表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/63

秋は、たこ焼きスケッチブック 02

 「お母さま。今日は、委員会の資料を作らなくてはいけませんの。家庭教師の方はまた、明日ということに、していただけませんか?」 母が相手だと、会話の上品さレベル五だ。少し困ったような顔をしていうと、母は何でも言うことを聞いてくれることを知っている。

 「だめです。また、学年二位だったのでしょう。受験生なのですから、身を引き締めていかなくてはいけませんの。委員会の資料は、委員の人にしてもらえればいいのではないですか? 委員長なのですから、それくらいは可能でしょう。沙貴絵さん。あなたは、お優しいから、何でも引き受けてしまうのですね。でも、受験生だということを、お忘れのないように」 そう言うと、母は出て行った。

 信じられない。

 わたしは、ボゥっと母の出て行ったドアを見つめた。

 クルリと椅子を回転させる。

 わたしの手は自然とコンピュータのスイッチを切り、参考書を手に取っていた。

 こんなことってある?

 数学の問題をときながら考える。

 ええっと、この問題は、連立方程式を使った問題ね……。母が言うことを聞いてくれないなんて……。エックスイコール三とすると……。受験生だからかな……。よおし、式は立てられた。あとは解くだけね。……ああ、委員会が文化祭で行う出し物の企画を考えようと思ったのに……。

 「…………できた」 問題を五問解き終わったとき、わたしは分かった気がする。 「結局、何でも言うことを聞くのは、母じゃなくわたしなのね……」

 ふうう。

 わたしは、首をふると、参考書に取り組んだ。

 もう、何もかも良くなった。と言っていい。

 会長、部長、委員長になったのも、母に喜ばせるためなのかも。

 でも……。

 実際に喜んでくれた?

 ううん。それがさも当たり前だというように、うなずいただけだ。

 あああ、何をやっているんだろうか。わたしは。

 どんなに頑張っても、光には追いつくことができない。

 それでいいや。

 やっきになって頑張っていた自分がバカらしい。

 もういいんだ。

 そんなこと聞いたら、母は倒れちゃうかもしれないけど。

 ううん。母なんて関係ない。関係あるのは自分だけだ。


 体育館へ向かう。

 光に呼ばれて来た。

 文化祭三日前。わたしは、ただたんたんと文化祭の準備を進めていた。

 委員会で、なにか出し物を。と思っていたけど、やっぱりやめた。

 楽しいだろうけど……。

 部活にもあんまりでていない。わたしがいなくても、部員はまだまだいるのだから。

 委員会の仕事の方が忙しい。クラスの出し物もある。わたしのクラスは、体育館でダンスをやるらしい。わたしは、照明係をやることにした。

 何度か、体育館に下見に来たけれど、全然飾りつけされていなかった。まったく、何をしているんだか、一年生は。

 「沙貴絵、こっちこっち」 体育館の入り口の前の大きな木の下でまっていた光が手をふって、こっちおいでをする。

 「何? わたくし、他のクラスの見回りに行かなくてはいけないの」

 「ねえ、最近、部活には行った?」 わたしの言っていることを無視して光が言う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ