1110〜アナナが戻って来ぬうちに
※本日1109〜『ヨンソン兵長とハラル首領』
今話1110〜『アナナが戻って来ぬうちに』と
2話更新しております。
一昨日からコロナに感染してしまい、更新が途絶えた事深くお詫び申し上げます。
まだ予断は許されない状況でありますが、病状と相談しながら、更新を進めていきたいと思っております。
アグニアのいる浜小屋。
マウリッツ城から西に離れた掘立て小屋。
熱泉の堰を止められず戻ってきた手下の海賊衆は、5人の取り巻きをここに残し、皆マウリッツに向かった。
突然の首領指名にアナナ。
まだ部下ともいえない手下兵を連れ、躍起になって靄の立ち込める城の石畳。行軍していた。
アグニアの浜小屋に残された5人は、戦いには不向きなヤサ男ばかり。ただ年下のアナナに小屋に残ることを命じられた5人。ついぞ納得のいかない風であった。
彼らはアグニアの食事を済ますと、残りの焼き物を自分達がサラリ。気づけば、白夜ではあったが夜は更けた。
久しぶりに満腹を味わったのか、はたまた取り巻きに守られているという安心感からか、アグニアはテーブルに頭を乗せたままうつらうつら。
2人の兵が抱き抱えると、暖炉横に床を敷いた兵3人。その場に寝かせた。
「さ、俺達も寝ようぞ。今日は北からの帰り。疲れた上にアグニア様の面倒なぞ、、、グッタリだ」
5人は宝の果てた空の部屋。アグニアの寝ている暖炉からの温かい隙間風を便りに揃って横になった。
しかし寝つきの悪い慣れぬ部屋。
1人の兵が起き上がると、アグニアとの仕切り扉をそっと閉めた。
「おいおい、寒いじゃないか。なぜ閉める?そこは開けておけ」
「まあ、待てよ」
「寒かろうに待てるはすがない」
「ちょいと聞くが、この中にアナナを首領として認める奴はおるかい?しかもマウリッツ帰りはバルウという名を頂くというのさ」
残りの4人は薄暗がりに首を横に振った。
「だろ」
「しかし、それは神の思召し。我々にはどうすることもできぬ」
「チッ、声を低くく」
「それがどうしたって言うのさ」
「マウリッツの男どもなぞ、この海賊軍。誰が行ったとて数分で片付く。アナナの小僧が意気揚々とここに戻って来るのが目に見える」
「だろうな。悔しいが、、、仕方あるまい」
「そこでバルウの冠を手渡されるのも目に見える」
「見える」
「じゃあだ。戻って来た時にここにアグニア様がいなかったらどうなる?」
「どうなるって?」
「バルウの名前どころか、首領の地位さえお預けだ。なにしろ全てはマウリッツを陥落させた上での話。与える者無ければ授かる者無しだ」
「勝って官軍もその指揮者無し」
「そう、そういう事だ」
「では、まさか?」
「いや。隣の部屋の婆さんを殺しちまおうってわけじゃないさ。俺だって神に手を出して呪われるのは怖い」
「じゃあどうしようってんだい?」
「うまく言い包めて、ヘルゲやドロテアのいるマーゲロイに連れ行っちまおうかと思ってさ」
聞いた4人の兵。
眠気がすっかり覚めた。
「アナナの野郎が戻って来ぬ内。早い方がいい」




