第20話【ボス戦】冥闇の四騎士
青白い炎の浮かぶ部屋。部屋の中央にある石碑まで歩いていき、何を書いてあるのか見てみる。しかし何と書いてあるか分からない。異世界文字か? 首を傾げているとリレイラさんの声がした。
『冥闇の四騎士、その魂四つに分かれ、愚かな探究者を葬らん』
「そう書いてあるんですか?」
『これ以降は私の知らない文字で書かれている。四騎士……か』
「四騎士? おいおい……まさか、4体1で戦えとか言わないよな?」
言った瞬間、部屋を照らす炎が明るさを増した。そこには冥闇騎士が部屋奥に佇んでいた。
「オオオオオオオ!!!」
冥闇騎士が剣を引き抜く。四騎士とか書いてあったのに出現したのは1体……どういうことだ? いや、それよりも今は目の前のヤツに集中しないと。
冥闇騎士がその剣を叩きつける。橋の上で戦った時よりも剣速が速い。
「オオオオオ!!!」
連続で攻撃を放つ騎士。その攻撃を避けながら、チャクラムを回転させる。この部屋なら位置取りは橋より難しくない。この角度なら……いける!
チャクラムを放とうとした瞬間、リレイラさんの叫びが聞こえた。
『ヨロイ君!!』
突然の声で反射的に大地を蹴る。真横から放たれたロングソードが、俺の目の前を通り過ぎ、大地に叩き付けられた。ビシリという音と共に地面へ亀裂が入る。横目で見ると、冥闇騎士が2体になっていた。
「マジかよ……増えた!?」
「オオオオオ!!!」
「オオオオオ!!!」
2体になった騎士が2人で襲いかかる。咄嗟にチャクラムからトラネアウィップへと持ち替え、騎士の1体に放つ。トラネアウィップが騎士の腕に巻きつき、騎士がバランスを崩す。俺は、鞭を全力で引き、騎士達を衝突させた。
鞭を武器ホルダーに戻して、倒れ込んだ騎士の元へ全力で走る。積み重なった騎士へシャドウソードのダッシュ斬りを放った。1体の騎士が攻撃に気付き、地面を転がって避ける。しかし、もう1体の騎士は回避行動が間に合わない。その鎧ごとシャドウソードで叩き斬った。
「オア゛ッ!?」
苦しみの声を上げる冥闇騎士。砂のように崩れ去る鎧。レベルポイントが出るかと思った瞬間、別の雄叫びが部屋中を包み込んだ。
「オオオオオオ!!!!」
「オオオオオオ!!!!」
「……マジか」
次に現れたのは2体の冥闇騎士。転がって避けたのも含めて3体……時間経過で数が増えるってことか?
3体の騎士が攻撃を仕掛ける。ヤツらのシャドウソードが連続で放たれる。それをローリングで回避した俺は、距離をとって再びトラネアウィップで攻撃を試みる。だが、鞭だけでは威力が低く、せいぜい行動を邪魔するのが精一杯だ。連続で叩きつけられる剣撃は、反撃の機会を奪っていく。
シャドウソードのおかげで倒すのは難しくないが、連続攻撃を掻い潜って倒さなければいけない……厄介だな、コイツら……っ!
「オオオオオオ!!!」
防御一辺倒になっていると、さらにもう1体の騎士が現れた。
……おかしくねぇか? さっき冥闇の四騎士って書いてあったよな? 最初に倒したヤツも含めるとこれで5体目なんだが……。
「オオオオオオオオオオ!!!」
その数に気を取られた瞬間、1体の騎士が突撃して来た。横薙ぎに放たれた斬撃を避け、トラネアウィップを騎士の足首に巻きつける。そのまま思い切り鞭を弾き、冥闇の騎士を転ばせる。倒れた所でもう一度シャドウソードを叩き付けた。騎士の鎧に斬撃が放たれ、ザクリと亀裂が入ると、冥闇の騎士は動かなくなった。
が。
「オオオオオオオオ!!!」
騎士の死骸が崩れ去った瞬間、再び新たな騎士が現れる。これで6体目……鬱陶しい敵だな!!
『先程から見ていたが、奴らは時間差か倒すと現れるみたいだな……』
「分かってますよ!!」
騎士の攻撃を避ける。4体の騎士がワラワラと集まって来てはシャドウソードを叩きつける。なんとか逃げ回っているが突破口が見えない。どうする?
『ヨロイ君は気付いているか? この場に出現できる個体数は全部で4体のようだ』
この場にいるのが4体?
「オオオオオオ!!」
襲いかかって来た騎士の剣撃を避け、シャドウソードを叩き付ける。真っ二つになる騎士。崩れる死骸。それを見計らったように新たな冥闇の騎士が現れる。これで7体目の騎士が出現したが……。
その場にいる騎士達を数えると確かに4体だけがその場にいた。
4体以上現れることが無いのは朗報だが、数を減らそうにも倒すと次の騎士が現れてしまう。それに、4体全員に攻められると厄介だ。何か手は……。
その時、あのフード野郎のことが思い浮かんだ。スピルギニョルを手に入れた時の言葉が。
──有効に使え。次の攻略の鍵となる。
有効に?
……スピルギニョルは敵を倒すとその死骸を操る。
冥闇の四騎士は倒されると新たな個体が現れる。いや、死骸が消えると現れる。
同時に出現できるのは4体まで。
「……そういうことか」
『何か分かったのかヨロイ君?』
「はい。スピルギニョルを使えば突破できます!」
『スピルギニョルを……? あ!?』
リレイラさんも気付いたみたいだ。俺は、4体から繰り出される攻撃を避けるために部屋の端へと駆け出した。武器ホルダーからスピルギニョルを取り出し、左手で握りしめる。
追いかけて来る四騎士。部屋の端に追い詰められ、4体の騎士がジリジリと近付いて来る。その内の1体にトラネアウィップを巻きつけ、思い切り引っ張った。
引き寄せられる冥闇の騎士。左手に持っていたスピルギニョルを展開する。壁に突っかかるようにして伸びた槍は、冥闇騎士をザクリと貫いた。苦しむ騎士。他の騎士達が迫るのをトラネアウィップで牽制して時間を稼ぐ。槍が貫いた騎士の亡骸……それが大地へと倒れ込む。
俺は、新たな騎士が現れる前に槍を収納した。
数秒後、倒した冥闇の騎士がゆらりと立ち上がる。他の騎士達が、起き上がった騎士には目もくれず、俺の方に向かって来た。
「オオ!!」
立ち上がった騎士が、仲間の騎士の1体にシャドウソードの斬撃を放った。
「オアァ!?」
困惑したように振り返る騎士達。その隙を見逃さず、攻撃を受けた騎士を槍で滅多刺しにする。再び沈黙する冥闇騎士。その騎士もユラリと起き上がり、剣を構えると他の騎士たちと戦い出した。
そこからの戦闘は有利に運んだ。2体の騎士を操ったことで、彼らをメインに戦わせ、隙ができると、俺がスピルギニョルで仕留める。
そうするうちに、全ての騎士をスピルギニョルの支配下に置くことに成功した。
『冥闇の四騎士は4体しかその空間に存在できない……スピルギニョルで奴らの死骸を利用すれば、新たな出現も防ぐことができるという訳か』
「そう。それとまだ最後の仕上げがありますから!」
シャドウソードの鑑定で見た最後の光景。追い詰められた影は、死ぬ直前に新たな宿主へ取り憑こうとするはずだ。
騎士達が魔力を使い果たして砂となって崩れ去る。全ての騎士から影が集まり、俺に取り憑こうと襲いかかって来た。
「ォォォオオオオオ!!!」
「お前……光が嫌いなんだよなぁ!?」
向かって来る影に向かって照明魔法を発動する。まばゆい光に包まれた影は、苦しみの声を上げながら消滅。今度こそ、レベルポイントの光を溢れさせた。
次回、再び現れる亜空間。そして新たな報酬が……?
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