1109~ヨンソン兵長とハラル首領
※一昨日よりコロナに感染してしまい39°の熱が続き、更新を控えさせて頂きました。
本日37°台まで下がりましたので、未だお仕事お休み中ですが体調と相談の上更新していきたいと思っております。
いつもお読み頂きありがとうございます。
「入り江からの突き出た崖は頂まで伸びておりまして、人の力を持ってしても
我々北の海賊の居住区に入ることはできません。つまり海からのみとなります。ですので例え監獄の鍵を掛け忘れたとて、奴ら3人はなにもできないというわけでございまして、それにぃ、もし監獄に閉じ込めたまま誰も世話する者がおりませんと、ただただ飢餓殺しの監獄となります島からは出れないが監獄からは出られるとあらば、幾分の寿命は延びましょう」
「ハラル殿。そこまでのお考え。意識あっての鍵外しと思われますが?」
「あ、いやいやヨンソン兵長殿。どちらにしろ島全てが監獄と思えば、なんともござらんという事。崖の反対側の奴らにも重々監視の目をと言ってございます」
「ハハッ!ちゃんと段取りを踏んでおるではないかっ。しかしあのままでは幾分もなかろう。この潮の流れからすると落とした物はどこぞに向かう?」
「は?は?は?なんのことです?急に?」
「海族ならば即座にわかると思ってな。ましてやここがそなた達の基地、住居とあれば」
「当たり前でございますよ。毎日のように見て参りましたゆえ。で、それを聞いてどうなさるおつもり?」
「よいから。今ここで海に木箱を流したらどこに向かう?」
「ここは沖とはいえ、寸先はマーゲロイの島。入り江の付近は特に巻き込む流れが多く、丁度あのバカ3人がいる入り江辺りの岩に引っ掛かるでありましょう。そうでなくてもあそこには、バレンツ海のゴミや鳥や魚の死骸が打ち寄せられるのです。言わば島の集積場のようなものでありまして」
「ほう、ではすぐに支度をしてやれっ!船は緩く走らせっ」
海賊防御軍ヨンソン兵長。共に乗りつけていたデンマーク兵に指図した。
兵達は船底から木箱を10箱取り出すと甲板の上。あらかじめ手筈してあったかの如く手際よく。
5箱には焼かずとも食せるリンゴを中心とした果物。5箱には寒かろうを思いやったか衣類と薪。詰め込んだ。
「ヨンソン殿ッ。まさかとは思いますがッ。これは?」
「ああ、ここから流すのだ。すればハラル殿の予測通り。あの3人のいる岩場に漂着するのであろう?」
「助けると?」
「助けるというまでもない。永らえるというのであろう」
「それも意味して助けると言うのでありますよ。ヘルゲとドロテア、それにタリエ。奴らはこの国において罪深い奴ら。諸悪の根源でございます。それを、、、」
「それが?悪い奴らだと言って飯を食わせぬ、服を着させぬはならんこと。それはデンマークの片田舎であれ、首長としてきたヨンソン家の掟と慣わしだ。刑が死刑ではなく監獄に封じこめたことが刑ならば、生き永らえて罪を猛省させねばならん」
「しかしヨンソン殿。あのバカ3人ですよ?」
「ハラル殿。私もあなたもつまりは同じ考えではござらんか?あなたもヘルゲやドロテアが食に困らぬよう、監獄の鍵を掛けずにあの山を下ったと」
ヨンソン兵長がニコと笑い右手を差し出すと、首領ハラルもその手を握り返した。




