###5 ↑続
『イシャスごめんなさい!!――今の私なら、勝手にしていい事じゃないってわかるし、居場所にしたって他の…宝石とか属性結晶とかを用意してもらえばよかったのに……』
遠い目をしているイシャスにパールは泣きそうな顔で必死にあやまる。
「……はぁ。今のパールってことは前はわかんなかったんだろー? もう居場所とやらも作っちゃってんだから、いーけどさぁ。…スムーズにしゃべれるようになったのって、やっぱアレ? 場所的にオレの脳とかみちゃったりしたのかー?」
イシャスはパールの発言に衝撃を受けはしたが、そこから現実逃避、諦めを経て、すでに落ち着きを取り戻したようだ。――取り戻し過ぎているとも言えるが。
『う~、ありがとうイシャス~』
ぎゅっ、とイシャスの鼻に抱き着くようにしたパールは、眉を下げて続ける。
『えーとね、私も何をしたのか、はっきりわからないの。ただ、わたしの希望? を叶えるようにイシャスの魔力使っちゃたから…』
「あー、生まれたての精霊みたいなもんだしなぁ。居場所~!もっと話せる手段~!って一心だったわけだ」
『そうなの。…多分イシャスの記憶をみた、のかも。その中からわたし、話し方を真似して、普通に話せるのが嬉しくて、得意になってたの。――だけど、話してるうちに、段々……』
「意味とか気持ちが分かるようになってきて、やらかしてたってか?」
コクっと頷くパールに、イシャスは近すぎて目が疲れるからと、自分の左手の甲へ誘導する。
『――それにまだ、意味や気持ちを全て理解はしてないの』
自分の手の上で落ち込むパールを眺めながらイシャスはため息をつく。
「あのさぁ、パール。オレだって全てのもん理解してるわけじゃねーよー? それにパールは自分の意識が生まれたニュー精霊じゃん。精霊って体ナイし、ある意味魂みたいなもんだし、絶対理解出来ない事あると思うぞー。簡単なことで言えば、腹が減るとか背中かゆい~とかさー。存在が違うんだし、オレに悪いって思えただけ、すげぇと思うけど」
イシャスは自分の膝の上に置いた手の上で、涙をぽろぽろ流し始めたパールの頭の辺りを、右手の人差し指で撫でてみる。
(う~ん、やっぱ今まで感じてたとーり、水を触ってるみたいなのに通り過ぎない。この、柔らかい少しの弾力? なんだろ。あーでも体はナイよね形だけ…)
「…魂って考えると居場所ってゆーか、宝石とかいってたし、入れもの? が必要なのは解るなぁ。変なもんになったらマズイし」
自分の魂の時を思い出したのか、ぶるっと震えたイシャスにパールは泣き止み、イシャスの指先に抱き着くと、呟くように『ありがとう』と伝える。
「ん。今からは、なんかする時とかなんかあったら、一応オレにきーて。―――でさぁ、パール。今のオレとパールって契約してるみたいな状態なのか? パールはオレの魔力使えるし、今までなかったほど体調いーし、キラキラ見えるし、ついでにデコに精霊住んでるし?」
イシャスの言葉にコクコク頷いたパールは、続くイシャスの言葉には首をかしげる。
『契約ってなーに?』
「え…この世界って、そーゆーお決まりの契約ないのか? や、オレの前世もなかったっーか精霊自体いなかったけど、なんだこの記憶?」
『――それはイシャスの前世の世界にあった、物語とかの設定? みたいよ。それで……この世界を構築している神々や精霊は、契約して力を貸したりとかしないみたいよ』
「へー……いやいや、前半はオレの記憶検索したんだろーから、まぁ分かるけど、後半の何処から出た? パールも知らなかったろー?」
『わたし、大いなる水の精霊のかけらだもの。統一されていた、つながってる部分からお聞きしたの』
「お、おききした? 大いなる水の精霊サマに? 聞いちゃってだいじょぶなのかパール。つーか、なんかする時一応オレにきーてっていったじゃん」
『あー、ごめんなさいイシャス、これは不可抗力? つながってるから…それで、お聞き出来た事自体が許可の証だから、その辺りは大丈夫よ。それに―――くすっ』
「おー、だいじょぶならよかった…そーゆー不可抗力ならしょーがないか。んで、それに?」
『それは――――内緒?』
「間とギモン系なのが……まぁ、悪い事じゃなさそーだしいーか。――んじゃあ、ニューオレみたいな変化はなんでかパールわかる?」
『う~……全部、多分だけどいい?』
パールは頷くイシャスを確認して続ける。
『わたしがイシャスの魔力使えるのは付いてた精霊だからなの。体調がいい? のは……イシャスの魔力使って目覚めさせた時、元々多かった魔力が枯渇して、その時の体の状態――キトク? だったのが影響して、魔力が倍に増えちゃったのね。前から少し持て余してたのに増えちゃったからイシャスの体とレベルには多すぎるくらいで……それが体調がいいって感じる不調? の原因なの。だから居場所作る時に多すぎる魔力を額に集めて私が調整してるの。それでイシャスは余分な魔力操作しなくてよくなったから体調がいいの。――キラキラみえるのは、切っ掛けは額に集めた魔力かもしれないけど、イシャスが選んで授かったスキルだと思うわ』
「……ツッコミどころが更に増えて…どーでもよくなってきた」
イシャスはすでに座って話している事に飽きてきている様だ。
「まぁ、ただ一つ。パールはやらかしただけじゃないじゃん。オレを残してくれて、ついでに体調よくしてくれてありがとー」
パールは再び泣きながらイシャスの顔面に飛びついた。




