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【461さん踏破録】〜元引きこもりダンジョンオタク、入るたびに構造が変わるグンマダンジョンを攻略して最強探索者に至ってしまう〜  作者: 三丈夕六


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第24話 酸のサソリ戦

 長い階段を降りていると、徐々に暑くなってくる。足元もザリザリと砂のような感触が伝わって歩きにくい。


 鎧の暑さ対策用符呪が発動したおかげでまだマシだが、生身になったらとんでもない暑さに感じるだろう。寒さ対策と暑さ対策で迷ったが、暑さ対策を選んで正解だったぜ。


 そうして階段を最後まで降りた時、俺は息を呑んだ。


 石のブロックで作られた壁に、謎の銅像……昔見た冒険映画に出て来そうだ。遺跡、と言っても良いかもしれない。


 周囲を見ると、所々に設置された松明がチラチラと光っている。構造から気温まで全く違う。視界のはるか先に見える階段が、かろうじて「階層」がある事を告げているようだった。


『これは……砂漠地帯のダンジョンのようだ』


 リレイラさんの声が聞こえる。一瞬、先程の事を思い出してドキリとしたが、意識を振り払った。リレイラさんもいつもの調子だ。こんな所で気を抜くなよ、俺。


「リレイラさん、モンスターの目星はありますか?」


『こういう場所ならスコルピオスがいそうだ。君達の世界で言う所のサソリに近い。尻尾から酸性の液体を撃って来るから気を付けて』


 酸性……毒じゃないのか。厄介そうだな。


「…っと。いずれにせよ、まずはこのフロアの偵察と盾の性能チェックだな」


 左手の盾を見る。それにもう一度鑑定魔法(アプレイザル)をかけてみる。



 名称:フレクシルド

 分類:盾

 属性:?

 効果:?????????。使用回数?回



「う〜ん、フレクシルドか。盾って言うからには防御系の能力があると思うんだけどなぁ」


『盾と言えば防御とパリィ。まずはそこを試してみてはどうだ?』


 確かにリレイラさんの言う事はもっともだ。防御で何かしらの効果が発揮すれば御の字だが、それでも反応しない場合はパリィを試す。これが正攻法だな。


 俺は、リレイラさんに礼を言って探索を開始した。



◇◇◇


 第1階層を見て回ると、リレイラさんの言うようにスコルピオスというモンスターが徘徊していた。大型犬サイズのサソリ。あの尻尾から酸性の液体を発射する……か。


 通路の突き当たりにいるスコルピオスをターゲットにして周囲を確認する。この周辺には他のモンスターの気配は無い。気を引き締めていくか。


 まずは通常攻撃を試したいが……どう出る?


「ギッ!!!」


 俺に気付いたスコルピオスがいきなり液体を放って来る。咄嗟にサイドステップで避けると、通路に当たった液体がジュウジュウと音を立てた。


「うわぁ……これ受けたら火傷じゃ済まなそうだな」


「ギギッ!!」


「とりあえず物理を試すしかねぇか!」


 スコルピオスが発射する酸をローリングで回避しながら近付いていく。目の前に辿り着いた瞬間、サソリは両手の(ハサミ)で攻撃した。それを右へとすり抜けて躱し、尻尾の付け根にショートソードを突き刺した。


「オラァ!!!」


「ギッ!?」


 ブツリという感触と共に切先が付け根に刺さる。そのままチカラ任せに剣を引くと、テコの原理でメキメキとサソリの尻尾が切断された。


「ギチギチギ……ッ!!」


 スコルピオスは怒ったように牙を鳴らし、両手の(ハサミ)で攻撃した。


「物理攻撃、試させて貰うぜ!」


 盾に意識を集中させる。それに反応して、フレクシルドが俺の肘までを覆うサイズへと変化した。スコルピオスの鋏が、ガリガリとフレクシルドを削る。


「くっ……防御だけだと普通の盾かよ!」


 なら次は……っ!!


「ギギッ!!!」


 スコルピオスの鋏攻撃に盾を合わせる。タイミングを測れ。この速度の攻撃なら問題は無いはずだ!


 ヤツの鋏が叩き付けられるタイミングに合わせて、俺はその攻撃を弾き返(パリィ)した。


「ギア!?」


 そのままショートソードをヤツの頭部の付け根に突き刺し、再びテコの原理でメキメキと引きちぎった。


「ギアァァアア!?」


 サソリの体からレベルポイントが溢れる。



 ──レベルポイントを100pt獲得しました。



『通常のスコルピオスよりポイントが多い。先に進んだ分、一般のモンスターも強くなっているのかも』


「でも今の強さならまだ何とかなりそうです」


 お、そうだ。アイテムはあるか?


 サソリの周辺を調べてみると、野球ボールサイズの黒い球が転がっているのを見つけた。早速鑑定してみるか。



名称:アキドゥスフィア

 分類:球

 属性:地

 効果:中に強力な酸が入っている。外殻は割る事ができる。使用回数1回。


 鑑定した時に見た映像グロすぎだろ……この球が転がってるの知らずに踏み付けた探索者の足が……ワ、ワァ……。


『スコルピオスは酸を使うがそれがアイテムとして出現するのは聞いた事が無いな、捕獲して利用するのは聞いた事があるが……』


 異世界にアキドゥスフィアは存在しないのか?


「じゃあ、鑑定で見た探索者の映像ってこのダンジョンでの出来事ですかね?」


 これ以上は考えないようにしておくか……。


『そ、想像してしまったじゃないか』


 リレイラさんも引いてるな。戦闘には使えるだろうが、物騒すぎるだろこれ。


『よ、ヨロイ君。くれぐれも取り扱いには注意するんだよ……? もしアイテムを取り出す時に割れたりしたら……』


「怖い事言わないで下さいよ」


 アイテム取り出してる最中に手がドロドロになるとか勘弁してくれ。


『まぁでもな……試してみるしかないだろう? 試してみない事には使い道も浮かばないだろうし』


「そ、そうですよね。それに、モンスター相手ならそんなグロい事にはならないはず……」


 全く確証無いけど。


『使う時だけ眼界魔法(オキュラス)解除していい?』


「ダメです」


『そ、そんな……!』


 俺は、リレイラさんも道連れにする事にした。



 ……。



 行き止まりの通路を戻り、T字路に出ると、目の前をスコルピオスが通り過ぎて行くのが見えた。


「早速出たな」


 慎重にマジックバッグからアキドゥスフィアを取り出す。恐る恐る握りしめてみたが、割れる様子はない。これなら問題無く投げられるか。


「持ち主には酸なんて効かないだろうけどなっ!!」


 去って行くスコルピオスに全力でアキドゥスフィアを投げ付ける。それはスコルピオスの外殻に当たるとガラスが砕けるように割れ、中の酸が飛び出した。



「ギャアアアアアアアアアアア!?」



 酸を浴びたスコルピオスは外殻ごとデロデロに溶けて絶命した。



「……」

『……』



 怖すぎだろ。



 ──レベルポイントを100pt獲得しました。



 誰もいなくなった通路に、スマホの機械音声だけが虚しく響いた。







 次回、ダンジョンを進みながらフレクシルドの効果を調べる461さん。そんな中スライム型モンスターが……?

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