秋は、たこ焼きスケッチブック 07
わたしは、力任せに目の前の大林くんをなぐると、部室を飛び出した。
何?
何なのよ。
わたしが悪いの?
どうして。
……どうして。
急に気持ちが悪くなってきた。
わたしは、トイレにかけこんだ。
吐きはしなかったけど、鏡を見ると、目から涙が出ていた。
何よ。
わたしは、鏡の自分をにらみつける。
何か文句を言いたそうな顔じゃないの。
わたしは、悪くないって?
何もしていないって?
頑張ったんだって?
結果がこれよ。
ダメじゃない、こんなんじゃ。
ボゥと鏡を見る。
どれくらい見ていただろう。
自分にも焦点が合っていない。
ただ、ガラスの板を見ているだけ。
見ていても、何も考えていない。そんな時間が、長く続いた。
時計を見る。
もう、クラスの出し物のダンスがはじまっていた。
でも、大丈夫だったろう。
わたしの代わりなんて、いくらでもいる。
結局、わたし、何にもできてない。
でも、順調に文化祭は進んでいるし、特に大きな問題もおきていない。
なあんだ。
精一杯はり切って損した。
わたしは、顔を洗うと、トイレから廊下に出た。
「あー、いた! 沙貴絵ちゃん!」 うしろのほうで声が聞こえる。ふり返ると、クラスのみんながそこにいた。
「何で……」
「もう、探したんだからあ」
「今ダンスをやっているんじゃなかったのかしら?」 わたしはみんなにおそるおそる近づきながら言う。
「順番を変えてもらったんだ。六組は一人欠けても六組じゃないんだから」
「ダンスは、六組みんなの出し物だからね!」
クラスの出し物が終わると、わたしは走って保健室へ向かった。
保健室には誰もいない。
保健室の中に入ると、ならんでいるベッドの中に一つだけ、使った形跡がある。
さわると、少しあたたかい。
木野さんはきっと、帰ったばかりだ。
わたしは、保健室を飛び出すと、また走り出した。




