探しモノから探し者へ
◆◇◆◇◆
「(この際いい機会だし
魔法ってのにも触れてみるか、それに…)」
魔法、それについて理解。というより気掛かりがある『スマホ』だ。この奇妙な時間を共にしてきた故にすっかり気にしていなかったがこれは『異物』だ
「(ザナックさんも魔法道具って言ってたし)」
残念なことにベルクトでは見たことがないと言われたので近場の魔法に関するお店を尋ねてみることにする
◆
「しっかし…」
『?』
王都を歩いてみて気がついたのは人と獣が合わさった見た目の人種がいることだ
「九重さんあの人達って」
『亜人でござるか?ここは色んな人が
訪れる場所故目にする機会があるでござるな』
「へぇ、それスゥさんから?」
『よく分かったでござるな』
リフレットではまったく見なかったが、ここではよく見かける。人の身体に動物の頭と、どうしてそんな進化を歩んだのか不思議だ
◆
やってきたのは『ルカ』という雑貨屋の様な見た目のお店だ。色々と置いてあるもののこれと言って何か感じるわけでもなく、眺めてみる
『あの妹を見ませんでしたか?』
店内がやや騒がしい
『あの妹を見ませんでしたか』
『ふむ、お主と同じ見た目の娘でござるか?』
『そうです!』
『過度な期待をさせてすまぬ
見かけたら声を掛けておくでござる』
『ありがとうございます』
何やら困っている様子だ。手当たり次第に声をかけているみたいだが何をしたいんだろうか
『あの』
「はいはい、ちょっとお待ちを」
俺にも声を掛けてくるということは面倒ごとか困りごとだろうな。静かに店を見ることも叶わない様子だ
『妹を見ませんでしたか』
「見ていませんが、特徴をお聞きしても?」
『ありがとうございます。長い金髪で
耳は先端だけ黒く、尻尾の先端は白』
「(恐らくこの人と同じ狐っぽいんだろうな)」
着ているものなどの情報が欲しかったが身体的特徴だけでも助かる。少しばかりひと探しに店を出ることにした
「少し外を見てきますよ、お名前は」
『ありがとうございます、アルマって言います』
「これはすみません、貴女のお名前は」
『あ、オリガって言います』
「分かりました。九重さん俺少し外に出てくる」
『迷子探しでござるか?なら拙者も』
久しぶりにひとりになれるかもと期待したがそうは問屋が卸さないらしい
◆
「さてと」
少しばかり散策しながらひと探しをしよう。アルマって子の姉の推定年齢からしてやや幼いものの元気盛りの年頃だろう。恐らく12、3歳だ
すぐどっかに行く、迷子になる。最後には半べそかくこともある。何せ俺にも覚えがある。ひとりでできることが増えると安心、安全が退屈に感じるものだ。それで泣き出すなんて世話がない話だ
「(しかし、狐ってことは嗅覚が
優れていそうなものだが)」
『アルマ殿』
まぁ、別にいいか、意欲的な人が隣にいるし割と近くに居たり、居なかったりするし、そのうち見つかるだろう
◆
そこら辺の出店にある食事を買って食べながら数十分。割と離れたところで周囲を見回し、耳を垂れ下がらせている狐の娘を見かけた
『あの子…』
「多分、探し他人だね」
尻尾も萎びて、全身で困っていた。人間にも尻尾とか耳があれば分かりやすいのに、特徴が増えて、感情表現もパッと見で分かる様になる───颯爽と近づく九重に比べ、俺はくだらないことを考えながら近づいていく
あの様子だと、他人に声を掛けられる質には見えないので早々見失うことはないだろう
『ちょいとそこの狐の子』
『ひゃ、ひゃい!なんでしゅか!?』
『ルカって魔法店で似た人が探してたでござる』
『それってお姉ちゃんですか!』
『えっとぉどうでござるか…』
おい、何故そこで口籠るんだ
「そのお姉ちゃんの名前分かる?」
『…オリガって言います』
「この子で間違いなさそうだよ」
『助かったでござる』




