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マリーは止めていた足を再び動かしだす。五分ほど、狭い通路を進んだ先で急に広々とした空間に抜けた。
そこは半径三十メートルほどの半球状のドームになっており、高さも先ほど歩いていた地下通路の数倍はあった。
ドームの中央付近に見たことのない円筒形の金属が見える。円筒は四つ、正方形を描くように立ち並んでいた。
「あれが、マリリンの言ってたスイフトに繋がる転送装置ってやつなの?」
キャロルがウキウキした口調でマリーに尋ねた。
「いかにも。じゃが、そなた達を転送するに当たって条件がある」
「条件?何だよ。有り金全部置いてけとか言うんじゃないだろうな」
ナツメは少し皮肉を込めた言葉でマリーに聞き返す。
「そんなものは求めとらんわ!おぬしらがスイフトに行く際、わらわも同伴する。これが条件じゃ」
「何だよ、それ。さっき案内まではするけど自分は危険だしスイフトには行かないって言ってたじゃないか?」
ナツメは。その時、マリーがディオーネを巨大化させた。
——ヤバい。また脳天に打ち込んでくるんじゃ……?
冷や汗がドッと吹き出たが、意外にもマリーは何もしてこない。
彼女はディオーネの先端を地面にトントンと打ちつけながら「確かに……そうじゃ」とトーンの低い声をドーム内に響かせる。
「——わらわは、この数百年の間、おぬしらをこの場所に案内する以前に数十人、いや数百人の人間や異人種達を転送装置を起動させスイフトに送り出してきた。じゃが……誰一人として戻ってはこなんだ。わらわのせいじゃ……。わらわが案内などしなければ、彼等は死ぬことは無かった……」
マリーの青い瞳から透明な雫が湧き出たように頬をつたり、地面にポタポタと落ちる。
彼女は泣いていた。ナツメやキャロル、ミアは突然のことに茫然とマリーの顔を見つめる。
「わらわはな……パンドーラの箱を封印したかったんじゃ。あれは本来、この世界に存在してはいかん物。おぬしらも、あの箱に因縁があるようじゃが、わらわもアレには因縁がある。だが、わらわ一人の力では箱に辿り着くことすら出来ん。じゃから腕に自信があり、わらわが見込んだ者たちに望みを託し送り出してきたんじゃ。しかし……誰も帰ってこなんだ……」
マリーは瞳から涙を止め処なく溢れ出し、ナツメ達に語り続ける。
「わらわが殺したも同然じゃ……そう、だからの。ナツメ、キャロル、ミアよ。スイフトに行くのはやめにせんか……?」
「……え?」




