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異世界はスマートフォンと共に〜「何でよりによってスマホを特典に選んだし」〜  作者: 中折れ青二才
第2章、初期不良。選択したキャラデータがありません
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初めての依頼と独り時間に贅沢なひと時

◆◇◆◇◆


 装備を整え、九重さんと共に一階へ向かう


「待たせてすみません」

『気にすることないでござる』


 上機嫌に見える九重さんは術式の模写を行った試作品1号を眺めていた



 軽く食事を摂り、協会に向かって受付さんに依頼を出す上での手解きを受けた。登録と違って本当に簡易的なものだった


『魔法道具の試作品のテスター』で応募をかけたものの早くても明日に指定場所に人が来る筈とのことだった。金貨1枚と紫色では中々見ない金額を提示して、条件も合わせて依頼板に出して貰うことにした


 手数料含む金貨1枚と銀貨2枚は中々痛手ながら仕方ないと割り切るしかなかった


「さて」


 時間ができてしまったので依頼をと思ったものの中々気乗りしない1日のためどうしたものかと決めあぐね、最終的に町の散策に出かけることにした


『拙者は何か受けてくるでござる』

「じゃあ、これとこれを」


『かたじけない』


 保存食と金銭を渡し、別々に行動することとなった



 久しぶりのひとり行動とあって辺りをぶらり回ってみる露店でふと、見覚えのあるものが目に止まり店主に確認すると毒草の一種だと答えた


 芋虫のような枝分かれした白い何かを無数に生やす見た目のそれは嘔吐や下痢、めまいに関する毒性を有しているとのことで確信。一袋を銅貨5枚で買った



 部屋に戻りナイフ片手に『毒草』部分の採取を始める。皮も残しておきたいが緑色に変色しているため全部落としていく、皮付きが結構好きなのに勿体無いなと思いながらも腹を下しては意味がない


「(落ち着くな)」


 ひたすらに採取に努める。そう言えば最初の手伝いもこんなことをしていたなと思い出し1人で苦笑する。猫の手が分からずに家庭科の授業が本当につまらなかった


「(あれ、教え方が悪いよな)」


 結局のところ、手を怪我しなければいいのだがそれに固執する奴がいた。手の形にこだわるのは目的と手段が逆転してしまっている様に思えたが授業を預かるそいつの言いなりになる他ない当初は本当に苦痛でしかなかった


「(母さん、元気にしてるかな)」


 料理を教えてもらったことはないが楽しげに料理をする背中を見て育ち、手伝う内に料理の腕は上達していたのか一人暮らしを始めてから苦労することはなかった。やはり経験は必要なのだろう


「(手が滑るな)」


 毒草を採取し終えた残りを光に翳す。真っ白な塊のそれが目的の代物だった


「(この世界にも"じゃがいも"あるんだなぁ)」



「すみません」

『はぁい、ってお客さん久しぶりだね』


 1階の厨房で宿屋の従業員さんに話し掛けた


『まだ期間残ってるけどチェックアウト?』

「いえいえまだお世話になるつもりです」


『そうなのね、何か用事?』

「厨房と油を貸して頂きたいなと」


『良いけど、お金は取るからね?』

「ありがとうございます」



「(油高いな…)」


 金貨1枚、これは中々痛いが、それだけの価値が今から作るものにはある。自前の鍋を火にかけ中に油を満たして少し待つ、その間にじゃがいもを水につけておく、比較的芽が少なかったものを切っていく


『変なことしないでよ?』

「気をつけます」


 凄い視線を感じるが気にせず作業を続ける。じゃがいもをレギュラーカットに仕上げる。個人的な好みならウェッジだが


「(皮があるからこそだよな)」

『見たことない食材…』


 大体切り終えた辺りで手に水をかけ、油に飛ばす。すぐに泡立ち始めた様子から見るに100°Cは確実にあるので切り終えたじゃがいもを浮かべていく、じゃがいもの中の水分が沸騰すると同時に"パチパチ"と音を立てて油に沈んだ


「(先ずは20分くらいで一度あげて)」


 基準にする一本を引き上げふたつに割る。殆どがこの時点で火が通っでいるが火が通ってなければ再度沈め4から5分おきに引き上げる。山と盛ることになった芋の山、とても懐かしい


 スマホで翻訳を起動する


「すみません、温度って上げていいですか?」

『いいけど、完成したら食べさせて』


「分かりました、えっと…」

『ミカよ』


「ミカさんですね。是非食べて下さい」



 ここからは感覚だ。2度揚げ、中はホクホク外はサクサクに仕上げるのにこの工程は惜しんではいけない。温度を上げた油の中にポテトを入れていく


 先と比べ音も小さく、勢いがない様に見えるが今もなお完成に近づいている


「(この瞬間が地味だけど好きなんだよな)」


 引き上げる必要はない。最後は油に浮かぶ、それが完成の合図だ。若干明るめな茶色と独特な甘い香りが鼻腔に到着した



「どうぞ、熱いので気をつけて下さい」

『…ゴク』


 ミカさんに第一陣を差し出して次を揚げ始める。まだまだあるし、揚げるのも楽しいんだよな


『アツ、けど美味しい…』

「〜♪」


 これが酒のアテにもなっていいんだよな


『…これ、何処で売ってるの!』

「え?何?気に入らなかったら残して…」


『ねぇ!これ何処で売ってる!』

「ちょちょちょ?いやいや、待って

 今油使ってるから待って待って待って!」

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