神からの電話口による謝罪
◆◇◆◇◆
『本当に申し訳ない』
「…説明してください」
馬をとめ、九重から離れて電話口の老人に力の入らない喉で問う
『元々雷を落とした先の人を
転移させる予定じゃった
今回のケースは予定外じゃった』
「…包み隠さず話して下さい
俺は、俺はいま、冷静さを欠こうとしてる」
暴言を吐き出しそうになるのを、頭に爪を立ててグッと堪える。薄皮一枚、ほつれた糸一本で何とか保っている理性が崩壊寸前だった
『何から話せば…』
「御託はいいんだよ!1から話せ」
『あの若者とは大違いじゃな』
「誰のせいだと思ってんだよ」
◆
説明を受けても未だに死んだという実感がいまいち自分には湧かなかった。しかし、服を剥かれ、スマホ片手にこの世界に降り立ったその時から俺はある意味で
『テレビ番組の登場人物』だったんだと自嘲できた
死因は、正しくは死んでいないらしいが、そんなことはどうでもいい、重要なことじゃない。雨雲から零れ落ちた雷の直撃によるものだった
モヤがかっていた記憶が輪郭を帯びていく、思い出せた光景には確かに俺の前を突然横切ろうとした制服を着た子供がいた。そいつが落とした学生証を渡そうとして追いかけた先で
「…」
『富士宮 翔太君、本当に申し訳ない』
正しく努めようと、間違いを犯さない様に生きた結果がこれかよ。笑うしかねぇ
「これから俺はどうなるんだ
元の、世界?に戻れるのか?」
『君の元いた世界に
生き返らせるわけにはいかんのじゃよ
すまんがそういうルールでな
こちらの都合で本当に申し訳ない』
「こっちの世界で死んだなら?」
『そっちの世界で輪廻に組み込まれる…』
「…は」
笑える。笑うしかねぇ。笑わずにいられねぇ
『お前さんには引き続き別の世界で
第二の人生を…』
「いいですよ」
『…いいのか?』
言葉を遮って俺は即答する。携帯口で言い淀む神様───神ってのは全知全能と思ってたがこいつは恐らく人に近い奴だ。文献で見る神界に存在する。実在する
「事情は分かりました」
『…本当に申し訳ない』
なら俺もどうにかしてその存在になってやる。暴言吐くだけじゃ足りん
「それよりですがこのスマホは?」
『それは転移させようとした方が望んだ特典じゃ』
「(酔狂者めが)
充電切れになる心配はありますか?」
『バッテリーは魔力で充電できるようにしてある
電池切れは殆ど心配あるまい』
◆
『フジノミヤ殿、大丈夫でござるか?』
「えぇ、大丈夫です」
電話を切り、九重さんに返事をした。大丈夫だ───今世でやるべきことが見つかった。神様を1発ぶん殴ってやるってやるべきことが




