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公爵令嬢スゥからの招待状/問題解決へ

◆◇◆◇◆


 薬屋は案外混む所だ。医療機関が『薬屋』や『協会の依頼』に分類されているこの世界において早朝から対応してくれる薬屋は様々な要り用で訪れる客も少なくはない。という俺も九重さんに約束した手前、水薬用の道具を揃えてみた所だった


『ふ、フジノミヤさん、こんなものが』


 バレないうちに自室に持って行こう。そうやって階段に足を掛けた時。それを手渡された。ミカさんが青ざめた様子なので何事かと受け取った物を開いてみると俺も顔が青ざめたのを感じた


「こわぁ」

『どうしたでござるか?』


 固まっている俺の前方から九重さんが階段を降りてきた


「あぁ、九重さん」

 スゥ嬢から交易路開通記念パーティーの招待状が」

『どこが怖いのでござるか?』


 不思議そうな顔で前方から手紙を覗き込んだ九重さんは文を一瞥しつつ、特に変わった様子はない様だと言いたげな顔をこちらに向けてきた


「いや、俺たちの宿とか教えたっけ?って」


 俺は宿屋の床を指差した


『や…やめるでござる。意味がわかった途端寒気が』

「でしょ?」


 公爵の情報網恐ろしや、幼くも貴族としてしっかりした面を覗かせるのが何とも将来有望なのが恐ろしくも頼もしい様が伺える


『時にフジノミヤ殿?その手の物は?』

「…旅の必需品」


『そうでござるか』


 冷ややかな目で見られたが素材を精製する上で欠かせない物なので無駄な出費ではない。決して


『お金に困っても貸さないでござるよ』

「勿論です」



 旅支度を済ませ協会で待つリンゼさんとエルゼさんを馬車に乗せての王都への旅が始まりとなった


『王都に貴族って…』

『フジノミヤさん凄い方だったんですね』


 九重さんと御者をしつつ、姉妹の雑談に返事をしているとそんな話題になった。話を逸らせば良かったもののそこまで器用に生きてきてなかったのか馬鹿正直に返してしまった


「時たま運が…悪かっただけですよ」

『運が悪いだけで貴族と

 仲良く成れるんだったら苦労しないわよ』


『フジノミヤ殿』

「分かってるよ」


 九重さんに指摘され、眉間に皺を寄らせていたことを自覚する。俺ができることはなかった。それでも思ってしまう。もう少し何か、どうにかできなかったのか?と


「もっと、強くなりたいな」

『フジノミヤ殿…』


 少しでも進みたい。焦る気持ちを止め、馬を宥める。馬車の上でできることは少ないが7日を見積もりとすればそれ程短くない旅路だ


 何かできることを探す



 幸運なことに3人とも馬の扱いに長けているとのことで代わり番子で御者台に腰掛けることになった。手の空いた俺は早速レトルトに火をつけた


『水薬作りってあんた

 多趣味ってレベル超えてるわよ』

「できることはなんでも試してみたいものでして」


 無視していない意図を通じなくとも弁明しつつ、すり鉢で材料を砕いていたり、レトルトで沸騰による抽出をしたり、焼炉で焦がしたりなどを経て薬が完成した


『手慣れてるわね…』

「(なんでできたんだ?)」


 目の前の薬は『じゃがいもの芽』や類似した薬草からなる『嘔吐薬』だ。死ぬ前は俺いったい何をしてたんだ?


『荷物嵩張ってちゃ意味ないわよ』


 呆れた様子のエルゼさんに愛想笑いをしつつ、麻袋へと忍ばせていく、上手くいった様に見えて麻袋の中にあった薬草の大半を使って瓶一本程度の薬しか生成できなかったことを考えると畑がなければ仕事にならないなと思った



『フジノミヤさんもあの時

 リフレット来たばかりだったんですね』

「そうですね」


 休む九重さんに御者を努めるエルゼさん、必然的にリンゼさんが手持ち無沙汰になり、会話の流れになった。しかし、スマホを取り出さなければ不便な会話にふと俺は思った


「リンゼさん、一つ頼みたいことが」

『は、はい!なんでしょうか』


「読み書きや言葉を教えていただけませんか?」

『え?でも光る箱があるのでそんなことしなくても』


「この光る箱だと、内容に

 ちょっとした誤差が生じる時があります」

『そうなんですね…』


「謝礼もお支払いしますので」

『お、お、お礼なんて今も十分貰っています、ので

 大丈夫なので、あ、あ、頭を上げてください!』

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