スルーが安牌、訳あり商品
◆◇◆◇◆
『〜♪』
「(機嫌良さそ)」
染め物屋立ち並ぶ場所まで戻ってきた。そのまま帰ろうかとしていると九重に促されるまま馬を預けて街を歩くことになった。鼻歌を歌っている辺り、機嫌が治ってよかった
『フジノミヤ殿』
「ん?九重さんどうした?」
『ここを見せたかったのでござる』
周りの建物や店が洒落た造りだ。入り口の工房の直売りとは少し違う雰囲気を漂わせていた
「(ブランド持ちって感じだな)」
造りや店構えからして別種だ。ガラスによるショーウィンドウは工房街では見ない造りだし、扉に関しては開ける前から見てくださいと言わんばかりに黒い縁以外はガラス作りと最早芸術品の域だ
正直入るのに躊躇するが、九重に手を引かれて店に入ることになった
◆
すぐさま若い女性の店員さんが声をかけてきた
『ベルクトへようこそ
これは九重様、いらっしゃいませ
本日はどう言ったものをお探しでしょうか』
『こちらのフジノミヤ殿に───』
ん〜家族の買い物を思い出すな。服装に無頓着なあまり連れ出されたのを思い出す
『かしこまりました。こちらへどうぞ』
俺は九重にされるがまま店内を歩き回ることになった
◆
何が何だかさっぱりだ。先程までの豪奢なところとは打って変わって統一性のない陳列棚の立ち並ぶ場所へと通されていた
『お客様のお連れ様ですと
軽装を好まれているとお見受けしますので』
『ふむふむ』
俺は吟味する2人の近くで周囲を見回す。不思議と落ち着くもののこれらは一体何なのだろうか
『フジノミヤ殿』
「はいはい?」
『フジノミヤ殿はどんな魔法が使えるでござるか?』
何だその身振りは投擲?仕方ないスマホを使うか
『フジノミヤ殿はどんな魔法が使えるでござるか?』
え?魔法?占星術とかウィジャ盤とかってこと?
「ごめん、魔法に関してはからっきしなんだ」
『そうなんでござるか』
「魔法がどうかしたの?」
『店員さんが紹介してくれたこのコート
魔法の適性によって
性能が変化するでござる』
「奇妙ですね」
『試着してみるでござる』
『こちらには耐刃、耐熱、耐寒、耐撃、加えて
非常に高い攻撃魔法に対する耐魔の付与が
施されております』
「色々あるんですね」
『ですが少々問題がありまして耐魔の効果は
装備されたその方の適性しか、発揮せず
それどころか、ダメージは
倍加するといった商品でして』
「被害が拡大するのは致命的ですね」
中々賭けだな。耐刃、耐撃は魅力的だが、魔法というものに大きな不利を受けることになる。魔法というのは黒ローブも使っていたあの摩訶不思議な術のことだろうか
「使い方によっては中々」
『どうでござるか?』
「ん〜取り回しが少し気になるかな
これと似た素材はありますか?」
コートはやめておこう。被害が拡大するのは致命的だ。前線で盾を構えるなら尚のこと避けておきたい故の判断だ
◆
素材元であるシルバーグレーの布地を買った。金貨数枚と割と言い値がついているのが恐ろしいところだ
その後も『魔力付与』なるものをされた装備をいくつか買った。皮防具に似たグローブは握る拳に力強いものを感じる『剛力の籠手』。衝撃を分散させ、攻撃魔法を反射する『銀鏡の盾』など諸々───防具をほとんど一式買い替える形になった。1番の買い物は他にあるが
総額、約白金貨7枚の買い物と相なった
『またのご利用心待ちにしております』




