帰還 1
キーロフの村へ戻ったナツメ達を待っていたのは、同じトレジャーハンター達からの賞賛と喝采の嵐だった。
なにせカテゴリー『三』の異形種であるフライスネークを、底辺ハンターであるナツメ達が倒したのからだ。
宿の手配を済ませ、夕食を食べにアルバの店にきたナツメ達に、同業のハンター達が次々と声をかけてくる。
「どうやって、あのフライスネークを倒したんだ?」
「二級ハンターですら、手に負えないってのに凄えな!」
「お前のこと見直したぜ」
ナツメは止め処なく浴びせられる質問を「まぐれっすよ」と、曖昧にはぐらかした。
店の奥にあるテーブルに、キャロルとミアを連れて座ろうとした時、「ナツメ」と聴き慣れた声が鼓膜に響いた。
声の主はジェフだ。隣には案の定、アゲハの姿もあった。
「やあ、ジャフ」
ナツメはキャロルとミアを促し、彼らの居るテーブルに席を移す。
「聴いたよ。フライスネークを討伐したんだってな」
「いや、みんなにも言ったけど本当にまぐれなんだよ。ジェフの警告通りに死んでても全然おかしくなかったし……」
それを聞いたジェフは、表情を曇らせる。
「すまない。力になれなくて」
「え?別にジェフが謝る必要はないだろ?」
「いや、俺は単に臆病風に吹かれたんだと思う。慎重と言えば聞こえはいいがな」
「ジェフの判断は今でも間違ってなかったと、俺は思ってるよ。あの大蛇の異形種を倒せたのも、キャロルやミアがいてくれたおかげだから」
ナツメは、キャロルとミアの方に視線を向けた。
「そうだよ、凄いでしょ!えっへんっ!!」
キャロルは、自信満々に胸を張っていた。ミアはと言えば、外套のフードを深く被り、気恥ずかしそうにこちらを見つめている。
「そうか……。なんにせよナツメ達が無事だったのが一番だ。そういえば、もう報奨金は受け取ったのか?」
「報奨金?」
ナツメが不思議そうにジェフに訊き返すと、今まで魚のソテーを黙々と食べていたアゲハが、フォークを置いた。
「当たり前よ。カテゴリー『三』のフライスネークにはパラメリア王国が賞金をかけているのよ。討伐に成功した者には報酬が出る。あなた、そんなことも知らなかったの?」
「……賞金」
ナツメは小さな声で連呼する。
「遺物管理局に行くといい。ジニーさんなら報酬額のことや受取場所なんかも知ってるはずだから」
ジェフが微笑を浮かべる。ナツメは黙って頷いた。
「それと……ポトラ村での詫びの意味で、ナツメにちょっとした情報があるんだ」




