3
宿部屋でジェフはヤギウの大木での発掘スケジュールをナツメ達に説明した。
まず調査対象であるヤギウの大木が生半可なデカさでは無いという点。高さにして三百メートル、直径は五百メートルというスケールだ。
ナツメは、ふと世界のどこかに存在するという世界樹『ユグドラシル』を連想した。
木の樹皮が剥がれて隙間が開き、そこに出来た洞窟状の空間を樹洞という。が、ヤギウの大木の樹洞は大の大人が余裕で直立出来るほどの広さがあるらしい。
そして樹洞は大木内をアリの巣みたいに駆け巡っているという。
一日、二日で探索出来るような場所では無い気がする。探索の範囲にもよるが、一週間、下手すれば数ヶ月かかってもおかしくないだろう。
「そんな訳なので暫く、この宿屋を拠点としてヤギウの遺跡発掘を進めていきたいと思ってる。心配しなくても、その間の宿代と食事代は俺が払う。その代わり、しっかり働いてもらうからそのつもりで」
ジェフの激励にナツメ達は一様に頷く。
宿で身支度を整えると、四人は早速ヤギウの大木に向かった。
「でか!」というのがヤギウの大木を実際に見た印象だった。
事実、本当にデカい。木の幹が太すぎてポトラの湖と同じくらい涯が見えなかった。
高さも周りに生えているオークなど比較にならない。
大木の根元付近には天幕や露店などがいくつか立ち並んでいた。
恐らく、俺たち以外のトレジャーハンターがこしらえた拠点、休息用のテントだろう。出店からは香ばしい匂いが、煙と一緒に漂ってくる。
店を出している者達は、遺跡発掘にきたハンター達をターゲットにしているのだろう。だが、宿では食事が出ないので、寧ろありがたいといえる。
「それにしても、この樹木、本当に大きいわね。私の想像超えてたわ」
「こんなおっきな木、初めて見たよ!ねえ、ナッちゃん」
キャロルの問いにナツメは相槌をうつ。
「ナツメ。キャロルの感想には反応するのに、私の言葉はスルー?」
「いや、アゲハは俺に話しかけてなかっただろ……普通に独り言っぽかったし」
「ナツメもどうせ、私と同じこと思ってたでしょ?そういう時は、確かに、とか何かしら同調的な返しがあって然るべき」
「知らねーよ……」
キャロルは露店で売られている肉料理が余程気になるようで、しきりに視線を泳がせている。




