18
学園であったことを家を通して注意をしてもらおうと食事の時に両親に報告した。
「そうか。そんなことが……」
「アゼリアちゃんを囲い込んでいる……事実なのは確かだけど、その言い方だとアゼリアちゃんの意思を無視して閉じ込めているような発言ね」
冷静に見える父と静かに怒りでブリザードを起こしている母の姿。
「そんなことを言いながらも幼少期のアゼリアちゃんを貴方たちが見つけたらどんな反応をするのかしらと尋ねたいわね」
厄介ごとになると思って見なかったことにするでしょうね。
「正義感のつもりで告げに来たようだけど、見え隠れしているわよね」
アゼリアという存在が魅力的でお近づきなりたいと思っている欲望が。
「我が家で磨いて、育て上げたアゼリアちゃんの身元が闇属性に厳しい環境の国だったから付け入れるとでも思ったのかしら」
「母上。アゼリアは僕らが磨いたのではなく、自らの力で咲き誇ったんですよ。アゼリアの努力があったからこその今のアゼリアです。手柄を横取りは駄目ですよ」
いくら環境を整えてもそれに甘えているようではここまで咲き誇れない。アゼリアの努力があっての今の状況だ。
「そうね。――そうだったわね」
ごめんなさいねとアゼリアに謝る母に、
「………………あの」
アゼリアがおずおずと口を開く。
「どうしたの。アゼリアちゃん?」
何か困ったことでもあったかしらと先ほどのブリザードを消し去って優しく微笑む母に、
「あの……。その方たちは先日私に話しかけてきましたけど……」
「あら」
「どういうことだい?」
母と父は焦らせないように尋ねると、アゼリアはどういえばいいのか言葉を選びつつ、
「私がリュカスさまに頼るばかりではいつかお荷物になると言われました」
「へぇ……」
アゼリアがお荷物になるわけないだろう。
「たかが闇属性で侯爵家に拾ってもらってのだから自分の立場を弁えろとか」
「あらあら」
母の目は笑っていない。
「侯爵家に恩を返したいのなら侯爵家に優位になるような家に嫁ぐことだろうとか」
「意味分からないけど……」
そいつらアゼリアにそんなことを告げて、僕にはアゼリアを解放しろというのか、よく分からない。
「侯爵家に力を持たせたくない輩なのかしら」
「いえ、君の立場なら自分の方が相応しいとか。本来の立ち位置を弁えろ。というニュアンスでした」
「まあ、それは。女性に対してのアプローチとしては最低ね」
アプローチ?
ああ、男尊女卑とかの考えとかモラハラとかか。
そういえば、わざと相手を貶して、そんなお前は俺以外貰い手がいないだろうと洗脳するという話が前世の相談スレにあったな。
でも、それって、今のアゼリアに効果はない気がする。
「んっ?」
そういえば……。
「アゼリア。最近別行動が多いのはもしかして、そいつらの所為じゃ……」
「えっ? いえ、違います」
そんなことを言われるとは想定外だったと首を横に振って、
「隠しているわけではないのですが、友人? が出来まして」
アゼリアに友人。
「そっか。良かったね」
屋敷内以外にアゼリアが心を許せる相手が出来たことは喜ばしい。
どんな子だろうかと聞きたいけど、さすがにそんなことを聞くのはアゼリアのプライバシーを侵害することだろうなと自重しておく。
「はい。訪問している教会で会った方で……」
こちらが聞くのを自重しているのによほど話をしたかったのか話を始める。
友人が出来るのはいいことだったが、残念なのかなんというか、そのご友人は年配の女性だそうで、いろんなことを知っている博識な方だそうだ。
詳しい話はご友人の関しての守秘義務もあるのか濁しているが、よほど話したかったのか目をキラキラとして教えてくれる。
「いい方に会えたんだね」
「はい!!」
嬉しそうに微笑んでいるし、興奮しているのか顔が赤い。
だけど、アゼリアの報告を聞いていた父はすぐにアゼリア付きの侍女にアゼリアに気付かれないように合図を送っている。
その人物の身元を調べるために詳しく報告を聞くためだろう。後、侍女が報告をしなかったことに対しての処罰もあるかもしれない。
前世の世界でも知らない異性に話しかけられたら警戒することもあった。だけど、貴族社会はもっと厄介なんだな。
今更ながら、自分の前世の常識で考えていた迂闊さに猛省した。




