも』
はは、凄いな。他国の大使をぞんざいに扱ったことをさも英雄の功績が如く喋る人がいた。王が伏せていたというのにその男は件のワインを飲みながら貴族間で笑いあっていた
恰幅の良い腹回りに笑顔がやや独特な男。バルサ伯爵、言いたくはないがなんと言うかその立ち居振る舞いからあからさまな『偏り』を持っている雰囲気を醸し出していた
そも、武勇伝が如く語っているがその発端となったワインを片手に談笑という光景に加え、他のワインにも毒が盛られている可能性があるのを考慮しない動きがあまりに墓穴が過ぎる
『大使は今頃、別室にて王女から糾弾され…
そうすれば、ミスミドへ…』
さて、その思想に賛同してくれるものが果たしてどれ程いるだろうか。最も一国を相手取るには些か人数の不利が明白な形だが、当の本人は『してやったり』と言った笑みを浮かべている
戦争に対しての危うい楽観的思考がチラついてて見てられないな




