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"袋の中身"がごっちゃごちゃ、蚊帳の外

◆◇◆◇◆


 オルトリンデとエレンの馴れ初めなどを聞きつつ、スゥの顔にも明るさが戻った。そんな折楽しい茶会はレイムがオルトリンデに耳打ちし、返事をすると終わりを迎えた


『君たちには本当に世話になった

 感謝しても"し切れない"ほどだ

 本当にありがとう』


 立ち上がりしな、オルトリンデがそういった


「いえ、兵士達の尽力あってこそです」


 邸宅を後にしようとする俺と九重にオルトリンデは公爵が深々と頭を下げた。この雰囲気はどうにも肌に合わないな───それ程言葉を尽くしても尽くせないのかも知れないが


 スマホを仕舞い、俺は公爵に続いて席を立った


『レイム、例のものを持って来てくれ』

『かしこまりました』


「では…」

『フジノミヤ殿、まだ何かありそうでござる』


 俺が退席しようとする袖を九重が引っ張ってきた。何事かと身構えるもレイムが銀の盆に何かいろいろなものを乗せてやってきた。まだ何かあるのか


『まずはこれを。娘を襲撃者から

 助けてもらったことと

 道中の護衛に対する形ある謝礼だ

 受け取って欲しい」


 差し出されたそれを受け取ると"ジャラッ"重量を伴った鈍い音が鳴った。何だこの既視感


『中に白金貨で40枚入っている』

『!?』


「(何この袋)」


 え?何この袋、両手塞がってしまってるし、スマホが取り出せん。何これ、中身何?


「九重さん?スマホ取って」

『白金…』


「九重さん?お〜い?」



『申し訳ないフジノミヤ殿』

「いや、大丈夫だよ九重さん(腰くそいてぇ)」


 確かに何かと助かるのは事実だ。金で解決できることが世には五万と存在するのだから、これはとても有難いことだ


『それとこれを

 フジノミヤ殿と九重殿に送ろう』


 続き公爵がテーブルに並べた2枚のメダル。大きさは手のひらほど、メダルには盾を中心にライオンが向かい合うレリーフが刻まれていた───オルトリンデ公爵家の紋様だ


『我が公爵家のメダルだ。これがあれば

 検問所を素通りできる』


 だから警備…。無くしたら大事になるな


『貴族しか利用できない施設も使える

 なにかあったら公爵家が後ろ盾になるという証だ

 君たちの身分証明になってくれる』

『公爵家と親しいものに贈るものじゃ』


 俺に手渡されたメダルには『平穏』

 九重に手渡されたのは『誠実』が刻まれていた


 この人のことが急に恐ろしくなったよ



 玄関に案内され、アルフレッドとスゥが見送りに並んでいた


『また遊びにくるのじゃぞ!絶対じゃからな!』

『テンジなる文化は興味深かったよ』


 公爵一家の見送りを受けながら、『地図』の『道案内』に従い馬を走らせた。目的はソードレック子爵の屋敷だ



『よもや手紙を渡す相手が

 ソードレック子爵でござるとは』

「世間は狭いねぇ」


 蹄の小気味の良い音を共に豪勢な街並みを走る。やがてソードレック子爵家までやってきた。その外観は歴史を感じさせる、何処か日本家屋を思い起こさせる趣きをしていた



『ここをソードレック子爵の邸宅です

 用がなければお引き取りを』

「ザナック様の使いのものです

 ソードレック子爵に取り次いで貰えますか」


 門番にザナックさんの名前を出し、子爵に面会してもらえるように話した。しばらくすると屋敷内に通されて、執事らしき人が応接間に案内してくれた



 応接間には赤毛で偉丈夫な方が座していた。鋭い目つきと書類仕事をしている身にしては筋肉のはっきりとした隆起が見て取れた。なるほど武芸者だ


『私がカルロッサ・ガルン・ソードレックだ

 お前たちがザナックの使いか?』

「はい」


『手紙を』

「はい。こちらを」


 ザナックさんから渡された手紙を差し出す。それを子爵は受け取ると、ナイフで封を切り、中身を取り出すしてざっと目を通した


『待たせたな』


 子爵が封をした手紙を差し出してきたのでそれを袋にしまった


『頼んだぞ』

「はい」


『それから…』


 俺は下がり九重が前に出た


『さっきから気になっていたのだがそこのお前

 どこかで、いや、会ったことはないな

 しかし…名前は何という?』

『拙者の名は九重八重

 九重重兵衛の娘にあります』


『その名乗りに

 ココノエ…九重か!お前重兵衛殿の娘か!』


 子爵の目つきが丸みを帯び、膝を叩くと、嬉しそうにまじまじと九重の顔を眺め始めた


『間違いない。若い頃の七重殿に瓜ふたつだ

 母親似でよかったなあ!』



 立ち話は何だと座らされ、2度目のお茶会と相なった


『しかし、あの重兵衛殿が我がソードレック家の

 剣術指南役だったのがもう20年も前になるのに

 つい最近のことの様に思えてくる

 私がまだ若い鼻垂れ小僧だったとき

 こっぴどくしごかれたもんだ』

『父上は今まで育てた剣士の中で

 子爵殿ほど才に満ち溢れ、腕が立つ者は

 いなかったといつも口にしてござる』


『ほほう?世辞でも嬉しいものだな

 師に褒められるというのは』


 世間話をしている横で俺は何をすればいいのか分からずソードレック子爵の奉仕人(メイド)からお茶を注いで貰いつつ茶菓子を頬張ることに専念した


『もし出会うことがあらば、ぜひ

 一手指南していただけとも、父上は

 申していたでござる』

『ほう…?』


 なんか空気がピリつき始めたな…。それとは対照的に子爵は面白そうに目を細めているけども。え、なんですか、この雰囲気?

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