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【461さん踏破録】〜元引きこもりダンジョンオタク、入るたびに構造が変わるグンマダンジョンを攻略して最強探索者に至ってしまう〜  作者: 三丈夕六


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第13話 リレイラの様子がおかしい

 リレイラさんの所に帰ると、彼女はまた宿の入り口に立っていた。でも、昨日みたいな仁王立ちじゃない。入り口の壁にもたれかかって、腕を組んだまま寂しげな表情をしていた。


「ただいま」


 俺が言うと、リレイラさんの顔がパッと明るくなった。しかし俺と目が合った瞬間、咳払いをしていつもの真面目な表情に戻ってしまう。


「おかえり。とりあえず中に入ろう。夕食は出前でいいか?」


「え、奢ってくれるんですか?」


「あ、当たり前だろう……その、無事に帰って来たんだから……」


「めちゃくちゃ嬉しいです!」


「そ、そうか。うん……早く帰ろう」


「あ!」


「どうしたんだ?」


 鎧を見る。よく見たら右肩と胸部の装甲がボロボロだ。


「先に商店と鎧の修理を頼んでいいですか? じゃなきゃ明日また潜れないし」


「ああ、そうだな……まずは着替えなさい。それから修理する箇所を持っていこう」


 なぜかソワソワするリレイラさんと一緒に宿へ戻った。



◇◇◇


 商人と鎧技師の所へと行き、取引と修理を依頼した。鎧は明日の朝までには直してくれるらしい。明日も早くからダンジョン攻略ができるな。


 宿に戻り、出前の天丼が届いたのでリレイラさんとテーブルを囲む。和室にスーツ姿のリレイラさんと2人。なんか変な感じだ。初日は俺が帰ってすぐに寝ちまったし。


 綺麗な正座をしたリレイラさんが天丼を食べる。口への運び方も、箸の持ち方も全てが優雅な仕草。頭のツノと紫髪なのにギャップがすごい。日本人より日本人らしいだろ、この人。


 リレイラさんを見ていると、彼女は恥ずかしげに顔を背けた。そして一言「恥ずかしいからそんなに見つめるな」と呟くと、ダンジョンの話を振って来た。


 リレイラさんにヴァルガードを倒した後の事を伝える。それに、あのフード野郎の事も。


「それで、亜空間でコイツを貰ったんです。鑑定はしたんですけど何も分からなくて」


 この槍、全部「?」表記なんだよな。あそこまでハテナばっかりだと逆に清々しい。


 飯を食いながら考える。手元に置かれた槍。展開するまで短くて持ち運びは便利だけど、それだけじゃないよな? そもそもあのフード野郎が次の攻略の鍵になるって言ってたし。


「これ、何か分かります?」


 槍をリレイラさんへ差し出す。彼女は天丼を食べる手を止めて、槍を手に取った。


「我らの世界の文字だが……少し形状が違うな。古代文字かもしれない」


「そうですか。やっぱ鑑定魔法のレベルを上げるしかなさそうだなぁ」


 天丼を急いで食べてスマホを開く。スキルツリーを開いて……次の鑑定魔法レベル3をタップする。


 取得ポイントはレベル2から跳ね上がって1000pt。ボスを倒したから余裕はあるもののレベル2の5倍。中々の消費だ。でも、やってみないと分からないよな。


 ……ん?


 ふと見ると、リレイラさんがジトリと俺の顔を見ていた。


「なんですか?」


「いや……話を振ったのは私だが、君は本当にダンジョン攻略が好きだな」


「もちろん! さっきからこの槍の効果が知りたくてウズウズしてたんで!」


 聞かれたから答えたのに、リレイラさんは露骨にため息を吐いた。


(はぁ……せめて今くらいは……)


「なんか言いました?」


「なんでもない」


 リレイラさんは、ツンとした顔をしながら天丼を食べていた。




◇◇◇


 食事も終えて、スキルツリーから鑑定魔法レベル3を解放した。早速あの槍に鑑定魔法(アプレイザル)を発動してみる。



名称:スピルギニョル

 分類:槍

 属性:?

 効果:?????????。使用回数?回



「ダメだぁ……せっかく鑑定魔法レベル3まで上げたのに名前しか分からないぞマジで」


「きっとレアアイテムだからだろう。一点物のアイテムは製造時にプロテクトがかかるからな」


「プロテクト?」


「レアアイテムの作られ方は様々だ。職人が己の技術を誇示する為、何かしらの理由でアイテムに魔力が集約した、魔物が生み出した……どの工程においてもプロテクトはかかる。それが何故なのかは判明していないが」


 つまり、プロテクトっていうのがあるのがレアアイテムである証明ってことか。


「レベル上げれば読み取れますかね?」


「スキルツリーの説明を読んでみなさい」


 説明?


 スマホをもう一度見る。そこには、鑑定魔法の説明文に「プロテクト突破不可」と記載されていた。


「あ、本当だ……」


「それが突破可能になった時、レアアイテムからでも情報を読み取れるようになるだろう」


 じゃあ効果が知りたかったら鑑定魔法のレベル上げるしかねぇのか。今の取得が1000ptだったから次は……?


「5000pt!? また5倍かよ! これちょっと酷すぎません!?」


「悪いがスキルツリーの獲得ptは本人の資質によって決まる。管理局側ではどうする事もできないな」


「マジかぁ……俺って鑑定方面に弱いのかなぁ」


「それでもレベル3までは取れたんだ。全く才能が無ければスキル自体が出現しないからな」


「う〜ん……それもそうか。前向きに考えます」


 ドラゴンゾンビとヴァルガードを倒したおかげもあって今の俺の保有ポイントが3190pt。残り1810pt……取れない数じゃないしな。


 ただ……鑑定を上げようとすると、しばらくは他のスキルは伸ばせない。「槍術」のスキルを伸ばせばスピルギニョルの取り回しが良くなるんだけどな。


「わ、私は……」


 急に、リレイラさんがコホンと咳払いをして視線を泳がせた。


「君に才能が無いなんて、思わない。君はいつもひたむきだし、何より……楽しそうだ。それは十分に才能であると、私は思う」


「あ、ありがとうございます」


 なんだ……? なんか今日のリレイラさんはオーラが違うぞ? いつものクールな感じじゃなくてなんというか……。


 リレイラさんは赤くなった顔で、俺を見つめた。え、何を言われるんだ? というか、俺なんかやったか……?


「ヨロイ君、無事で、良かった……」


「え?」


「ヴァルガードはずっと格上の敵だったはずだ。良く倒した。私は君が帰って来てくれて本当に……」


 こ、この反応……嘘だろ? え、これってアレか?


「えっと、なんかそう言われると恥ずかしいな、ははっ」


「だが」


 突然、リレイラさんの声が低くなった。顔も真顔で怒っているようになる。突然雰囲気が変わった事で面食らってしまう。


「サンダーウィップの使用回数を見誤るとはどういう事だ? 下手をするとあの1回のミスで敗北していたのかもしれないだろう?」


「う……っ!? すみません……」


「まだまだ君は未熟だ。せっかく素晴らしい才能を持っているというのに、それを活かせないとは……今日はまだ時間がある。これからヴァルガード戦の復習だ」


「えぇ!? 今日はもう休みたいんですけど!?」


「担当としてこのままにしておく訳にはいかない」



 ワ、ワァ……。



「そうと決まれば早速始めるぞ! まず最初に攻撃を仕掛けた時……」



 リレイラさんとのボス戦の振り返りは、夜遅くまで続いた。こっちの方がリレイラさんって感じがするなぁ……。



 ……。



 だけど、初めてヴァルガードと戦う時にリレイラさんが言っていた事は分かったかもしれない。



 ──自分が死んでも誰も悲しまないなんて言うなよ? それは君の思い込みだ。



 アレはきっとリレイラさんが……。



 そう思ったら、彼女の厳しさも嬉しい気がした。






 次回は閑話です。リレイラの内面を覗いてみよう。

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