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第三百一話 平行線をたどる⑥

人の心。

それが、『破滅の創世』が現在の状況に追い込まれた要因の一つだからだ。


「『破滅の創世』様、必ずや一族の呪いからお救いいたします」


レンが発した決意の言葉は、刹那の迷いすらなかった。


そう――もうすぐで手が届くのだ。

『破滅の創世』の配下達にとって、唯一無二の願い。

神として生きたい。

それを奏多が選ぶだけで――。


『破滅の創世』が示した神命。

それは絶対に成し遂げなくてはならない。

遥か彼方より、望みはたった一つだけだった――。

『破滅の創世』の配下達は、主が御座す世界を正そうとする。

その御心に応えるべく、献身していた。

それはこのまま『破滅の創世』を人という器に封じ込め続け、神の力を自らの目的に利用するという一族の上層部の悲願とは相反するものだった。

しかし、今、この場には奏多にとって大切な存在である結愛がいる。

この状況を変革させる手段を用いようとして、着々と準備を整えていたレンにとっては望ましくない状況だった。


「……何でだろ」


レンの意識が奏多に向けられている。

即刻、この場から立ち去らないといけないのに。


「動けない……」


奏多は油断すれば湧き上がる想いを前にして俯く。

渦巻く不安はどうしようもなく膨らんでいくばかりだ。


「いや、動けないんじゃない。これは……」


奏多は刹那、気付いた。

身動きが取れない理由。

それは内側から湧き上がる『破滅の創世』としての意思が、奏多の動きを制限しているからだと。

レン達のもとに戻るために――。


「早急に対応する必要がありそうです。『破滅の創世』様、ご無礼をお許しください」


レンは手をかざすと、決意を込めた声でそう告げる。


「――っ」


その瞬間、奏多はまばゆい光に包まれて、意識が途切れそうになった。

だが――。


「おっと、『破滅の創世』様はこちらだ! 逃がすつもりはないぜ!」


その前にヒューゴが立ち塞がる。


「『破滅の創世』様には、これからも川瀬奏多様として生きてもらわないといけないからな」


そう――もうすぐで手が届くのだ。

一族の上層部にとって、唯一無二の願い。


人間として生きたい。

それを奏多が選ぶだけで――。


このまま『破滅の創世』を人という器に封じ込め続け、神の力を自らの目的に利用するという一族の悲願こそがこの世界を救う唯一の方法だと一族の上層部は知っているのだから。


「このまま、受け入れろよ。『破滅の創世』様が人間としての生きていくのを」

「卑劣な手段によって人の器に封じた上に、『破滅の創世』様をこれ以上、苦しめるつもりですか? いささか、浅はかですね」


一瞬の隙を見定めたレンはここを正念場と捉えて――強靭の一撃を込める。


「くっ……!」


その瞬間、ヒューゴの視界に映る世界は変貌していた。

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