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第三百二話 平行線をたどる⑦

「ちっ、容赦ないな……!」

「……なっ」


慧と観月が目にしたそれは、まさに超越の一撃だった。

元々、『破滅の創世』の配下達が繰り出す攻撃は群を抜いて強力であったが――レンがこの瞬間と定めて切り札を投じた、それは神威の如く。

白き光は瞬きて戦場を貫き、ヒューゴはおろか、周囲の慧と観月、一族の上層部の者達すら穿った。


「――っ! ……俺の能力でも、完全には防ぎ切れないか。幹部の力は凄まじいねぇ。だが、川瀬奏多様を渡すわけには……っ!」


ヒューゴは阻止しようともがくが、レンの強靭の一撃を受けた影響で身動きが取れない。


「つーか、どこまでも恐るべき力だな」

「本当ね」


踏みしめるのは、世界会合の時に招かれる会場。

だが、今はもはや、建物すべてが崩壊し、その面影もない。

そんな荒れ果てた野を、慧と観月は駆けていく。

唐突に終わったヒューゴ達との対立は、すぐに新たな『破滅の創世』の配下達との戦いを生み出しただけだった。


「まぁ、不滅の王レンはアルリット達と同じく、『破滅の創世』の幹部の一人だからな」


ひりつく緊張が、慧の首元を駆け抜けていった。


「ふむ。手応えがないのう」

「そうですね」


ベアトリーチェは同意しつつも、レンに改めて直言した。


「しかし、意外じゃな。お主が、そこまで怒りを見せるのは」

「ベアトリーチェ様、取り乱して申し訳ございません」


冷静さを取り戻したレンが、深刻な面持ちで告げる。

苦渋に満ちたその顔からは、その奥にある感情の機敏までは読みきれない。


「……不死のヒューゴ。あなたは思っていたよりも危険な存在のようですね」


ヒューゴの言葉によって、翻弄されてしまった――。

その事実を前にして、レンの雰囲気が変わる。

揺れるのは憂う瞳。

それは剥き出しの悲哀を帯びているようだった。


「『破滅の創世』様、この世界は最も神を冒涜しておりました。故に滅ぼさなくてはならないのです。神のご意志を完遂するために」


その存在を根絶やしにすることは、『破滅の創世』を救える唯一の方法であるというように――。

そう告げるレンは、明確なる殺意をヒューゴ達に向けていた。


「なら、俺達はそれを阻止させてもらうとするかねぇ……」


逆に、息も切れ切れのヒューゴは喜ばしいとばかりに笑んでいる。


「その人間の言葉に惑わされてはいけません。これから何をしようと一族の者の罪が消えるわけではないのです。私達が決して許さないことが、彼らの罪の証明となる」


平坦な声で、レンはヒューゴの思惑を切り捨てる。

そのまま、無造作に右手を斜め上に振り払う。

本来なら、それだけでヒューゴ達は吹き飛ばされただろう。

だが、ヒューゴは手をかざしたことで、その攻撃をなかったことにしたのだ。

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