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##31 パールとじゃなくても…話って長くなーる

 イシャスは状態異常回復という魔術(ちからわざ)で話を進めているが、ウィ―ルと会話を挟んでもいた。

 ウィ―ルの言葉の方をいくつか取り上げると、「イシャスノ マジュツ スゴイ」「パールガ ヘンカン シテタンダ……」「ダカラ、ソンナニ パールノ ミズ ノンデ ヘイキッテ イッタノニ」「ウィ―ルモ キイテ、ミヨウ、カナ…」等である。


そして、鑑定する許可をもらったイシャスは早速ルシスを見るが、彼もまだウォ―タ―ベットの上なので、絵面はリゾート地にいるかのように緩い。



「お~、父さんって、ルシス・キャメル・ラル・ファメールっていうんだ~。んで、レベルが27。ハイヒューマンなんだ――って、MP(魔力量)320。父さんも魔術師系――あれ? その割に使える魔術がないよ?――ああ、コレのせいかな…………父さん自分の鑑定結果って知ってるんだよね?」


「あ、ああもちろん知っているよ。祝いの日に頂いたままだから15歳の時のだけれどね。あと、普通は鑑定結果ではなくて(いわ)(ひょう)、と言うんだよイシャス」


「祝い表?」


「――……そうか、私の方は状態異常回復という非常識な魔術で聞いた話を理解させられたけれど、イシャスの方は祝いの日もまだだったし、その鑑定(スキル)がいかに希少かわからないんだったね」


「え、非常識なんだ…」

(ありそうな魔術だと思うんだけどなぁ?)


「…気になるのは祝いの日でもなく、希少なスキルでもなくて非常識のほうなんだね。――まあ、話がそれるから少しだけ説明するとね、イシャスの鑑定と同様かな。状態異常を回復する魔術や魔法はあるのだけどね、一つ一つ分かれているんだよ。麻痺を回復、混乱を回復、というようにね。鑑定も、私が授かった人物鑑定や、植物鑑定、鉱物・宝石鑑定、等にね。 それでね、鉱物・宝石というように増える例もあるから、混乱と麻痺を同時に回復できる事もあるかもしれないけれど――だからこそ、私の混乱を治めただけではなくて、一瞬で話を、情報を()()()()()、系統の違う物をまとめて回復するだけでもない物凄い、凄すぎて非常識な魔術、となる訳だね」


「う~ん、イマイチよくわかんない。全く分からなかった訳じゃナイけど、な~んかオレのスキルも魔術も非常識だって言ってんのは分かった」


「ルシス、ジツハ セツメイ ヘタ」



 イシャスとウィ―ルの、ある意味、口撃になってしまっている素の返事にがっくりした様子になるルシス。



「あ、ごめ~ん父さん。ウィ―ルの辛口はあきらめて~。今のところ父さんにだけだから、懐いて?るのかも」


「カラクチ ジャナイ……ナツク?――――」



 考え込んでしまったウィ―ルを横目で見つつ、「あ、」と声をあげたイシャスは自分に状態異常回復をする。



「うん、わかった。情報を理解させるってこーゆー事かぁ。系統が違うどころかナニ系統かもわかんないね、この魔術」


「わかってくれたんだねイシャス!」


「うん。んで、多分この魔術、状態異常なら何でも治せると思うよ? ()()()オレがそう思ってパールが出してるから~。【状態異常回復】――ベンリだな、ありがとパール」

『どういたしまして~』

(あ、()()に返事きたよ…)


「はぁ、確かに便利だけれどね。――それで、イシャスは私の祝い表が見たいのかな?」


「そうそう、どこまで父さんが自分のスキルとか知ってんのかと、普通はどう表されるのか知りたいから」


「ああ、イシャスの鑑定は特殊という事なのかな。じゃあ――これが祝い表だよ」



 そう言うとルシスは左の手の甲から浮かび上がった、一見ポストカードほどの紙をイシャスに差し出す。



「手からでんの?!」と、言いつつウォーターベットごと、向かい合わせから横に並ぶように移動して祝い表を手に取るイシャス。



「紙じゃない。や、手の中にあったんだから、そりゃー紙じゃないよな――――あ~こうなってんのかぁ、そんなに変わんないけど……」



 ルシス・キャメル・ラル・ファメール


 犯罪   ――

 生命力  15

 体力  180

 魔力  200


 称号2 ・時空の神メービウースの試練

     ・知の神ツーリースの福音


 固有スキル ――

 希少スキル ――

 属性    ――

 スキル   ・人物鑑定 ・品質鑑定

       ・剣術 ・身体操作 ・肉体強化 ・魔力操作

       ・聡明




「ありがと、父さん。んでね?レベルアップして増えてるの除いても、オレが見えてるのと違うトコあんだけど。う~ん……同じ様な表で、だすね~」




 ルシル・キャメル・ラル・ファメール


 年   31

 生命力 27

 体力  230

 魔力  320


 称号2 ・時空の神メービウースの試練

     ・智の神ツーリースの福音


 固有スキル ――

 希少スキル ①(・無属性魔術/封印)

 属性    ――(無属性)


 スキル ・人物鑑定6/10 ・品質鑑定7/10

     ・剣術2/2 ・身体操作2/2 ・肉体強化1/10

     ・聡明



「って感じなんだけど…まぁ辺境伯家当主とか複数持ってるっぽい爵位とかも出てるし、神様関係以外なら深く見ようと思えば見えるけど、どうす―――【状態異常回復ー】」


「―――落ち着かせてもらったけれどね、イシャス。私は、次の言葉が出てこない…聞きたい事もあれば――ファメール家に、いや、ファメール家が興る原因となった千年にもわたる秘密が…神殿と王家とこの家の一部以外に広まらない、広められない(ジュ)をもって続――」


「ちょっと父さんさー、話がいきなりすぎ。父さん的には真剣で深刻なんだろーけど、それ、オレに言ったらダメっぽい気ぃする。なんつーか、この家の一部に入ってナイでしょオレ。5歳だし。それに、ちょっと常識的なステータス(祝い表)が見たかっただけで、今いちばんのメインはオレが精霊よりにならないためのレベル上げの相談じゃん? オレ、ファメール家の敷地(ここ)から出たことないし、魔物が出る場所とかのさー。もっかいかけとくねー【状態異常回復ー】」

(にしても、千年かぁ…)



 ルシスは長年の葛藤があったせいか、イシャス(我が子)による鑑定結果と、その能力そのものや、5歳児らしからぬ理解力と――――神や精霊との繋がりを知ったこともあるのだろう、()()イシャスに縋ろうとしてしまった。

 普段は祝い表に現れるほど聡明な()()であり誠実な父親でもあるが、幾つになろうと完璧な大人や完璧な親、という者は人間である以上存在しない。

 イシャスにばっさり切られ、はっと我に返りその顔を後悔に染めたルシス。それを見て魔術を放ったイシャスは続けて口を開く。



「あ~、神様とかが関わってるのは詳細に見れないんだけど、それ以外のだったら見ようと思えば見えるから、なんか聞きたい事あるー? ほら、話って逸れると意外と流れたままで終わっちゃったりすんじゃん?」


「すまないね――いや、ありがとうイシャス。――――そうだね、無属性魔術が在り封印されているという理由は、その、知っているのだけれどね。希少という事は、他に無属性魔術を使える者が居るという事なのかな?そしてやはり封印されているのだろうか? あと、スキルの後の数字が気になるね」


「ん?―――ああ、オレが使えるし封印はされてないよー?属性のところは全属性と別枠というかカッコで隠されてるけど。んで、数字は――」


「ちょ、ちょっと待って、ちょっと待ってくれないかなイシャス。使えるのかい?無属性魔術を!?いや、全属性って言ったかい?それは――」


「はい、【状態異常回復~】ついでにオレ自身の鑑定結果祝い表バージョンで見せるねー。ちゃんとセットで状態異常回復もつけとくから」



 深刻になっている様には見えずとも、人間枠で進化したいイシャスは()()と話しをすすめて自分のレベル上げ計画に移りたいようである。

 言葉通り自分のステータス(祝い表)を自分で作りルシスに見せた。



「――ええ!? ()()()()()()()()()ー!! ああ!?称号の数が、数が……メービウース様の、祝、福、が―――いやいやいや魔力量700!? あああ、鑑定が!固有スキル!! あと、知らないスキルが……無属性魔術が使えるというのが大した事がないように感じるね。は、ははは。なんだいこのスキルの数は――あー、まずいね、これはまずいよ。どうすれば――」

 


 一回だけではなく、要所要所でセットが発動したようだ。この、状態異常回復(非常識な魔術)、大活躍である。 


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