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「何百年も前って……」
自称、千年生きた魔女というマリーの話は未だ半信半疑だったが、数百年も前の話が本当ならばトレジャーハンターという概念もなかった時代になる。なら、それに類する職業の人間を案内したということか。
「あの……それじゃあマリーさんは何故、無事なんですか?」
ミアが遠慮がちに質問する。
「それは簡単じゃ。箱がある『島』に繋がる転送装置まで案内したら、わらわは案内した連中が帰ってくるのをここで待っておるだけじゃからな」
「……島?」
マリーは指で天井を指した。
「ああ、正確に言っとらんかったな。パンドーラが保管されとるのは、ここではない。おぬしらもよう知っとる、空に浮かぶ島『スイフト』にある」
彼女の話はナツメの想像の遥か上をいっていた。
「マジか……」
「大マジじゃ」
俺は気持ちを落ち着かせる為、すーはーっと深く深呼吸する。
「スイフトってあのスイフトだよね!パラメリア王国の上空に時々現れる、あの島だよね?」
キャロルが興奮した様子でマリーに問いかける。
「だからそうじゃと言ったであろう……」
「すごい!凄いよっ!!ナッちゃん、ミーちゃん。僕たちがずっと憧れてたあの天空島スイフトに行けるんだよ!」
キャロルは無邪気にはしゃぎながら、ミアに抱きついた。
「キャ、ロルさん……苦しいけど苦しくないです——」
ミアが小声で悲鳴をあげた。当然だ。こんな狭い空洞内でハグなどされたら苦しいに決まっている。
「キャロ、お預け!!」
ナツメが叫ぶとキャロルは渋々ミアから身体を離す。
「お前さんは能天気じゃのう……」
マリーはキャロルを見つめながら呆れて物も言えないと言った態度をとっていた。が、
「しかし……若いというのも悪くないのう」と微笑をうかべた。キャロルは明らかに意味を察していなかったが、釣られたように微笑む。
——マリーってあんな笑顔できるんだ。作り笑いではない、ごく自然な笑い顔。
ナツメはマリーに対して抱いていた印象が少し変わった気がした。
傲岸不遜で掴みがたい性格なのは間違いないが、内面はそんな悪い奴では無いんじゃないか——と。
「ほれ、もうすぐ着くぞ」




