冬は、ココアに涙の雪を溶かして 11
「だからね、今から佐沼先生に電話して、部室のこと話そうと思うの。なんか、じっとしていられなくて」
「でも、出張なんですよね? 家に電話しても……」
「ええ。家にもし誰かいたら、携帯電話の番号を教えてもらうつもり」
「あ、そうか」
「それじゃあ。今から電話するから」
「はい。また明日」
受話器を置く。
皐月先輩、行っちゃうんだ……。
どうして、竹内先輩には内緒なんだろう。
仲が悪いのかな。
でも、そんな風には見えない。
逆に、生まれながらにしての親友という印象を受けたのに。
本当は、ちがうのかなあ。
二十分後、また森部長から電話があった。
「いたわ。佐沼先生のところで小学生の男の子に教えてもらったの。なんかね、湖宮中のこと話したら、竹内さんがいる部に入るんです。って言ってたわ」
「へえ。竹内先輩の知りなんですかね」
「さあ。そこらへんは良く分からないけど。今、六年生だって。来年になったら入ってくるわよ」
「楽しみだなあ。で、先生に電話をしたんですか」
「まだよ。今から。なんだかうれしくって電話しちゃった」
「あ、そうなんですか」
受話器を置く。母が夕食の準備ができたと言って来た。
今日はカレーか。きっと、明日もカレーだろう。
食後の黒飴をなめおわった後も、森部長からの電話は来ない。
まだ話をしているのだろうか。もう、終わったのだろうか。
とっても気になるところだ。
電話してみようかな。
受話器を持って、部長の電話番号をおす。入部届けを出した日に、部員全員の電話番号を教えられた。緊急連絡のためだそうだ。
通話中だった。
まだ話しているのだろうか。もう、さっき電話を切ってから三時間にもなるというのに。




