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冬は、ココアに涙の雪を溶かして 08

 部員はいい人ばかりだけど、やっていることが良く分からない。

 文芸部って、おれには合わないかもしれないな……。

 本の題名をボゥとみていると、本棚のうしろのほうから話し声が聞こえてきた。

 「ねえ、知ってた? 美術室って美術部のものになるらしいよ」

 「へえ。 じゃあ美術室はどうなるの?」

 「新しいのができるんだって」

 「いいなあ。あんなに広いところを部室にできるなんて……」

 「でも、美術部って人数かなり多いらしいから、あの広さでも足りないらしいよ」

 「ふーん。じゃあ、どうすんだろ」

 「さあ? 新しい美術室を使うんじゃない?」

 「あ、そうかもね。あ、ちょっとこれ見て!」

 「何?」

 「ほら、卯月拓海の新作画集!」

 「うわっ。本当だ! 感激!」

 「ねえ、卯月拓海って今度、サイン会のためにイギリスから日本に戻ってくるらしいよ」

 「本当! 絶対行かなきゃ」

 ひそひそ声が、きゃあきゃあとさわぎだす声に変わる。

 「静かにっ」 司書の先生に怒られる声も。

 美術室が美術部のものに?

 そこは関心ないけど、高梨の顔がうかぶ。

 美術部かあ。楽しいのかな、高梨は……。

 はっ。何を考えているんだ。高梨なんかどうだっていいだろ。

 おれは、さっき座った椅子に戻る。

 もう、森部長が椅子に座っていた。でも、本を読んではいない。

 委員会が終わったのだろう。杉先輩もいる。

 「あ、田中くん。座って」 森部長に言われて、おれが座ると、森部長はこう言った。

 「ねえ、みんな聞いて。美術部の部室をのっとるわよ」


 最初は、何を言っているのか、良く分からなかった。


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