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「ご無沙汰しています。書の展示をさせてくださりありがとうございます。妻と見られるおそらく最後になると思います。それをこちらでさせていただくことができ、ありがたく思っております。」
「こちらこそ、素晴らしい方だと存じ上げず、申し訳ありませんでした。少し見せていただきました。素晴らしい作品ばかりで感動いたしました。奥様とおいで下さりありがとうございます。最後などと、寂しいことをおっしゃらないでください。こちらにいる間は、ぜびごゆるりとお過ごしくださいませ。」
たくさん思い出を作るためにいろいろ回られたようだ。ご自分の書をここで展示できたらいいな、と奥様と話していたところ、息子たちに出会ったようだ。
『一期一会』という書を、息子を通して願ったところ、快く了承してもらえた。この旅館にできれば、と願ってくださったものらしい。
ロビーの最も目立つ場に飾らせていただくことにした。
旅館での一期一会。《おもいでや》での一期一会。
どちらも私たちには大切な出会いである。
そして、実は小さな額に入った『縁』という作品も頂いた。そちらは私たちの仕事の机の上に置いてある。
不思議空間にこそ置きたいものではあるが、今はまだ置くことは叶わない。置くことができる日が随分先であることを願っている。林様がお元気でお過ごしになっている以上は、存在するからだ。
林様のおっしゃった通り、失明されたようだ。それでも奥様と仲良く笑顔で帰っていかれた。
「林様。またいつでもお越しくださいませ。素晴らしい書をありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ。」




