王都到着、公爵邸まで
◆◇◆◇◆
『おお!見えてきたぞ!王都じゃ!』
窓から身を乗り出し、叫ぶスゥとそんな端ない行為をよそ様の前でと言いたげなレイムに親近感を受けつつ、俺も窓越しに遠くを見てみると
天に届かんとする断崖と
そこから地を叩く滝を背にそびえ建つ
王都アレフィスの荘厳さと言ったら
凄いの一言に尽きる
タージマハルに
グランドキャニオン
万里の長城が合わさった
情報の暴力といった見た目だ
「凄いですね」
『滝から流れ込むパレット湖のほとりに
栄えているものですから湖の都とも
呼ばれております』
街に設けられた壁と中に入る門のところで、数人の兵士が都へ入るための検問をしていた。俺はカードを取り出そうとしたがスゥとレイムの顔を見た兵士が俺を含む4人をそのまま通した
「(警備がそれでいいのかよ)」
そのまま馬車は城の方へ真っ直ぐ進み、染め物をしている工房が目に止まった
『ここ王都アレフィスは
ベルファスト王国キルア地方でも
有数の絹織物の名産地にございます』
縫製業が盛んなのが一目といった様子だった。ここなら九重の着物を手直ししてくれる場所も見つかるかもしれない。イーシェンに足を運ぶのは少し先になりそうだ
『フジノミヤ、興味があるのか?』
「えぇ、後で観に来ようかなと思っております」
『後でと言わず、今見るのじゃ』
『お嬢様、先ずはお父上様に報告を』
『むぅ』
街の外から流れる川の上にある石造りの長い橋に差し掛かると、門と同様に橋の中央でも検問所があったが、例のごとく素通りした
「ここの警備は大丈夫なんですか」
『公爵家の紋様が安全を保証しておりますので』
「もし、脅されていたりしたら?」
『ご心配なく』
「(杞憂だったか)」
◆
『この橋を渡った先が貴族たちの
住居となっております』
「なるほど」
綺麗で立派な屋敷が建ち並ぶ通りは抜けて、やがて馬車は大きな邸宅の前に出た。敷地を囲む壁は永遠に続いているんじゃないかと錯覚する程丁寧に造られている
門前へ辿り着くと、重そうな扉がゆっくりと左右に開いた。門に描かれた半分に割れている紋様は馬車のものと同じだった
「(ここが公爵の屋敷か
庭の手入れだけで1日が潰れそうだ)」
デカい。庭に家にと、何から何までデカかった




