先立つものに金と謝辞を
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「…(そっか)」
夢を見た。一人暮らしの部屋で目を覚まし、米を炊き始め、汁物を作り、その間に服を着替え飯にする。時間になれば靴下を履き玄関に向かう
誰にいうでもなく「行ってきます」と言って玄関を出る。そこで日の出と共に起きた
「はは…」
やはりというか何というか。自宅に帰れる希望はないようだった
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アマネスクの町を出て、さらに北へ向かうべく馬車乗り場に向かおうとする。九重の分の運賃も俺が出すとして
『フジノミヤ殿、拙者馬の扱いに長けております
御者としてお使いください』
「…お願いしようかな」
思わぬ旅のお供が優秀で助かる
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「刀だけじゃなく、弓術も」
『弓に関しては刀程ではなく
扱えるだけでござる』
「いや、それだけでも凄いわ
俺なんて何もかんも中途半端で…」
そんな話をしていると嫌な顔見知りに出会った
『っ!フジノミヤ殿』
「九重さん、下がって」
昨日のごろつきと出会した。数は昨日の倍はいる
「危ないと思ったら兵所まで走って」
『昨日のような不覚は!』
「多勢に無勢、九重さんがいくら強くても
囲まれればタダじゃ済まないの」
『っく』
囲まれても九重が余裕を持って兵所に向かえるように俺は前に出た。回復薬は買い足してある。装備も盤石、痛いのはどうにか我慢しよう
「何のご用でしょうか」
『昨日の件で話がしたい』
人で作られた壁から見上げる程の背丈の男が現れると頭に包帯を巻いた男が連れて俺の前に来た。見せしめに嬲られるかと思った
しかし、そんなことはなく2人して頭を下げる姿は昨日の様子とは全く違った雰囲気を出していた
「え?」
『この度は我が協会に所属する冒険者が
迷惑を掛けました』
「我が協会ってことはアマネスクの協会長様ですか」
『はい』
「これはどうも、朝早くからご苦労様です」
『とんでもない!昨日のことは非常に申し訳なく』
「それに関しましては私にも罪があります
負傷を負わせ、装備をダメにしました」
『それは…』
協会長が話そうとするのを遮り、俺は不躾にも続けた。あの時最も正しいことをしていたのに深傷を負った少女がいる
「あちらにいる九重さんが
生死を彷徨う大怪我を負っておりました
謝罪は私にではなく、彼女にするべきかと」
◆
『驚いたでござる。まさか謝りにくるとは』
「良識ある協会長でほんと良かったよ」
ごろつきの装備分の補填を協会へ収めるついでに『北廃墟』へ向かった。出費が続いているため少しでも足しになればと言う感じでメガスライムの討伐依頼を2、3周した
◆
『もうスライムは懲り懲りでござる』
「九重さんごめんね」
馬車に揺られながら改めてアマネスクの町から北へと向かい始めた




