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【461さん踏破録】〜元引きこもりダンジョンオタク、入るたびに構造が変わるグンマダンジョンを攻略して最強探索者に至ってしまう〜  作者: 三丈夕六


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第41話 26階への門

 人形使いを倒した俺は森の中を進み、ついに25階層の最奥へと辿り着いた。


 木々に囲まれた通路を真っ直ぐ進む。視線の先は何もない暗闇。照明魔法で照らしても一切先が見えない。一歩踏み出す度に木でできた壁面が現れる様子は、俺が歩くたびに通路が構築されていくような感覚がした。


『ここまで来るまで本当に頑張ったな……ヨロイ君……』


「こっからが本番だと思うんで、気合い入れます」


 リレイラさんが褒めてくれて恥ずかしい気持ちになる。あの人形使いを倒してからの道のりは相当大変だったからな……今までのモンスターがほぼ全て出現したし、霊体モンスターまで現れる道のりだったから。アイテムも回復薬もかなり消費してしまった。


 だが、なんとか生きて25階の終わりまでやって来ることができた。恐らくこの先にラスボスが待ち構えている。そいつを倒せばこのグンマダンジョンも攻略完了だ。



 そうして進んだ先に「それ」は現れた。



「なんだこれ……巨大な……門?」



 目の前に突如として現れた門。それはこの通路を塞ぐほどの幅を持ち、上空にどこまでも伸びているような錯覚がした。


『そこに筆記魔法(ワーダイト)で何か書かれているぞ』


 周囲を見渡してみると赤い文字で何かが書かれていた。


「ヘイムガルの時みたいな引き返せとかじゃ無いだろうな?」


 あの時のインパクトは相当ヤバかったからな。ボス戦前に精神攻撃とか勘弁してくれよ。


 恐る恐る筆記魔法に触れる。そこに現れたのはメッセージというより独白のようなものだった。



 ……この扉の前に来て3日目。また仲間は帰って来なかった。これで残されたのは私1人。みんなの選択は間違っていたのだろうか? 35の鍵穴の中から正解を引き当てるなんて……できっこ無い。先に入ったパーティのメッセージには、先へ進んだ仲間は消滅したと書いてあった。恐らくここは外の世界とは隔絶された場所。助けは来ないだろう。もはや私に残されたのは……ここで死ぬか、消滅を覚悟して先に進むかだけだ。



『消滅……? どういうことだ?』


「まだメッセージに先があるみたいです」


 筆記魔法へもう一度触れると、ボワリと文字が滲んで新たな文字が現れる。



 ……私がクリアできなかった時の為にここへ門のルールを記す。


・カケラの鍵を差し込む鍵穴は35存在する。

・どの鍵穴でも門は開く

・ただし、正解の鍵穴を引かなければ……扉の先で肉体が消滅する。


 ……健闘を祈る。もし私が正解を引けなかった場合は……どうかこのダンジョンを攻略してくれ。ここは普通じゃない。管理者はこのダンジョンを消滅させるべきだと言った。私も今になってそう思う。最深部に宝があるなどと……思うべきではなかった。このダンジョンに挑んだのが私達パーティの過ちだ。



 鍵穴……。



 門を調べてみると、門の中心に複数の鍵穴が存在していた。縦に5列、横に7列……全部で35の鍵穴が。こっから正解を引き当てないといけないのかよ。鍵穴の近くに模様みたいなヒントは無い。マジで運だけかよ、これ。



『か、管理者に何か話は聞けないか? ヨロイ君が消えるなんて絶対ダメだ!』


「……そうですね。聞いてみます」



 何もない空間に声をかけてみる。しばらくして現れる亜空間の門。その中の管理者へ声をかける。


「この門について質問なんだが……」



 ──筆記魔法に記されていた事が全てだ。それ以上の事は我も分からぬ。


『何か!! 何かヒントは無いのか!?』


 リレイラさん、相当焦ってるな。俺も当てずっぽうで命かけるつもりは無い。何か見極める方法はないのか……?



 管理者はしばらく無言になった後、ポツリと呟いた。



 ──以前、我の渡す武器は因果律が収束したものだと言った事を覚えているか? 今回の攻略、我がここまで干渉できたのは今までに無い事だ。もしかしたら、貴様にはこのダンジョンを攻略する因果が収束しているのかもしれぬ。


「どういう事だよ?」


 ──今回の貴様の攻略は以前の者達とは違った事象が起きた可能性がある。ここまで来るのに何か変わった事は無かったか? それがこの先へ進む鍵やも……。


 変わった事……?


『あ……あ! そうだヨロイ君! 20階で手に入れたアイテムがあっただろう!? あれがこの仕掛けを解く鍵なのかも!』


 マジックバッグを漁って宝石を取り出す。緑色に光るビー玉ほどのサイズの宝玉を。


「確かに。この宝玉……『真理の眼』とかいうアイテムだった。アレを使えば……」



 ──何か掴んだようだな。我はこの歪みの状況を確認してくる。貴様達に起きたように、通常では起こり得ぬ現象が出る可能性があるからな。


「ああ、ありがとな」


 ──礼など。いらぬ……我が全ての原因故……。


『それでも、貴女はヨロイ君に協力してくれている。ありがとう……本当に』


 リレイラさん……。


「俺の担当もありがとうって言ってるぜ? アンタと同じ魔族がさ』


 ──……そうか。その言葉、ありがたく受け取らせて貰う。ここを抜ければ最後の門番がいるだろう。その者を倒した後、また会おう2人とも(・・・・)



 そう言うと、亜空間の門は閉じてしまった。



「じゃあ、早速この宝玉を使ってみないとな。真理の眼とかいうくらいだし、これを通して見れば正解が見極められるとか?」


 ヘルムを外して緑の宝玉越しに鍵穴を覗いてみる。しかし、鍵穴を見渡してみても模様や文字が現れない。


「ダメかぁ……」


『鍵穴にその宝玉が入るとかはないか?』


 リレイラさんの提案を試してみる。35個の鍵穴に宝玉を合わせてみるが、円形になっている穴部分が小さすぎてどれも入らない。試しにカケラが合わさった鍵を当ててみると、それにはピッタリと合わさる形をしていた。


『それもダメか……このアイテムは関係無い? いや、先ほどの話を聞いた限り、このアイテムが出たのは偶然じゃ無いはずだ!』


「何か他に使い道がないか? クソ、鑑定できればなぁ……」


『鑑定ができれば……レアアイテムはプロテクトのせいで読み取れないのが……』


「鑑定できたらあの宝玉の記憶(・・)を読み取ってヒントをつかめるのに……」


 全部レアアイテムのプロテクトを突破できないせいだ。俺の鑑定スキルが低いから……スキル上げられたらなぁ……。


『ん?』

「ん?」


 ふと思った。なんで俺、鑑定魔法のレベルが上げられないと思っていたんだ?


『ヨロイ君? 今レベルポイントはどれだけ保有しているんだ?』


「えっと……16325ptですね」


 スマホを取り出してスキルツリー画面を開く。次のレベルに鑑定魔法を引き上げる為には5000pt必要。リレイラさんはプロテクト突破可能な鑑定魔法には「プロテクト突破可」の文字があると言っていた。次の鑑定魔法レベル4は突破不可だけど……。


「もし、その次のレベルが残りのレベルポイントで引き上げられるなら……」


『レアアイテムの鑑定ができるかも……!』


 レベル4を解放したあと、次のレベル5に1万より多くのレベルポイントが必要になればアウトだが……命がけの賭けよりはずっとマシだ。


「次のレベルに上げてみます」


 スキルツリー画面から鑑定魔法のスキルを選択する。5000ptを支払い、鑑定魔法レベル4を解放する。


 スキルツリー画面が光り輝く。頼む……! 1万以下出てくれ! というかレベル4で鑑定魔法の成長打ち止めとかやめてくれよ……!


『次のレベル5は……』


 消費ポイントと効果を確認する。



名称:鑑定魔法レベル5。

消費pt:10000pt

効果:アイテムの記憶を読み取る。プロテクト突破可。



 ……プロテクト突破可。1万。


「プロテクト突破可能!?」

『解放するのに1万pt!?』


 それを見た瞬間、思わず飛び跳ねてしまった。


「よっしゃあああああああああ!!!!」


 すぐに鑑定魔法を解放して、宝玉を鑑定する。ここからだ。頼むぜホント……! 重要アイテムであってくれよ……!



 祈るように目を閉じた瞬間、アイテム「真理の眼」の記憶が蘇る。脳裏に浮かぶ黒い影。最初に見えたのは開いた門のイメージ。扉が開いて真っ黒な空間へ入った影は、苦しむように霧散してしまう。しかし、そう思ったのも束の間。次に見えたのは光り輝く門の光景だった。


「門の奥が明るかったら正解。真っ暗なら不正解ってことか」


『ほ、他にヒントはあるか?』


 もう一度脳裏に記憶が映り込む。影が鍵穴を数えていく。1番右下から数え始めて上に4列目、左に6列目の鍵穴。そこに影が鍵を差した所で読み取りは終わった。


 指でなぞりながら、影が選んだ鍵穴へ辿り着く。


「上4列、左6列目の鍵穴……ここだ」


『大丈夫……?』


「ノーヒントで選ぶよりずっとマシですから」


 懐から「カケラの鍵」を取り出し、鍵穴に差し込む。ゆっくり鍵を回していくと、カチリという音と共に巨大な門が開いた。



 轟音と共に門が開く。その先に続いていたのは……真っ白い光だった。



『やった! 正解だ!!』



 リレイラさんが子供のような声を出し、俺も嬉しい気持ちになってしまう。だけどここからが本番だ。


 管理者がこの先に最後の門番が待っていると言った。つまりラスボス戦だ。ここで失敗したら何もかも終わり。気合い入れろよ、俺。


 俺は最後にもう一度マジックバッグのアイテムを確認した。間違いの無いようアイテム1つ1つを床に並べて数えていく。



・エマージャクス 1

・シャドウソード 1

・クロウスラッシャー 4

・ブレイズナイフ 3

・ディガーファング 2

・アキドゥスフィア 1

・スライムキューブ1

・回復薬 1



「こんなところか」


『随分減ってしまったね……アイテム』


「大丈夫、なんとかします。ここまで来たんだ……必ず倒して帰ります。俺は絶対リレイラさんと東京に行きますから」


『……うん。君なら大丈夫。見ているからね』


 頬を叩いてヘルムを被り直す。ラスボスと戦う覚悟を決めて、俺は26階への門に足を踏み入れた──








次回、いよいよラスボス戦です。


次回更新は2/27(木)となります。

お待たせしまして大変申し訳ございませんが、中途半端なラストにしたくないのでご容赦下さい。次回更新のお約束は死ぬ気で守りますので……どうぞよろしくお願いします。


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