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ジェフ達と食堂で別れた後、ナツメはキャロルとミアを先に宿に帰し遺物管理局に寄ることにした。
見慣れた鑑定用ルーペ越しに、ジニーはナツメの顔を見つめながら「お前、フライスネークを倒したんだってな!大したもんだ」と感嘆した。
「いやぁ、俺一人の力じゃないし……運が良かったっていうか。それより、報奨金が出るって聞いたんですが……?」
「ああ、出るぞ」
「あの……ちなみにどの位ですか?」
「銀貨百枚だ」
——銀貨百枚?マジかよ!
ナツメは、予想していた額を超える報奨金のデカさに、目が回りそうになる。
「ただな……私も詳しくは聞いてないが、ポトラ村の住民達がフライスネークを倒す際、お前達に村を破壊されたと抗議しておるようでな。損害金として報奨金の七割を要求しとるそうだ」
ジニーは渋い顔で、ルーペの縁をクイッと指で持ち上げる。
なるほど、言われてみれば確かにフライスネークとの戦闘時、村の家屋がいくつか破壊されていた。戦う場所が悪かったと言われれば、イエスと答えざるを得ない。
だがそれも不可抗力というか、村に損害を与えたのはフライスネークであって、それをナツメ達に転嫁するのは、筋違いな気がしないでもない。
「どの道、お前さんが賞金を受け取る場所はパラメリアにあるトレジャーハンター協会の本部になるじゃろ?パラメリア王国としては討伐の功績を称えて金を出すだけであって、その際に生じた民間のゴタゴタなどには一切タッチしない。その辺はトレジャーハンター協会の裁量で、何とか処理してもらうしかないな」
「そうですね」
彼の言う通りだ。ナツメとしては、首都ロザリアにあるトレジャーハンター協会に赴き、報奨金の取り分を受け取るだけだ。
その額面がどの程度か知らないが、多少は生活の足しになるだろう。
ジニーに礼を言い、派出所を後にしたナツメはキャロル達が待つ安宿に戻ってきた。借りている部屋の前までくると、室内からキャロルとミアの声が聞こえてきた。
「ただいまぁ」
ドアを開けたナツメの目に飛び込んできたのは、下着姿が艶かしいミアとキャロルの肢体だった。
「……え?いや、嘘。こ、これは違——」
ナツメは慌てふためき、訳の分からない言の葉を綴る。
ミアはナツメを視認すると、顔を紅く染めた。
「ノックくらいしてよ!この変態!バカ!アホ兄いぃっ!」
叫ぶ声と同時に、キャロルはテーブルに置いてあった花瓶をナツメに投げつけてくる。
「そ、そんなつもりは……。とにかく、ごめんなさいぃ!」
ナツメはドアを秒速で閉じた。迂闊だった。
キャロルとずっと二人、兄妹生活していたこともあり、ミアの存在を失念していた。
——俺、失望されたかもしれないな。ナツメは、ドアを背にへたり込んだ。
数分後、ドアが開きキャロルが「入ってきていいよ」とナツメに声を掛けた。ナツメはおっかなびっくり室内に入る。
ミアは膝丈のズボンを脱ぎ、ピンク色のチュニックを着用している。
二段ベットの上でぺったんこ座りしながら、ナツメを上目遣いで見つめているミアの瞳には、侮蔑の色は感じられなかった。
「あの、ナツメさん!ごめんなさい。さっきキャロルさんと一緒にお風呂に入ってまして……。タイミングが悪かったです……」
ミアはベッドから立ち上がると、頭を下げてナツメに謝罪した。
「え!?いやいや、そもそも俺がノックしなかったのが原因だし……。ミアが謝ることじゃないよ!」
ナツメは慌てて手を振り、謝り返した。
「そうだよ。ノックしなかったナッちゃんが一番悪い!ミーちゃんが謝ってどうするの!!一発殴ってもいいくらいだよ」




