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彼女の言葉からは異様な重厚さが感じられた。
そう感じたのはマリーが決して脅しではなく、本気でそうなると確信した口調だったからに他ならない。
ナツメはどう返答して良いか分からず黙り込んだ。
カテゴリー四の異形種。そいつがどれほどの化け物かは、フライスネークを相手にしたことで、ある程度は予測がつく。
エリュシオンを発動出来たとして、それすら通用しないほどの怪物だったら——。
そんなナツメの不安を吹き飛ばすかのようにキャロルが叫んだ。
「上等じゃん!カタツムリー三か四か知らないけど、僕とナッちゃん、それにミアが居ればどんな相手でもなんとかなるよ」
「キャロ……お前」
相変わらず威勢のいい奴だ。
「私はナツメさんとキャロルさんの行くところなら、どんな危険があろうとも付いていきます。お二人の役に立つことが、今の私にとっての『生きる理由』だから……」
——ほんと、健気というか無垢というか。ミアがなんかもう女神に見えてきた。
「それにさ、パンドーラは僕とナッちゃんの両親、故郷の人たちを殺した奴と繋がってるんだ!!絶対に仇はとるよ!」
キャロルは微塵の恐怖もないといった様子でそう言い放つ。
——そうだ。キャロの言う通り……何ビビってんだよ。俺がトレジャーハンターになった理由は、故郷のシェルターを滅茶苦茶にした奴への復讐だ。
「マリー」
ナツメは低く、しかし覚悟の入った口調で彼女にいった。
「なんじゃ?」
「案内してくれ。箱の場所まで」
マリーはナツメ達を引き連れ、ピエスコ宮殿本館にある地下道を歩いていた。地下道の入り口は、何の変哲も無い壁画の裏側にあった。
彼女がディオーネを振ると壁に五芒星の光が放たれ、空洞が姿を現す。
「こんな場所があったなんて……!ねぇ、マリリン。ここって僕たちが一番乗りなんだよね!?」
大人一人がようやく通れるほどの広さの地下道を潜りながらキャロルがマリーに尋ねる。
「いや……」と、マリーが言い淀んだ。
「過去にも、わらわが案内した連中はおった」
「そうなんだ。残念……」
がっかりした様子のキャロルにマリーが振り向きながら、意味深な視線を送る。
「そう残念がる必要はないぞ。わらわが案内して生きて帰った者は誰一人おらんのじゃからな……」
心なしかマリーの表情が曇った。
「マリーが案内した連中はトレジャーハンターなんだよな?」
「……さぁ、な。もう何百年も前の話じゃから、よう覚えとらん」




