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露店を抜け、樹の根元にナツメ達が辿り着くと、太い根を縫うように足場が造られていた。
「やあ、ナツメじゃないか!」
突然、頭上から声が聞こえた。樹洞の入り口から数名の男達が歩いてくる。
屈強な身体に重厚な鎧をまとった男達に囲まれた金髪の青年がいた。こいつのことは知っている。名前はアラン。彼とは、トレジャーハンター養成所で同期だった。
「君もこの遺跡に発掘に来てたんだね。少し驚いたよ」
「あ、あぁ……」
ナツメは言い澱みながら返事を返す。横からジェフが「俺も驚いたよ。アランがここにいるとはね」と割って入る。
「ジェフ先輩、お久しぶりです。なるほど、ジェフさんがいるならナツメでも、この遺跡の探索は出来るね」
——ジェフさんがいるなら、か。棘のある言い方だが否定は出来ない。無意識にナツメは拳を握りしめていた。
「じゃあ、僕たちは宿に戻るんで。ジェフさん達も発掘頑張ってください」
アランは、そう言い残すと男達を引き連れ、足場を降りていった。
「何、あの態度。腹立つ。めっちゃ嫌味混じり」
アゲハが吐き捨てるようにいう。アランは養成所にいた時から、すば抜けていた。実技も筆記もほぼ満点。
それに比べて俺は、ほどんど及第点だった。おまけにアランはパラメリア王国でも、一目置かれる貴族の家柄らしい。要するにナツメとは生まれが根本的に違う。
自分が、落ちこぼれなのは言われなくても分かっている。だが、同期の人間にここまで突き放されると無性に悔しさが込み上げてくる。
「ナッちゃん!」
不意にキャロルがナツメに抱きついてきた。
「どうしたんだよ……?キャロ」
「今からこのオバケみたいな大木を探索するんでしょ?そんな暗い顔してたら、福と一緒にお宝まで何処かに飛んでっちゃうよ?」
彼女は透き通るような瞳でナツメを見つめながら、屈託のない笑みを浮かべた。途端に先ほどまでナツメの心に渦巻いていた劣等感が薄まった。
「そう……だよな。悪い、キャロル」
ナツメが苦笑いを浮かべると、キャロルは「うんうん!」と頷き返してきた。何だかんだいって、俺は彼女に助けられてばかりだ。兄貴失格だな、とナツメは心中で自嘲する。
「キャロルの言う通り、先を越されたからってめげてる場合じゃないぞ。ナツメ。とはいえ今日の目的はヤギウの大木の下調べだ。とりあえず樹洞内部を少し拝むとしよう」




