第39話 スケルトンの謎
18階層まで崖エリアは続き、19階層へ渡る魔法陣でエリアは終わりを告げた。
次に入ったエリアは森。スクィジゴブリンや幽霊騎士、幽霊狼達が徘徊する森を抜けて20階層へ。密集した木々で作られた通路は、砦や崖エリアよりもずっとダンジョン感があった。
木々に覆われた通路を先へ進む。すると、通路を数体のスケルトンが歩いているのが見えた。
『森にスケルトン? 妙じゃないか?』
確かに。骸骨戦士のスケルトンが現れるのは基本的に墓地や洞窟が多い。こんな森の中じゃ見た事が無い。
「まずは1体倒してみます」
消音魔法を発動して、マジックバッグからベントナイフを取り出す。通路の角から狙いをつけ、前方を歩くスケルトンを狙って投擲する。
回転して飛んで行くベントナイフ。それがスケルトンの後頭部に突き刺さる。
「カタッ……!?」
後頭部にビシリと亀裂が走り、スケルトンは糸の切れた人形のように崩れ落ちた。
「よし、体力は低いな」
溢れるレベルポイントの光。近付こうとした瞬間、リレイラさんが声を荒げた。
『待て! 何か変だぞあのスケルトン……レベルポイントの光はあのような動きはしない』
「光?」
よく観察してみると、レベルポイントの光はゆらゆらとスケルトンの周囲を漂うだけで、俺のスマホに向かって来ない。普通なら距離は離れていてもスマホに吸収されるはずなのに。
「本当だ……なんか変だな」
『身を隠した方がいい。ヤツが生きているなら攻撃して来た対象を探すはずだ』
……ここはリレイラさんの言う通りにしておくか。
通路を戻る。途中、木が密集した壁に隙間があるのを発見し、その中へと身を隠した。小さな部屋のような空間。入って来た木々の隙間を覗き込んで様子を伺う。40秒後、スケルトンが歩いて来る音が聞こえた。
さっきのヤツが復活した? もしくは別の個体か?
カタカタという足音。静まり返る森。緊張感の中、腰の通常ナイフを引き抜く。いつでも攻撃できるよう身構えていると、木々の隙間からスケルトンが見えた。
『なん……だと……?』
そのスケルトンは先ほど倒した個体だった。リレイラさんの驚きも分かる。そんな事は本来起こり得るはずがないからだ。
『頭が無いのに……動いている?』
そう、目の前を通ったヤツには頭部が無かった。以前リレイラさんに聞いた事がある。ヤツらは死に絶えた人間の魔力が頭部へ集まり、頭部から全身へ魔力を繋げる事で生前の動きを再現していると。
だから頭部が無いスケルトンなんてあり得ない。ヤツらは頭部が本体なんだから。
隙間から出て、通り過ぎたスケルトンを観察する。幸い消音魔法の効果は切れていない。ヤツが振り返らない限り気付かれはしないだろう。
ヤツの全身をくまなく見ていく。黄ばんだ骨、180センチはありそうな身長、両手に持った剣と盾……俺の知るスケルトンそのものだ。
『頭部が無い以外は普通だが……一体なぜ……?』
……ん?
よく見ると、左の肋骨の中に光が見える。
「あの肋骨の中にある光って、レベルポイントと見間違えたヤツですかね?」
肋骨の中に収められた白い光は、ユラユラとスケルトンの中を漂っている。あんな現象も初めて見るな。
『もしかしたら、あのスケルトンは魔導士タイプのモンスターが操っているのかも。あの光が操る為の魔法なら、頭部が無い現象にも説明がつく』
本体が別にいる……か。なるほどな。
「なら、別に存在している本体をぶっ倒せば良いって事ですね」
『ああ。それまであのスケルトンとは直接戦闘しない方が良いだろう。できる限り避けて進んで行くといい』
「了解です」
目的の26階まであと6階……アイテムは極力温存したい。現状のアイテムを確認してみるか。
・フレクシルド 1
・エマージャクス 1
・シャドウソード 1
・ベントナイフ 2
・クロウスラッシャー 8
・ブレイズナイフ 7
・ディガーファング 6
・アキドゥスフィア 2
・スライムキューブ2
・回復薬 2
・魔力回復薬 2
どうしても道が通れない時だけ通常ナイフとベントナイフを使って処理するか。今の個体が起き上がって俺に追い付くまでおおよそ40秒。道をすり抜けるには充分だろう。
後はスケルトンを操っている本体ってヤツに気付かれるかどうかだが……色々試してみるしかないな。
俺は、森の中をさらに進んだ。
次回、先に進む461さん。スケルトンを操る本体の居場所は分かるのか……。




