欠けた記憶の残骸と"たった一歩"
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何陣かを揚げ終えて流石に疲れたので座って休憩していると根掘り葉掘りと言った様子でミカさんに話し掛けられた
教えたことから人死にが出ない様に最も気をつけないといけないことを教えつつ、ポテトを自室に持ち込み夜食にした
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さて、本格的に手持ち無沙汰になってしまった為、魔法の手引きの後半のひと項目にある薬草に関する知識にも手を出していこうと思い、本を開いた
「(水やら油で効果を抽出か)」
これにも無数の閃きが出てきた。前の世界での俺は一体何をしていたのか、技術や技能は癖などで輪郭を知ることができても肝心のそれに関する記憶は所々がすっぽ抜けていた
「(多趣味でも深くは学ばないって
感じだったのか?)」
いつか思い出せるのだろうか。そんなことを不安に思っていても仕方がないと思いつつポテトを口に運んだ
「(非常食のレパートリーも増やしたいな)」
現在の非常食は肉を塩漬けし自由水を限りなくなくすことで保存を可能とするジャーキーの様な代物のためあまり多用するのは好ましくない様に思えてならない
「(やりたいこと、やるべきこと
やらなければならないことが積み重なっていく)」
◾️◾️◾️であれば取捨選択や、放棄、放置ができるがここは現実だ。期日、制限、限界は勝手にやってくる上に反故にすれば代償が信頼や関係の破綻になる
「(厳しいな…)」
見えている様で見えていない。手が届きそうで手の届かない天井を眺めつつ悪戯に手を伸ばしてみる。皮膚の突っ張る感覚に手のひらを確認すれば、他と比べて新しめな皮膚がいつかに受けた傷口の辺りに張っていた
「(夢なら醒めてくれ)」
未だに割り切ることのできない現実に手の甲を額に落として項垂れてみるもただ額が"ジンジン"と痛むだけだった
「…疲れたな」
今日に至るまでの冒険が嘘の様に今日という日に疲れた。窓から差し込む夕陽を疎ましく思いつつもそれを見られるという今、生きていることに安堵する
「(明日もあるけど、酒が飲みたい)」
こういう時に限って酒を呑んでいた気がする。悩み過ぎて思考が行き詰まった時の逃げる方法にして、俺が一歩踏み出すための最後の一押し、悲しいな
『ただいま帰ったでござる』
「(…また、ノックを忘れた。けど)」
『どうしたでござるか?』
「(ありがたい明るさだよ、本当に)」
『フジノミヤ殿?』
「はいはい、『フジノミヤ』ですよ」
俺は立ち上がり、話したげな声色の九重さんについていく、必然と手招きする方へと向かうと夕陽の消えた部屋から外へと出た




