エルゼとの鍛錬の時間
◆◇◆◇◆
『ちょっとフジノミヤ!』
「(ん〜この声リンゼさん?)」
スマホを取り出し時刻を確認してみれば太陽どころか夜の暗がりすら明けない程の時間だった。欠伸が出る。2度寝と行きたいもののノックの音が尋常ではないため対応せざるを得なかった
『遅いわよ』
「いや、早いんですよ」
『前衛の朝は鍛錬の時間よ』
だそうで、眠気覚めぬうちに王都の協会が貸し出している訓練場にて訓練という名の手合わせが始まった
◆
リンゼさんの戦闘の型は四肢を武器とする拳術と脚技を合わせた『格闘家』もしくは『武闘家』というスタイルをしていた
武器との大きな違いはインパクトまでの時差のなさだろうか
『はぁ!』
「(はやいな…)」
寝ぼけ眼で攻撃を受けながらも防いでいく、鎧がなければ所々を骨折していた自信がある
『ちょっと!そんなんで盾って言えるの?』
「何で言ってんのか多少分かる文腹立つなぁ!」
盾で振り抜きエルゼさんとの距離を作る。これでまだ『個人魔法』を使ってないというのだから基盤の違いを思い知らされる。器用貧乏っていうのはこういう特化型に負ける。が
「(真似させて貰いますっと)」
防御から攻めへと転じるべく装備を外していく、外套、盾に腰巻はそれぞれ防御を固めてくれるもののその反面、動きの物理的な阻害による可動域への制限と重量による機動力の低下が起きている
魔物相手ならいざ知らず、手合わせの時は手放すのが吉と見える
「『お願いします』」
『行くわよ!』
身軽になり、防御を捨てた以上待ちの選択肢は皆無に等しかった
◆
「いてて」
あの後コテンパンにされた。大振りがいけないと分かっていても咄嗟の威力を出したいとばかりに伸ばした腕の隙間を縫って見事な反撃を受けるわ
上手くいったと思い、踏み込めば誘われており、綺麗な回し蹴りを肩に深く叩き込まれた
「(この痛みが強くするねぇ)」
極め付けは水薬による回復をしない様に言われた。曰く痛みや攻撃に慣れたなら動きと意思が弱くなり、動きに緩慢さが生まれるのだと
「(理屈は分かるけども)」
それでも痛いものは痛い。早くエルゼさんの攻撃に慣れて躱したり、否したりしなければ朝が最悪な始まりが続いてしまうこと間違いなしだ
『あ、フジノミヤさん…』
「リンゼさん、おはようございます」
『あ、お、おはようございます』
自室に休憩がてら荷物を撮りに行こうとしていたところリンゼさんと鉢合わせした。いつもの落ち着いているとは少し違い、どこか疲れた様子で部屋を後にするその姿を見送った
「…」




